日本人の患者さんからよく聞かれる質問に、「血液型で性格がわかるのですか。」があります。日本ではよく血液型で相性を調べたり、占いをしたりします。でも、心理学には血液型と性格の関係を説いた理論は残念ながらありません。私の知る限り、そのような研究はアメリカでは見あたりません。でも、あまりにもよく聞かれる質問なので、自分ながら興味を持ちはじめたのも事実です。そこで、ちょっと調査をしてみることにしました。
実は、私のオフィスに相談に来られるほとんどの人は性格テストをしています。ですから、性格はもう解っているわけです。そこで、日本からの関係書物を使って、A型を「組織的、完璧主義的、真面目型」、B型を「個性的、独立的、リーダー的」、AB型を「哲学的、内面的」、O型を「社会的、演技的、適応型」と定義しました。それから、最近来ている人達に血液型を聞き、それとテストから得られた性格とをてらし合わせてみたのです。
結果は、血液型から予言する性格は30%位しかあたりませんでした。すなわち、「血液型と性格はあてになるほどの関係はない。」ということです。でも、それではどうして多くの日本人が血液型に興味があるのでしょう。ただの遊びと言ってしまえばそれまでですが、もう少し考えてみましょう。
人の性格というのは、一つの型に、はめ得ないものがあります。現在アメリカで使われている臨床診断書には10種類の人格があげられていますが、一般に、個人を見ると少なくとも2種類以上の人格から形成されています。すなわち、人には色々な面があるということです。であれば、例えば、A型の人はB型の性格を含んでいても不思議ではないですし、A型として性格が当たらなかった人でも、その性格をよく見るとA型らしきものが見つかっても変ではありません。この考えにもとずいて血液型と性格の関係を再検討してみると、今度は、80%ほどあたりました。実験的に正確に見ると、存在しない関係でも、日常よくなれたある程度「不正確」な考え方を使いますとそこに関係が現れるわけです。実際に、「ある」、「ない」、は別として、考えるから存在するもの、「そう信じるから起こるもの」は沢山あるように思えます。いかがですか。
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