Shall We Dance?

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少し前の話しになりますが、アメリカで話題になった日本の映画で、"Shall We ダンス?"というのがありました。真剣、努力、笑い、悲しみなどを盛り込んだ楽しいドラマでした。日本人にとって、手をつないだり、ダンスをすることは恥ずかしいことですと、コメントをしながら映画は始まりました。

映画が始まって数分しますと、ある日本人が立ち上がって、シアターを出てしまいました。その人は、日本人として恥ずかしいと感じて、席を立ったのだと、私は想像しました。シアターの観客は、90%アメリカ人だったと思います。日本人同士だけでこの映画を見るならば、滑稽なところは大声で笑って済むでしょう。ところが、アメリカ人と見ますと、自分の恥を見られているような気がして、居心地悪くなる人がいるかもしれません。これは、人目を気にしがちな日本人が、映画の人物と同一化してしまい、いかにも自分が見られているかのように思えるからです。

 数年前、日本人の知人が、アメリカへ来て映画を見た時のことでした。その映画には、日本人がギャングとなって登場したのですが、彼は映画の中の日本人人物が格好悪いと思い、シアターにいて恥ずかしいと思ったのです。映画が終わった後、その恥ずかしさで、席を立つことが出来ず、アメリカ人が皆帰った後、素早く退場しました。「他に緊急出口があれば、それを使わさせてもらいたかったのですが、、、」と、大変恥をかいたそうです。別に彼が映画の中のギャングであるという事ではないのに、いかにもそれであるかのように、同一化しアメリカ人に笑われているように感じたのでしょう。

 日本ではこの同一化現象が、社会問題につながった例も見受けられます。例えば、ある中学生がいじめを苦にして自殺をすると、他のいじめられている中学生も、自殺した子と同一化し、自殺を真剣に考えてしまう事があります。中学生の自殺が、日本全国で続いた時には、偶然と言うこともありますが、心理の奥で、同一化現象が起こっていたのかもしれません。

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