≪質問≫
ファイナンシャルアドバイザーに万一夫に何かあった時のためにアメリカ市民になっておいた方がいいと言われました。
特に、ブッシュJR政権になってから、そして911後、市民でない人(たとえば永住権を持っていても)の権利などが随分と脅かされていることが一つ。
また、夫に何かあった場合、ジョイントで貯金があっても、その半分には税金がかかるが、市民であれば、$675,000までは税控除されるということが一つです。
アメリカ市民になった方、日本の市民権はどうなさっていますか?法的には日本は重国籍を許していないので、申告をした時点で失うことになるわけですが、申告しなかった場合などは、どうなるのか?
もしかしたら日本には、一生暮らすことはないかもしれませんが、やはり生まれた母国の国籍を捨てるのはしのびないのです。
経験者の方、どうぞ教えてください。
≪アドバイス≫
私は敢えて市民権は取得していません。その必要性をあまり強く感じていないからです。
確かにおっしゃる税金の問題は私も知っています。(専門がアメリカの法律なので。)いわゆるUnlimited Marital Deductionが Trusteeがアメリカ市民、或いはアメリカのCorporationでなければならない(この規則によってお金がアメリカ国外に持ち出される可能性を防ぐのが主な目的です)とか、それなりのガイドラインに従ってトラストを設立する事になりますので、とりあえずは専門の弁護士に相談される事をお薦めします。(ファイナンシャルアドバイザーに相談するだけでは不十分と考えた方がよいでしょう。) ただし遺産額 (Gross Estate)が$1millionを越えたのみQDTの恩恵を受けられる事になります。「えっ、うちにはそんなお金はないから、わざわざトラストの設置なんて必要ないわ。」と早急に結論を出してしまう人も多いのですが、生命保険の金額その他を合わせると意外にその額に達してしまう場合も多いようです。
市民権を取る事によって可能になるという訳ですよね。でもアドバイザーの方は何とおっしゃったか分かりませんが、私達のようなグリーンカード保持者の為にあるQDT(Qualified Domestic Trust)なる特別なトラストを設置すれば、Deductionをアメリカ市民と同様に受けることが可能になりますよ。
≪アドバイス≫
手元に上記のQDTに関する英文での情報がありますので、参考までに引用しておきますね。(ちなみに付け加えさせて頂きますと、ファイナンシャルアドバイザーがおっしゃったらしい$675、000という額は法律改正により
引き上げられました。下にもそう書いてあります。)
Citizens are automatically entitled a big estate tax break -- the unlimited marital deduction. When properly used by a citizen, the unlimited marital deduction defers all estate taxes until both spouses have died. No matter which spouse dies first, all assets left to the surviving spouse pass without estate taxes. This is not true for a non-citizen, and the new tax law did not hange the rule. Resident aliens are not entitled to use the unlimited marital deduction unless there are legal assurances that the assets will not be removed from the US during the surviving spouse's lifetime. On the other hand, the exemption from federal estate tax is available to both citizen and non-citizen alike. The exemption had been capped at $675,000 -- but under the new law, the exemption was raised to $1 million on January 1, 2002. Include in the citizen's Will a legal tool called a Qualified Domestic This allows use of the unlimited marital deduction if the citizen spouse dies first, for any assets put in the QDT. The QDT is legally required to have at least one Trustee who is a US citizen or a domestic corporation. The surviving spouse can consume any income generated by QDT, but cannot withdraw the inherited assets except under special conditions. Estate taxes are then due after the second death (if the estate exceeds the $1 million exemption) and the taxes are paid from the trust funds. A QDT must follow very specific legal guidelines to offer any tax relief. The same goes for taking full advantage of the exclusion amount; a fairly complex plan must be built into your Wills to get full tax relief
Trust (QDT), as authorized by section 2056 of the Internal Revenue Code.
≪アドバイス≫
大変良い情報をありがとうございました。大感謝です。英語の説明の方も読んでみたのですが、
The surviving spouse can consume any income generated by QDT, but cannot の部分が、いまひとつよくわかりません。まずQDTの設置を夫ともう一人アメリカ人、もしくは会社の証人をつけて夫の遺書に記載してもらう。 そして夫が先に亡くなった場合には妻はQDTから派生する収入は使うことができるが”Inherited Assets” は引き降ろせない。の部分がわかりません。 QDTの利息とかは使えるけど、元金は使えないということなのでしょうか?だとしたら基本的には私が生きている間中元金には手がつけられないのでしょうか?すみませんが、説明していただけるとありがたいです。
withdraw the inherited assets except under special conditions.
≪アドバイス≫
ちょっと私の説明が不十分だったかも知れませんが、Trusteeによって「自由を制限される」とか或いは「お伺いを立てねばならない」なんて事はあり得ないし、あってはならない事です。
A trustee shall administer the trust solely in the interests of the beneficiaries. 上記のルールはトラスト管理における絶対的なものです。Trusteeは非市民配偶者に「忠誠を尽くす」のが義務です。遺産元金を投資にまわして「収入」を増やす選択にしても、配偶者の意志を優先しなければなりませんから、 プロ(銀行、企業等)であればある程、その辺はキチッと財政管理をしてくれると思います。 むしろプロによる管理を望むからこそトラスト設立にふみきる人もたくさんいるのだし。 あと、まりあさんのおっしゃる「夫の死後、家の半分を相続することになるのか」という点に関してですが。これにはお住まいの州の法律が関係してきます。 例えば私の住む州ではCommunity Propertyという制度をとっており、基本ルールとして、結婚生活の中で得た家なり収入なりは夫と妻が50ー50で所有しているという解釈がなされます。ですから夫の死後、家は100%妻のものになります。 アミダラさん、とりあえずはGross Estate(総遺産額)の計算をされる事をお進めします。その額によって税金がどれ位かかるのか、わざわざQDTを作る必要があるのかといった事が分かります。 Estate Tax,Gift Tax,それに加えて州独自の相続法が関連してくる場合もありますので要注意です。(アメリカの場合、国と州の二本立てで法律を調べていかねばならないので複雑になってしまいますね。)
むしろ「お伺いを立てる」のはTruteeの方でしょう。
≪アドバイス≫
上の投稿をした後で知り合いの弁護士に確認をしたところ、非市民配偶者自身がCo−Trusteeとして参加できる事が分かりました。もう一方のTrusteeがアメリカ市民であり、お金が国外に持ち出されるのを防ぐ役目さえすれば配偶者自身がdecison−makingに参加できるという訳ですね
≪アドバイス≫
再び大変ありがとうございました。それにしても、やはりまりあさんの心配
しているのと同じで急に自分の財産に自由に手がつけられなくなるというのも
なんだか不安ですね。仮にこどもが18歳を過ぎていたとしても子どもに、
いちいちお伺いをたててお金を使うというのもなんだかピンと来ません。
それでも、やはり夫に急に先立たれた場合、生命保険金にも税金がもろにかかったら、その後子ども達を育てていく上で辛いですよね。 すみません。相続税というのはとても高いものなのでしょうか?数年前、夫の祖父が亡くなった後、相続税で半分も持っていかれたと、義理の母が言っていました。相続の額によるのでしょうか?無知で本当にすみません。
≪アドバイス≫
ごめんなさい。自分で調べたらすぐにわかりました。今のところ相続税は18%から最高49%なのですね。そして2010年を目処に相続税全廃という動きもあるということを知りました。でも、そうなるとますますQDTの設立、もしくはアメリカ市民にならないともったいないですね。
私がファイナンシャルアドバイザーに言われたのは、もちろん相続の件ばかり 先に書いたようにテロ後の市民以外の人間の権利が狭められる可能性なども とにかく今回はありがとうございました。
でなく、自分でアメリカ市民になる場合と日本市民でい続ける場合のプロとコンをそれぞれ考えてみろと言われました。
考えざるを得ません。また、将来こどもも成人してしまい夫にも先立たれた場合でも、アメリカに残るつもりなのか?そんな年月を経て日本に帰って、定住して幸せなのか?孫子は多分アメリカだろうし。などなど色々改めて考えてしまいました。私の入っている日本人会のお年よりたちは、日本に帰りたいと言いつつ視察までした方もいますが、結局、日本にはもう住めないと言っている人も多いです。長い目で見て、日本人でいて何か得なことがあるのか?もちろん損得勘定だけで母国の国籍を捨てられないところに悩みが派生しているわけ
ですが。
≪アドバイス≫
非アメリカ市民が遺産を相続する場合、高率の税金を支払わなければいけませんよね。数年前に非アメリカ市民のための税金に関するセミナーで、650,000ドル以下の相続は、税金控除だと聞いたのを覚えていますが、2002年から、少し変わったようです。どなたか、詳しいことを知っている方、いらっしゃったら、教えてください。
又、Qualified Domestic Trustを設立していらっしゃる方いらっしゃいますか?自分で、ちょっと調べてみたところ、2002年から1ミリオンにあがり、2004年は、1.5ミリオンに、なったようです。 私が解釈したのは、資産を1.5ミリオン以上相続するときに、FEDERAL ESTATE TAXがかかるのだけれども、アメリカ市民権を持っている人が、結婚相手から相続する場合は、MARITAL DEDUCTIONというのがあり、上限は、関係なくなる。でも、受け取り側が非アメリカ市民の場合、QUALIFIED DOMESTIC TRUSTがないと、高額の税金をとられる。しかし、1.5ミリオン(2004年度)までは、Exemption である。 あっていますか?
> 先に書いたようにテロ後の市民以外の人間の権利が狭められる可能性なども
> 考えざるを得ません。また、将来こどもも成人してしまい夫にも先立たれた場合でも、アメリカに残るつもりなのか?そんな年月を経て日本に帰って、定住して幸せなのか?孫子は多分アメリカだろうし。などなど色々改めて考えてしまいました。私の入っている日本人会のお年よりたちは、日本に帰りたいと言いつつ視察までした方もいますが、結局、日本にはもう住めないと言っている人も多いです。長い目で見て、日本人でいて何か得なことがあるのか?もちろん損得勘定だけで母国の国籍を捨てられないところに悩みが派生しているわけ
> ですが。
>
> とにかく今回はありがとうございました。
>
≪アドバイス≫
あくまでは基本的なところではそうですよ。通称TAMRAと呼ばれる法律の施行により、非アメリカ市民が配偶者の死亡後、アメリカ国外に遺産を持ち出して遺産相続税を避けようとする試みも可能であるという見方がされ、その対策としてアメリカ市民であるなら受けられるUnlimited
Marital Deductionが非市民には受けられなくなりました。
Marital Deductionと言えばアメリカの遺産相続においては最も重要なDeductionとまで言われており、それを如何に上手に それではアメリカ国籍が無いと直ちに税金の面で損をするかというとそれは遺産額(Gross Estate)によってケースバイケースというのが最も妥当な答えです。 上記のDeductionとは別に、Unified Creditがあり、こちらの方は国籍に関係無く適用します。その額は年々、変更していますが、現在のところは$1.5millionとなっています。 ですから遺産がそれを上回るのでなければ非市民でも心配は要らない訳です。ただアメリカの法律ですと、生命保険金も課税対象になりますのであらかじめ、その点を考慮した上で遺産総額を計算する事が必要になります。 Qualified Domestic Trustは、配偶者の死後に設立する事も可能です。 このトピックに関しては近いうちにHP作成予定ですので、御興味があればどうぞ。
取り入れて遺産管理をするかが大切な課題となっています。
(死後9ヶ月内に遺産税の申告をする義務がありますから、その期間内に。)
勿論、遺産が上記額を超えるような場合はあらかじめ設立しておく方がよいかも知れませんが、QDOT(QDTではなくて、弁護士の間では間にOをいれて’キュードット’と呼ばれています)を専門にする弁護士は意外と数が限られています。(トラスト専門の弁護士だからといって、皆が皆QDOTに精通している訳ではなく、「それ何?」と真顔で尋ねる弁護士もいます。)Trustee(トラスト管理人)のうち最低一人は、アメリカ市民或いはアメリカの信託会社、銀行である事などの明確なガイドラインがあります。
≪アドバイス≫
>http://www.junglecity.com/pro/tax/5.htm
http://www.junglecity.com/pro/tax/6.htm
http://www.junglecity.com/pro/tax/14.htm
上記のサイトで米国公認会計士の方が、アメリカにある
アメリカ人夫の遺産を日本人妻(グリーンカード保持者)
がアメリカで相続する場合、Unified Creditsは
使えないと重ねて断言してらっしゃるのですが、これについては
どう思われますか?
≪アドバイス≫
今、御指摘のサイトにザッと目を通しただけですが、この方はUnified Creditという言葉は一度も使用していませんよね。その代りに「非課税」という日本語を使っていらっしゃいますが、これは混乱を招きがちかと思います。
(その上、この方が書いている$650、000という額は今では通用しません。) ちなみにMarital Deduction(配偶者控除)とUnified Creditは異なるものです。前者は正確に言うとUnlimited Martial Deduction,すなわち文字通りに”Unlimited”であり、遺産額によって左右はされずに税金の繰り延べ効果が可能になるという仕組みです。 またQDOTを設立した方がよい、といったニュアンスのアドバイスが書いてありますが、遺産相続専門の弁護士(厳密に言えばQDOTそのものに精通している弁護士)は必ずしもそういうアドバイスはしません。 トラスト設立の費用、管理費、その他諸々の制限を考慮した際、QDOTが必ずしも理想的なものとは言えないからです。(この問題点に関しては、私は以前にも掲示板に書きました。)とりあえずはRevocable Living Trust(これはアメリカ人に最もポピュラーな選択といってもいいかと思います)を設立しておいて、配偶者の死後9ヶ月以内にQDOTに書き換えるという選択権もあります。 今とても忙しく、これ以上に詳しく書いている時間も無いので、更に御質問があればメールをください。
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