秘密のメッセージ

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私たちは言葉を使って他の人とコミューニケーションをしますが、お気付きのようにコミュニケーションの内容は、言葉の意味だけではありません。言葉の意味は言い方によって意味が変わってきます。例えば、「桜が咲いています。」をイントネーションや気持ちの入れ方を変えることによって、「だから幸せです。」と意味したり、「だから困ってます。」と意味したりもできます。試してみてください。

ここまでは、毎日言葉を使っている私達には、当たり前のことなのですが、もう一つ隠されたメッセージがあるのです。それは、コミューニケーションの中に相手についてのコメントがついているということなのです。同じ「桜が咲いています。」の例を使いますと、今度は相手との人間関係や自分の動作を使って、「それにも関わらず、ここに座って花見もしないあなたはだめな人。」とメッセージを伝えたり、「花見をいっしょにできるあなたは楽しい人」というメッセージを伝えたりします。まあ、以心伝心をできる日本人?にとってこのようなメッセージが読めることもあまり不思議ではないかもしれません。

しかしながら、言葉で表している意味と、隠されたメッセージとが矛盾しているとき、相手が困ることはよくあります。例えば、「もう、あなたは大嫌いだ、消え失せてくれ。」と言いながら動作は、「でも、あなたは私にとって大切な人。」と伝えたら、相手はどちらをとったらよいか解りません。動きがとれなくなってしまいます。また、「どうぞ、私のをご自由にお使いください。」と言いながら、動作が「でも、これを使うあなたは人でなし。」と表したら、相手が困ってしまいます。

何年か前に、分裂病(当時の名前)を育てる親は、このような矛盾のあるメッセージを子どもに与えると言われた事がありました。確かに、矛盾のあるメッセージを毎日聞いていたら、心がわれてしまうような気がします。でも、今となってはそれほど珍しいことではなくて、日常見られるコミューニケーションの例であることが解っています。それにしても、このような矛盾がいつも伝わってきたら、安心できないのは確かです。結果として、心の不安定を導くことでしょう。

よくあることで、親が「おまえはいい子なんだからね。」と言いながら、年中叱っていたらどうでしょう。子どもとしては、「もし、お母さんの言うように、僕がいい子なのなら、どうしてそんなに叱るのよ。」と言いたくなってしまいます。結局お母さんの動作、すなわち叱りを通して伝えるメッセージは、「おまえは悪い子なんだ。」ということです。

しかしながら、母親も本当は自分の子のことを悪い子とは思っていないかもしれません。でも、子どもに足りないことがあるので、ついつい叱ってしまうのでしょう。それもその子のためを思ってです。でも、子どもの足りないところに目を向けて叱ってしまうということは、やはり子どもがいけないと思っているということなのでしょうか。

ここで気付くべき大切なことは、私達の複雑な気持ちは、言葉を通し、動作を通して相手に伝わってしまうということです。その結果、相手はあと味の悪い気持ちを経験します。もし、言葉と動作に矛盾がなく、それらがハーモニーとなって伝わったとき、メッセージははっきりしていて、理解しやすく不安もへります。ちなみに、私達の感じる不安は、コミューニケーションの曖昧から発生するという考えもあります。私達が矛盾のない本当のメッセージを伝えられるとき、私達は本物ですが、それは一見簡単そうで、案外難しいかもしれません。

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