みなこさん
大変な時ですね。でも日本に帰ることができ、今お父様のそばにおられることはとても良いことだと思います。
偶然ですが、今日の夕方、風の強い外を歩いていて「3年前の今日もこんな風の強い日だったなぁ」と思い出していました。
3年前の今頃、母から電話がかかってきて「そろそろお父さんが体の痛みを訴え始めたから、帰った方がいいかもしれない」と。
父は半年前に肺がんという診断が出て、わかった時がすでに90歳近かったので治療はもうしない（手遅れというのもあり）で
家で静かに過ごしていました。でも夏から急速に弱まって、医師には癌の最後には体の痛みが出てくる、と言われていたので
母が連絡してくれたのです。
私がみなこさんと違うことは、仕事がフルタイムでなくパートタイマーで、週2日ほどしか働いていなかったので
休みやすかったことと、子供がもう大学の寮に入っていて、家には夫と私二人だけだったことです。
日本についてから、私の父の入院に付き添う日々が始まりました。母は８０代で、疲れていたし、兄は仕事。病院は小さいところで
毎晩の付き添いを要求されていました。（看護婦不足と父の日夜逆転のため、手が掛かる）
父は、頭がハッキリしている時もあれば、混乱して話がわからない時もあったり、微熱が続くこともあったり、
比較的元気で車椅子で外に少し出れる日もあったり・・色々でした。毎晩付き添って、食事介護などをしました。足腰はもう
完全に立たなくなっていました。そんな日が１月半続きました。そのうち、私の方がダウンしかけてきて病院に頼んで
夜は家で寝て、早朝6時ごろ病院に行くというパターンにしばらく変えてもらったりもしました。（父の夜の介護では眠れない
ことが多かったので）
父とは小さい頃からそれほど何でも話せる、という夫とうちの子供のような関係ではなく、父は典型的
昔の日本の男で何を思っているのかわからない、口数の少ない人でした。でも入院中に
「お父さん今まで本当にありがとう」と何度か口に出して言うことができたのは、私にとってはとても有難いことでした。
言えなかったら後悔していたと思います。（英語ならば I love you. ときっと言うべきところですが）
そして最期を看取ったのも結局私でした。
母からは毎日家に帰るたびに、本当に感謝されました。母自身も日中お見舞いに行きましたが、父は
日中は寝ていることが多く、手はかからない患者でしたが、夜は何度も起き上がろうとしたり、錯乱したりして
大変な夜が多かったです。そして母と家で、昔のことなど毎晩話をして、母はそれが本当に嬉しかったようでした。
思いがけず久しぶりに、母とは本当に濃い時間がもてた日々でした。
結局日本には49日が終わるまでいることになりました。田舎のお葬式は本当に大変で、母が倒れそうで
私はハラハラでした。父は普通の人（土地の名士などではない）ですが、その町で生まれ育っていて
知り合いが多く、葬儀には２００人以上が訪れて、有難いことではありますが、正直言って
本当に大変でした。四十九日までも、7日ごとの法要をしないといけなかったりして、来客が続き
老いた母だけには絶対に任せられないと思いました。
日本に長くいても、夫が早く帰って来いとは言わず、理解してくれたのも有り難かったです。
そして全てが終わって、日本を離れた私は、父への感謝の気持ちがありました。最後の二ヶ月近くのおかげで
親孝行の真似事ができたこと、日頃海外で申し訳ない思いをしていたけれど、最後にゆっくり父と時間を過ごせたこと。
私の心には平安がもたされました。

自分のことばかりですみません。
みなこさん、どうぞ元気を出してお父様のお手伝いをなさって下さいね。今はとても大事な時だと思います。
そしてご両親はみなこさんに本当に感謝されていることでしょう。

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