浮気ってかなり多そうな感じがします。テレビや映画ドラマを見てもその話題を扱うことは頻繁にありますし、周りの「ゴシップ」を聞いてもかなり伝わってきます。私がセラピーで結婚問題や離婚の相談を受けることがありますが、過半数は浮気の問題が含まれています。結婚問題の相談をされたとき、浮気の有無に関して質問をしなければ、セラピストの落ちとみなしてよいくらいでしょう。
さて、男女がお互いを選択し、「カップル」となってつながりますと、必ずしも選択されなかった男女が存在します。その「三番目」の人物が実存するか否かは、どうでもよいのですが、可能性として男性には、カップル外の女性がいつでも存在します。同じく女性には、カップル外の男性の存在を認めないわけにはいきません。すなわち、浮気が起こりうる状態は常に存在する状態がカップルが成立すると同時に発生するわけです。
そのために、「カップル」がその存在を守るためには、常に外に対して、すなわち「第三者」に対して、警戒していたり、防御的な立場を取っていなければなりません。例えば、カップル内に必然的に起きる怒りや攻撃心を外に向けて、自分たちの統一を強めたりします。
しかしながら、「カップル」の存在が続くにつれて、お互いの期待が破られたり、毎日の個人的なストレスも避けるわけにはいきません。こんなときに「カップル」内でよく起きる心理的動きは、「相手を自分のストレスの吐き箱に使ってしまう。」ということです。何か自分に問題が起きるごとに、相手の責任にしたり、たとえ相手の責任にしなくても、相手に対して怒りをぶつけ、ののしったりしてしまいます。こういうのが蓄積されていくと、相手がかなり悪く見えてくるのを避けられません。
その一方で、「カップル」に託した夢と欲求は、次第に現実化されたものと、期待にはずれたものとに分けられていきます。現実化されたものが多ければ、カップルの関係の安定感もよいことでしょう。しかし、実らなかった夢と欲求が多かったり、それが自分にとって大切なものであったりすると、自分の心の中に秘めていくようになります。
この心の状態、つまり相手が「悪」の袋となり、自分の夢や欲求は心に秘められた状態は、非常に不安定で、「第三者」の助けが必要になってくるわけです。その「第三者」は、まさにそれまで自分たちカップルが自らを守ろうとしていた外からの脅かしなのです。
それまで心に秘めていた夢と欲求、そのために自分のパートナーをそのフラストの吐き箱にまでしてしまった、その夢と欲求が「第三者」に託されます。それまで、カップル内に存在した秘められた夢と欲求は分離されて「第三者」へ転移され、そしてフラスト、失望、醜悪はカップル内のパートナーに蓄積されます。
ところで、このような三角関係は、心のフラストの解決方として発生したわけですが、それを保つのも、そう簡単なものでもありません。この三角関係を安定させるために、「浮気者」と「浮気相手」は常に、浮気者の「カップルもとパートナー」を悪者扱いしなければなりません。そのために、「浮気者」は、「もとパートナー」の悪いところだけを「浮気相手」に強調したり、嘘をついてでも、「もとパートナー」の悪を作り上げたりします。そのようにして、浮気関係内でのフラストをもとパートナーに転移していきます。
もちろん「浮気相手」個人にもパートナーがいるかもしれません。つまりその人も男女にかかわらず、別のカップルの一員であったりするわけです。ですから、その人も、浮気者と同じく、自分のパートナーの悪口を言うことによって、浮気関係の正当化を図らなければなりません。また、その人がシングルの場合には、浮気者と同じく、浮気者のパートナーの悪口を言うことによって、自分の浮気関係内で感じるストレスを発散していくことになります。
その後、浮気が長く続きますと、浮気の関係も徐々に進化していき、以前のカップルに似たような状態になるかもしれませんが、それはまた別の話としておきましょう。
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