虐待(精神的/肉体的DV)
SweetHeartの掲示板には度々、パートナーからの精神的/肉体的虐待、幼児虐待についての書き込みがあり心が痛みます。そしてメルマガにも書きましたが、およそ三分の一の方が精神的虐待もしくは肉体的虐待を受けていると答えた先々週のVoteの結果にはショックを受けました。
■身体的(殴る蹴る)・精神的暴力(脅す、ののしる、卑下する、無視する など)を配偶者から受けたことがありますか?回答数:296
選択回答名 | 回答数 | 割合 | 割合の目安 |
---|---|---|---|
受けたことがない |
199 | 67.2% | ++++++++++++++++++++++ |
精神的暴力を受けたことがある |
49 | 16.6% | +++++ |
身体的・精神的暴力を受けたことがある |
48 | 16.2% | +++++ |
今回は、自分でも気づきにくく、他人にもわかってもらえにくいEmotional Abuse(精神的虐待)に関して、調べてみました。
精神的虐待をされている人は、気づかないうちに自分自身への評価が低くなり、自分を責めたり、無力感を感じるようになってしまっている人が多いということです。また、他人に相談しても「あなたにも改める点があるんじゃないの?」「好きで結婚したんでしょ?」「子どもがもう一人いると思って。」「夫婦げんかは犬も食わぬって言うから。」などと言われ、誰にもわかってもらえない辛さを一人で抱え続けてしまう人も、多くいるようです。このような、状態から脱するには、まず自分が精神的虐待を受けているのかどうかに気づくことから始まるそうです。そこで、まず精神的虐待がどんなものなのか、その兆候をリストアップしてみました。もちろん私は専門家ではないので、気づいた状態から一体どのようにしたらいいのかはアドバイスできませんが、最も良い方法は、やはり専門家(カウンセラーなど)に相談することのようです。
DV(Domestic Violence 家庭内暴力)の専門家Garcia Gusmanさんの言葉を引用します。「一端、癒しの方法を求め出した人は、パートナーとの問題は自分の責任ではないということに気づき始めるかもしれません。そして、セラピーやサポートグループなどに参加することにより、自信を取り戻し、虐待的行動を識別できるようになり、いずれは大きな変化が訪れます。・・・長いトンネルから抜け出そうとする時、虐待的なパートナーが「おまえにはできない」と言った全てのことが、「できる」ことに気づき始めるのです。再出発ができるのです。アクセスできるサポートがあれば、アクセスしてみてください。まずは、本屋や図書館で多くの資料が得られることでしょう。」
夫婦間で起きている精神的、肉体的虐待は、子どもに波及します。、パートナーに虐待を受けた人は、心がすさみ暗い気持ち、いらいらした気持ちを子どもに向けてしまうからです。虐待の連鎖を、どこかで断ち切る、そのための斧を振り下ろせるのは、今被害を受けている貴女自身かもしれません。
内閣府男女共同参画局による「配偶者等からの暴力に関する調査」 "身体に対する暴行をうけた"は女性15.5%、男性8.1%、 身体的暴行、心理的脅迫、性的強要のいずれかをこれまでに 1度でも受けたことのある女性は約5人に1人となっている。 |
Domestic Violenceのアメリカでの定義は、「配偶者や恋人など親密な関係にある(あった)者に対して身体的・性的・心理的攻撃を含む暴力を繰り返しふるうこと」で、以下のような5つのカテゴリーに分かれます。
1)身体的暴力 (殴る、蹴るなど)
2)精神的暴力 (脅す、ののしる、卑下する、無視する など)
3)経済的暴力 (生活費を入れない、借金を重ねる など)
4)社会的暴力 (行動の監視・制 など)
5)性的暴力 (強要、暴力、避妊に非協力、浮気 など)
多くの女性が、自分は身体的な暴力を受けていないので、DV(ドメスティック・バイオレンス−家庭内暴力)の被害者ではないと思っています。けれどもDVは、身体的虐待ばかりではありません。Emotional Abuseといい精神的な虐待もあるのです。
貴女の精神的な落込みが、実は配偶者との関係が原因としており、貴女の自分に対する肯定感情(セルフ・エスティーム)が配偶者によって蝕まれていることにさえ気づかない人が多いのです。
虐待者は会話をしても強引に自分の主張を押し通したりするので、被害者は何が正しいか何が間違っているのかを考える余裕がなくなってしまいます。
<精神的虐待のサイン>
何かに悩んでいてもパートナーと話し合うことができないと感じますか?
パートナーは、頻繁にあなたを批判し、侮辱し、自信を傷つけるようなことをしますか?
パートナーは、あなたが自己主張をしようとするとバカにしますか?
パートナーは、あなたを友人や家族、その他の人々から孤立させようとしますか?
パートナーは、あなたの仕事、お金、物に対して制限を設けようとしますか?
パートナーは、あなたから何かを盗んだことがありますか?借金として貴女に何とかしてもらおうとしますか?
あなたとパートナーの関係は、非常に親密なときと疎遠なときの間をいったりきたりしますか?
口論を避けるだけのためにセックスをいやいやしていると感じますか?
あなたは、この関係に捕らわれて抜け出せないと感じることがありますか?
あなたのパートナーは貴女の物を捨てたり壊したり、またはペットを脅したりしたことがありますか。
あなたはパートナーを怖れていますか?
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「ジギルとハイド」
パートナーは、ある事に対して、ある時は問題なく感情を害することがないのに、別の時には、豹変したように怒ります。はっきりした理由もなく、この二つの状態を繰返します。
「もし・・・だったら、いい生活なのに」
あなたは、もしパートナーの感情の嵐が吹き荒れることがなければ、自分達の関係は完璧なものだと頻繁に思います。嵐と嵐の間にいるときは、あなたの生活は素晴らしいと思いますが、ひとたび嵐が来そになると、卵の殻を壊さないようにおっかなびっくり歩いているような気持ちになります。
「卵の殻の上を歩くような気持ち」
あなたがどんな行動をしようとパートナーが突然怒り出すと感じることがあります。パートナーを怒らせないためにあらゆる努力をしますが、そういう気持ちが長引けば長引くほどパートナーは、あなたがたとえ何をしても爆発しがちです。
「お前(あなた)に我慢ならないけれど、俺と(わたしと)分かれない方がいいよ。」
パートナーは、あなたは彼と関係を持つ価値はないけれど、あなたが彼の元を去ろうとするとより激怒します。
「問題があるのは、おまえだ」
パートナーは家庭内の争いにおいて決して自分の過ちを考慮せず、どんなにバカらしいことでもあなたのせいだとなじります。
「俺(わたし)がこうなったのは、おまえのせいだ」
パートナー自身の問題や過ちさえ、あなたのせいになります。たとえば、彼が仕事に遅刻したことも、職につけないことも、支払いが遅れたことも・・。
「他人のせい」
もし、問題や過ちであなたのせいにされない場合は、誰か他の人のせいにします。
「過剰反応」
パートナーは、ちょっと気に入らないことでも過剰反応をします。たとえば歯磨き粉の蓋が閉まっていなかったとかいった些細な苛立ちでも、激怒します。
「仕返ししてやる」
パートナーはより良い関係について話し合おうとはせず、あなたの感情を傷つけるような方法で仕返しをします。
「全ての喧嘩はおまえのせい」
パートナーの過ちに関しては話しあうことはできないように感じます。もし話し合おうとすれうば、常にあなたが犯した新たな過ちに話を持って行ってしまいます。
「おまえは価値がない」
パートナーは、あなたが何もうまく(正しく)できないから、あなたが悪いのだと言い続けます。
「非現実的な期待」
パートナーは、自分の必要を満たすために、あなたに頼っており、あなたに完璧な連れ合い、愛人、友達であることを期待し、あなたが彼の全ての必要を満たすことを期待します。
「自分の感情を他人のせいにする」
あなたは「おまえが俺を怒らせるんだ」「お前が俺の言う通りにしないから俺の気持ちが傷ついた。」「怒らざるをえないんだ。」と言われたことがあります。
「ひどい嫉妬」
パートナーは嫉妬することは愛の証だといいます。嫉妬は不安な気持ちの証であり愛情ではありません。あなたが誰に会ったのか質問されたり、電話が頻繁にかかって来たり、不意にあなたの元に現れたりします。
<DV防止法>
今まで、日本では配偶者から暴力を受けても「夫婦喧嘩」「家庭内のもめごと」などと見過ごされてましたが、2001年10月13日に、配偶者や恋人による暴力から被害者を守るためのDV防止法が施行されました。2002年、最高裁は全国の地裁が出した保護命令の件数をまとめた結果、申し立て件数は1000件を突破し、制度が定着すると同時に申告者の数も増加しています。
保護対象は配偶者で、事実上の婚姻関係にある人も含みます。被害者の保護を国や自治体、警察に義務付け、都道府県に配偶者暴力相談支援センターを置くように定めました。被害者の申し立てに基づき裁判所が出す保護命令には6カ月間の接近禁止命令と、被害者と同居の家から2週間退去させる退去命令の2種類があり、違反者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金になります。
DV法
http://www.iwoman-net.com/imarket/mame/mame-DV.htmlしかしこのDV法の中の「暴力」は、殴ったり蹴ったりなどという身体に対する暴力をさし、原則として言葉の暴力は対象となっていません。そこで、現在「暴力」の概念を「心身」に有害な影響を及ぼす精神的暴力も含むようにしようというDV法改正の動きがあります。
<参考になる本>境界性人格障害=BPD (はれものにさわるような毎日をすごしている方々へ)星和書店
境界性人格障害をもつ人のまわりには、その行為に困惑し、苦痛に耐えながら日々を過ごしている人が大勢います。臨床医をはじめ家族や友人が、振り回されずに彼らと付き合うための対処方法を体験談を交えながら説明します。
心の傷を癒すカウンセリング366日―今日一日のアファメーション 西尾 和美 (著)
毒になる親―一生苦しむ子供 スーザン フォワード (著), 玉置 悟 (翻訳)
Toxic Parents : Overcoming Their Hurtful Legacy and Reclaiming Your Life
by Susan Forward (Author)The Emotionally Abused Woman : Overcoming Destructive Patterns and Reclaiming Yourself
by M.F.C.C. Beverly Engel (Author)"Learning to Live without Violence" by Daniel Jay Sonkin Ph.D. Michael Durphy, M.D.
アダルト・チルドレンと家族―心のなかの子どもを癒す 斎藤 学 (著)
「家族」という名の孤独 斎藤 学 (著)
「愛は傷つけない」 DV・モラハラ・熟年離婚-自立に向けてのガイドブック (単行本) ノーラ・コーリ
<参考になるホームページ>
モラ夫の妻が無力になるストレスの法則 ★★★★★
モラルハラスメント国際結婚の行く末: 在アメリカ 国際離婚 現在、親権をめぐって1年以上離婚闘争中の方のブログです。さまざまな離婚例なども掲載しており海外で離婚を考えている方には、とても参考になるブログです。Patterns Of Emotional Abuse・・・精神的虐待に関して参考になる英語サイト
いなばのしろうさぎ(DVの内側からの発信)・・・子どもの頃に虐待を受けた筆者の手記
<虐待ホットライン>
アメリカNew York Asian Women's Center http://www.nyawc.org
HOTLINE(トールフリー)
1-888-888-7702 または 212-732-5230
39 Bowery, PMB 375
New York, NY 10002
FAX: 212- 587-5731
National Council on Child Abuse and Family Violence 1-800-222-2000
National Resource Center on Domestic Violence 1-800-537-2238
National Women's Resource Center - 1-800-354-8824
日本日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン
トラウマ全般の相談
電話番号 03-5445-0696
日時 月〜水曜日・金曜日 午後1:00〜午後5:00
木曜日 午後1:00〜午後5:00 午後6:00〜午後9:00
(祝祭日はお休みとなります)
内容 児童虐待、性暴力、夫婦間暴力、老人いじめ、親虐待、学校・職場いじめ、虐待などの相談、トラウマによって摂食障害などの様々な嗜癖にはまったり、人間関係がうまくいかないなど、現在生き辛さを感じている全ての人たちのための電話によるわかちあいです。子供の虐待防止センター・・・電話相談
ガラスの心 ・・・DVに関する情報サイト。家庭内暴力、いじめ、幼児虐待、恋愛依存症など、DV体験談、参考になる本のリストも多くあります。
家族という名の強制収容所・・・親に虐待されて育った萌さんが、心の中を綴っています。虐待が一人の人間の心に残す恐ろしいほど深い傷跡。ケア&サポート・・・精神的虐待の認識、対処法、ヒーリングまで全てをカバーしています。実際に精神的虐待を経験された方のページのようです。