今回は、「幸せ」と言うものについて、考えてみましょう。これは解っているようで、解っていないような難しい言葉です。「幸せ」と言っても、いろいろな観点から、見ることが出来ます。宗教的に定義するときもありますし、哲学的に見ることもあります。また、人それぞれ個人的な意味もありましょう。ここでは、心理学的に、幸せについて何が言えるかを、考えてみます。
先ず、幸せとは気持ちであり、感じるものですから、一時的であり、はかないものであります。「幸せ」と言う瞬間があり、瞬く間に過ぎ去ってしまうこともありますし、「幸せ」という気分があり、暫くその気分でいられる時もあります。でも、そのうちに消え去ってしまうものです。
「幸せ」と言う気持ちは、ある欲求がかなえられた時に起きます。例えば、人に受け入られ、認められると幸せに感じます。競争などして勝ったり、物事で成功したりすると幸せに感じます。変わったところで、異性と誰にも言えない秘密を持つほどの信頼関係を経験しますと、幸せに感じます。また、理想化出来る人を見つけた時や、自分の能力をフルに発揮でき、人がそれを認めてくれた時、幸せに感じます。
ある人にとって、何が幸せに至る肝心な欲求であるかは、性格形成中に親との関係で決まり始めます。例えば、母との関係の中で、感情的親密感を味あえた子供は、大人になってからも、大切な人との親密を楽しみます。また、父親が、息子のスポーツの勝利に感動できれば、その子にとって、将来、勝利というものが、他人とは比べられないほど、大きな幸せを感じさせるかもしれません。
でも、幸せを感じるにはもう一つ心理的条件があります。それは、心の健康と、自分の欲求を肯定できる態度です。ちなみに、ノイローゼのある意味は、自分の欲求を満たそうとする時、その反対の気持ちが起こって葛藤を起こし、欲求を表現できない事でもあるのです。自分を満足させようとしますと、罪を感じ、幸せを感じることが出来なくなってしまうのです。すなわち、「幸せ」は、心の健康が土台となって感じられる気持ちなのです。
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