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被災後の子どものストレス

以下はアメリカで911が起きた後に、日本補習校に来た心理カウンセラーの話などをまとめたものです。今回の地震の被害者の方のお役に立てればと思い、再アップいたします。どうぞお友達などにも送ってさしあげてください。

昨日、今回のテロに関連して、子どもの通う日本語補習校に、文部省派遣の臨床心理士が来て、今回の事件に関する子どものストレス・マネージメントについて講演をしてくださいました。(道都大学経営学部講師/北海道公立学校スクールカウンセラー小澤康司さん。)

いくつか、興味深い話しがありましたので、紹介します。

【親の心境が子どもに反映】

講師の小澤さんは、台湾大地震の時も、台湾に派遣されたそうです。今回のテロ事件と少し違って、台湾地震では広範囲の人が直接影響を受け、さらに余震によって、恐怖がよみがえるなどして子どもたちも大人達もかなりのストレスを負っていたそうです。

その中で一人だけ、全然影響を受けていない子どもがいたそうです。それで、調べてみると、その子の家族は、台湾に来る前に神戸大震災を経験していたのだそうです。それで、地震が起きた真夜中、他の家族達は、パニック状態で外に飛び出していたのに、その家族だけは、母親が「この地震は、神戸の揺れとは違うから大丈夫。安心して寝なさい。」と子ども達をそのまま寝かせつけたそうです。その夜、子ども達は、余震が来ても、ぐっすりと熟睡していたそうです。

つまり、緊急時、親の態度が、いかに子どもの精神状態に反映してしまうかということなんですね。今回のテロでも、親が不安と恐怖に怯え続けていたり、心に余裕のない状態だと、子どもも不安と恐怖に怯えることになってしまうということです。だから、親自身が、できるだけストレスを解消して平常心で子ども達に接すること、子どもが怯えていたら、「お父さんが、お母さんが、守ってあげているから大丈夫だよ。」と子どもを抱きしめてあげることが大切だそうです。

【ストレスはプラス・マイナス思考で】

台湾の震災後、夜、まったく眠れなくなってしまった子どもがいたそうです。その子のカウンセリングをしてみると、その子の親は、一流と言われる学校を出、子どもも一流の学校に入れたいと非常に高い期待を持っていたそうです。それで、その子は、毎日塾に通っていました。そのことは、既に、その子にとって、かなりのストレスになっていました。そこに地震が起きました。地震によって負わされたストレスは、その子の既にあったストレスに加算され、上限を超えてしまいました。そして、全く眠れないという症状になって表に現れてしまったのです。そこで、親へのカウンセリングも行い、まず子どもと親のコミュニケーションを改善し、さらに、一時的にでも塾通いを辞めさせてもらったそうです。つまり地震によって起こされたストレスは、その時点で取り除くことはできないけれど、塾通いの方のストレスは、取り除けるものだったからです。子どもに何らかの症状が出た場合には、このように一つずつストレスを取り除いてあげることが大切だということです。

【気分転換法】

小澤氏は参加者の一人に「昨日の朝食何を食べましたか?」と尋ねました。尋ねられた人は「えーっと・・・トーストです。」と答えました。そこで小澤氏は「今、あなたがトーストと考えた時、他に別のことを考えられましたか?」と尋ねると、彼女は「いいえ。」と答えました。

このように、一つのことを集中して考えている時は、他の心配事とかが考えられなくなる。だから、「好きなこと、熱中できること、楽しいこと、嬉しいこと、適度な運動、遊び、音楽」などをすることがストレス解消に役立つということでした。

先週のある日、長男(10才)は、学校で非常にイヤなことがあったらしく、かなり荒れていました。一時間後にアメフトの練習があったのですが、「今日は、全然そんな気分じゃない。休みたい。」と言うので、私は「こんな時は、体を動かせば、きっと気分が良くなるから。」と、ぐずぐず言う長男を練習場に送って行きました。そして、練習から帰ってきた彼は、「行って良かったよ、ママ。ずっと気分が良くなった。プッシュしてくれて、ありがとう。」と言ってくれたのです。息子は気分転換という、素晴らしい技を学んだようで嬉しかったです。

「世界子育てネットSweetHeart」 http://www.sweetnet.com/

CNN今日のニュースより 911と子どもの心理

今日のCNNで、子ども専門の心理学者がテロ報道に関して話していたことです。(Sep. 13)

  • 7歳以下の子どもには、ニュースを見せないこと。…当日は、ほとんどの家庭で、次々と起こる事件を知るために大人がテレビに釘漬けの状態になり、子どもは、一緒にそれを見るという形になってしまったと思うが、今後7歳以下の子どもには見せるべきではない。
     

  • 子どもは、ショッキングなできごとがあると、それをPersonalizeさせる。(あたかも自分の体験であるかのように理解しようとする。)例えば、自分の学校も爆破されるのではないだろうか、自分の両親も同じような災害で死ぬのではないだろうか、と不安を募らせてしまう。それに対処するには、こどもに、学校はきちんと守られているから大丈夫だとか、政府が防衛しているから大丈夫だとか説明して子ども自身の身に、すぐに同じような災害がふりかかるかものではないことを告げ安心させること。
     

  • 子どもが実際に復旧作業に協力したりすることはできないが、たとえば家族を亡くした人達のために詩や絵を描くなどして復旧への参加意識を持たせる。他の人を助けることができるということで、子ども達が自分自身の力と安心感を感じることができる。

 

  • 災害後の子供の精神的ショックを

軽減するための手引き

この手引きは、アメリカ赤十字と連邦政府緊急管理委員会が協力して作成したものを、翻訳したものです。数年前のカリフォルニアでの大地震でもそうでしたが、アメリカ では災害が起こった場合、被災者の精神的ショックを和らげるために、迅速にセラピスト(精神分析医)が現地入りします。被災した幼い子供たちのためにも、子供専門 のセラピスト達が、積極的に活動しています。 このように、アメリカの救援活動では物質面ばかりでなく、精神面の援助も、救援の一部として考えられています。

神戸の震災後、神戸に住む多くの友人、知人達から、小さい子供たちが悪夢にうなされたり、飛行機の音にさえおびえているという話しを聞きました。親たちは、親たちで、被災後の処理などでストレスがたまっており、子供のショックに、一体どうやって対処してあげたらいいのか、戸惑っていました。この手引きを、小さなお子さんを持つ御家庭で役立てて頂ければと思います。

 地震、竜巻、火事、洪水、ハリケーン、危険物質流出… 災害はあっと言う間に、そして何の前触れもなしに起こります。これらの災害は大人にとっても恐ろしいでき事でしょうが、対処の仕方を知らない子供たちにとっては、大変な精 神的ショックです。災害の間、あなたの家族は、家や日常の生活を離れなければならないかもしれません。子どもは、心配し、混乱し、恐怖心を抱くようになるかもしれません。

おとなとして、子供たちが永久的な喪失感を抱かないように、災害に対処していくことが必要です。子供た ちの恐怖心を和らげてあげるよう導くことが大切です。 連邦緊急管理委員会とアメリカ赤十字は、あなたと子供たちが、災害に対処する助けと なるよう、この手引きを作成しました。最終的に自分の子供のために何がベストかは、あ なたが決めるべきことですが、これらのアドバイスをガイドとして使用することを御考慮 ください。

◆子供の災害に対する反応◆

 子供は、毎日の決まった日課に従って行動することを好みます。たとえば、朝起きて、 朝食を食べ、学校へ行き、友達と遊ぶといったような、日課です。緊急事態または災害が この日課を乱すとき、子どもは、不安になるかもしれません。災害時、子供は、両親や他のおとなたちの助けを期待します。ですので、あなた自身が 災害に対してどのように対応するかが、子供たちの行動を支える手掛かりとなります。も し、あなたが平静を失えば、子供は更に恐怖心を抱くかもしれません。大人が恐れている 様子を見て、子供はそれを危険が現実であるということの証明と取ります。もし、あなた が、喪失感に打ちのめされているようだと、子供は、より強く喪失感を感じるかもしれま せん。

 子供の恐怖心は、彼らの想像力から起こることもあるかもしれませんが、子供のそのよ うな感情を重視してあげましょう。怖い、と感じている子供は、本当に怖がっているのです。あなたの言葉や行動で、子供を安心させることができるのです。正直に、そして、子 供にわかりやすいように、状況を説明してあげましょう。恐怖心を抱くことは、おとなにとっても子供にとっても健康的で自然なことなのです。

 しかし、おとなとして、現状に振り回されないことが必要です。危険が去ったと確信し たなら、心の中に何が最初に思い浮かぶかを子供に尋ね、子供が、精神的に何を必要とし ているかを理解することに全力を注ぎましょう。子供に家族の復旧活動を手伝わせること は、子供が自分たちの生活が“平常”に戻りつつあるということを実感させる助けとなり ます。

  あなたのこの時期の対応が、将来にわたって子供に影響を与えることになるかもしれません。災害の後、子供たちが最も恐れるのは 「また同じことが起こるかもしれない。」 「誰かが負傷したり死んだりするかもしれない。」 「家族と離れ離れになってしまうかもしれない。」 「一人で取り残されてしまうかもしれない。」 ということです。

◆《親へのアドバイス》災害に対する備え◆

 四つのシンプルな手順を踏んで、「家族の災害プラン」を立てることができます。まず 最初に、あなたの地域社会で、どんな危険が存在するか、そして、それぞれの危険に対し てどんな備えをするべきかを学びましょう。家族として、それぞれの状況に、どう対処す るべきかを話し合いましょう。次に、緊急時の電話番号を掲示したり、県外で家族に連絡 の取れる所を選んだり、家族の一人一人のための非常用具を準備したり、家の各階に煙探 知機を設置したり…といったような家族の災害の備えをしておくようにしましょう。最後に、災害が起きた時、どうしたらよいか家族全員が覚えられるように「家族災害プラン」 の予行練習をしましょう。    

☆「家族災害プラン」を作り、練習しましょう。あなたの地域の緊急管理事務所、もしくは市民防衛事務所や、地域の赤十字などに連絡し、どのように家族の災害プランを立てたらよいかを解説した資料があるかをたずねましょう。子供を含む家族全員が災害への対処、および、復旧努力に参加するようにしましょう。

☆どのように、危険信号を察知するかを子供に教えておきましょう。子供が煙探知機、火事警報機や地域の警報システム(警笛やサイレン)の音などを知っているか、確認しましょう。

☆いつ、どのように助けを求めて電話するかを教えましょう。電話帳で地域の緊急電話番号を調べ、家庭内の全ての電話のそばに、その電話番号を、貼っておきましょ う。110番や119番などの電話番号も教えておきましょう。

☆子供に大切な家族の情報を覚えさせましょう。家族の名前、住所、電話番号などを覚えさせましょう。また、緊急時にどこで落ち合うかも教えておきましょう。このような情報を覚えるには、まだ子供が幼すぎる場合、小さいカードなどに緊急時に必  要な情報リストを書いたカードを持たせ、大人やベビーシッターにわたせるようにし  ておきましょう。    

☆子供に、どのような時に、どうやって助けを求め、電話をするかを説明し、教えておきましょう。たとえ、とても小さな子どもにでも教えることができます。もし、子供がまだ字を読むことができないなら、下のような絵のチャートを使うと、緊急時に、どの番号に電話すればいいかを見分ける助けとなります。それぞれの絵を説明する時、子供自身に絵に色を塗らせてください。そうすれば、子供は、緊急時に、どこ(だれ)に電話すればいいのかを覚える助けとなります。                                       

救急車   火事   おまわりさん   おかあさん   おとうさん   その他

◆災害後:復旧時◆

★災害の直後は、子供の恐怖心と不安を軽減してあげる努力をしましょう。

★家族が一緒にいるようにしましょう。家を探したり、救助を求めたりする間、親戚や友人に子供を預けたいと思うかもしれませんが、その反対に、できる限り、家族 が離れ離れにならないようにし、子供たちと共に家族で立ち直る努力をしましょう。  子供は、どこかに預けられたりした場合、不安になり、両親が戻ってこないのではな  いかと心配するでしょう。

★静かに、確信を持った口調で、現状の説明をしましょう。その災害について、知 ていることを、できる限りわかりやすく説明してあげましょう。そして、次には、どんなことが起こり得るかということも説明しましょう。たとえば、「今日は、みん  なで一緒に避難所に泊まることになるよ。」などということを、子供の目の高さで、話してあげましょう。

★子供たちに、努めて話させるようにしましょう。災害について話したいだけ話させ、質問したいだけ質問させましょう。どのように感じているか、すすんで言葉にするように導き、その言葉を聞いてあげましょう。もし可能なら、家族全員で、話し合いましょう。

★復旧活動に子供も参加させましょう。子供たちにできる仕事を任せましょう。子供が、自分たちも復旧作業の一員であるという実感を持つ助けとなります。一員となって働くことで、全て何とかなるだろうということを理解させる助けとなります。

★子供が、どんなことで不安になったり恐怖心を抱くかを理解することで、そのような感情を軽減する助けができます。確信と愛情を持って、安心させてあげてください。そうすることで、子供は、いつか事態は平常に戻るだろうということを悟ることができます。もし、子供が以上のことを行っても、反応がないようなら、精神専門家などに助けを求めましょう。

  連邦緊急管理委員会の家族保護プログラムは、アメリカ赤十字の地域災害教育プログ ラムとの協賛で、この手引き書を開発しました。両者ともに、全ての災害に対して人々が 準備する助けとなるための国家的努力です。災害に、どのように準備、対処するかについ てさらに情報が欲しい方は、地域または州の緊急管理事務所または、地域の赤十字に連絡 してください。

「世界子育てネットSweetHeart」 http://www.sweetnet.com/

 

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