2006年9月アーカイブ

 

Dr.田崎 寛:慶応大医学部卒。同大学病院の泌尿器科教授として活躍したあと、1995年渡米。現在ウエストチェスター・メディカルセンターで、日本人に限らず多くの患者さんを診る。

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NJ生活誌「おしゃべりたんぽぽ」より許可を得て転載しております。「おしゃべりたんぽぽ」はNJ北部に住む日本人女性達がボランティア・スタッフやライターとして女性の視点を生かして作り上げているNJ 州情報満載の生活誌です。「来たばかクラブ」というNJ新米の女性のためのお茶会や、こどものための「おはなし会」など、特にこれからNJ近辺に赴任される方には心強いオープンな活動をしています。

http://www.tampopo.info/xoops/

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「ドクター達は病院が嫌い」(What Doctors Hate AboutHospitals) という何とも不思議なカバー・ストーリーが2006年5月の「タイム誌」に出て、米国中に大きなショックを与えました。私の様に米国の大学病院の医療に直接関わっている者にとっても事態を深刻に受け止めるしかありませんでした。

Q : What Scares Doctors?
A : Being the Patient
(Q:何がドクター達を恐がらせるって?)
(A:患者になることさ)

という副題、一体これはどういうことなのでしょう。

ドクターたちの実話―タイム誌より

内科医ドクターLisa Friedmanの話。彼女は自分で触診してお乳にしこりがあるのに気付きました。2001年の夏のことです。「乳腺のしこりのほとんどは癌ではないから、ちょっと様子を見ることにしようかしら」と自分で判断、それが最初の間違いでした。9月になって自分が働いている病院の放射線科に行き、マンモグラフィー(乳腺X線検査)を受けようとしました。HMO(米国健康管理機構)では2年に1回の検査が受けられます。彼女は18ヶ月前に受けていて、何でもないからだめと言われますが、「ちょっと待ってよ。現にしこりがあるんだから自費でも検査してよ」と頼みます。やっと検査が受けられて結果を放射線医が見、即座に「こりゃあ癌だ」と。手術という段階になって「もう美容も何も関係ないから全摘してください」と外科医に頼みます。「しこりだけ取れば大丈夫」というので、外科医の言う通りにします。それが第2のミステイクでした。その後の治療は後手後手ばかりか薬は間違えるし、あらゆる医療ミスに巻き込まれます。Yale大学教授ドクターSherwin Nulandは娘の脳脊髄液ドレーンの失敗で精神荒廃に至った例を挙げ、小児科医ドクターDonald Berwickは奥さんの稀な脊髄疾患の入院で投薬ミス、検査の繰り返し、データの紛失、結果の誤読と一流の大病院で起こった例を語っています。なぜ米国の一流病院でこんなミスが頻発するのでしょう。この記事のレポーターNancy Gibbs and Amanda Bowerは、第一に米国の健康管理機構HMOが悪い、医者が医者を診るときにすべてがeasyになる、一方で現場の医療は経験不足の若者たちに連絡不足のまま任されるなどを指摘しています。

日本社会と医療ミス

この米国医療の状態は、ある面では日本の医療が抱える医療ミスの背景に共通するものがあります。日本の大病院では、患者を取り違えたり、肺や腎臓など左右2つある臓器の手術では、悪い方を取らずに病気のない方を摘出して、患者が死亡してしまうようなミスが起こっています。これは日本が単一民族で平穏に過ぎてきた国なので、誰もがお隣さんであり、親戚の延長のような社会でした。そのため「どこの誰々さん」で、病院でもどこでもさっさと話が通ってきた経緯があります。その「なーなーさ」は良い面も多かったのですが、最近の大病院ではそれが裏目に出て医療ミスの原因になっている例が多いのです。

格差を広げる医療制度

日本の国民皆保険制度は、米国のHMO とはまったく違います。日本の健康保険は、国家管理で国民に公平に医療を提供するのが目的です。これに対して米国のHMOは、保険会社が病院をグループにして管理していますので、人々は自分の収入と健康状態と保険料を較べ合わせて、どの保険会社(プラン)をとるか決めます。その歴史をたどると25年も前に導入されたDRG (Diagnosis RelatedGroup)というシステムに帰着します。DRGではすべての病気を400種類に番号分けして、支払いの上限を決めています。したがって医療ミスで医療費がかさんでも保険の払い戻しはありません。それが10年前HMOに発展してからは、米国医療は制限医療で、金持ちは優先的に高級な医療を受けられ、貧乏人は実質的に医学生や研修医による経験不足の医療しか受けられない状態になっています。

どこへ行く日本の医療

日本では医学生が病人を診断・治療することは許されませんが、医学部を卒業後、医師国家試験をパスしても2年間の必修研修医を義務付けています。だからと言って彼らの診療能力が高くなったというわけではありません。とくに最近の治療技術の急激な進歩は、年配の医師はもちろん若い医師も追いついていくのがやっとという状態が続いています。腹腔鏡手術がその典型で、新技術をやっとマスターしたと思ったら、すでに新しい方法が始まっているという状態で、医師の間に診断・治療能力の「格差」が益々広がっています。

有名な病院に行けば大丈夫という考えは、日米ともに過去のもの、「医者を選ぶも寿命のうち」と癌になって10年生きた人が言いましたが、さてどう選ぶかは次回に 。

 

徹底比較・日米医療事情 No.4 人間ドッグ

Dr.田崎 寛:慶応大医学部卒。同大学病院の泌尿器科教授として活躍したあと、1995年渡米。現在ウエストチェスター・メディカルセンターで、日本人に限らず多くの患者さんを診る。

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NJ生活誌「おしゃべりたんぽぽ」より許可を得て転載しております。「おしゃべりたんぽぽ」はNJ北部に住む日本人女性達がボランティア・スタッフやライターとして女性の視点を生かして作り上げているNJ 州情報満載の生活誌です。「来たばかクラブ」というNJ新米の女性のためのお茶会や、こどものための「おはなし会」など、特にこれからNJ近辺に赴任される方には心強いオープンな活動をしています。

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日本の尼崎で、107人が亡くなり500人以上の人が負傷するという、最悪の鉄道事故が起こりましたが、世界のどこにいても、いつ命にかかわる事態に巻き込まれるか分からないのが現代なのでしょうか?それにしても便利な乗り物は、衝撃に対して人間の身体を守るにはあまりにも脆くできているように思います。

電車、自動車、飛行機、エレベータでさえも稼動の時間や距離で定期点検することが義務付けられています。その考え方の始まりは、外洋を航行する船の定期的な点検にあったようです。つまり、長い航海によって船体が錆びたり貝殻などがこびり付いたりしているのをきれいにするばかりでなく、スクリューや舵など、船にとっては最重要の機能を果たしている部分を点検して、必要があれば補修することになります。このような作業は港で水に浮いていてもできることもありますが、普通は陸に上がった状態、つまりドックに入れて船体を休ませながら、点検と同時に悪くなったところが見つかれば修理することになります。

船のドック入りを人間にたとえ、人生という長い航海に疲れた人を休息させるという意味も含めて、「人間ドック」という言葉が1960年代に日本で使われるようになり、70年代からはその専門施設が続々誕生しました。現在では「一日ドック」「日帰りドック」とか「ドック式検査」とかの名前で日本全国どこにでも存在しています。

ところが米国には「ドック」という名前もないし、その目的だけの施設もありません。確かに「定期健診」annual check-upということは一部で行われていますが、一般の人がそれを受ける義務もないし、一回受けたからといって次にいついつ受けなさいという通知が来るわけでもありません。主として高脂肪・高カロリ−の食生活をする米国人こそ日本式の「ドック」が必要なはずなのに、なぜ発達しないのでしょうか?

原因は日米の保険制度の違いにあります。簡単に言えば、日本の国民皆保険制度と米国の任意保険+メディケア・メディケイドでは健康管理の考え方の根本が違うからです。日本では第二次大戦の敗戦直後から、医師会の反対を押し切って健康保険制度が発足して、公務員の政府管掌保険、民間会社の健康保険組合の保険、国民保険、生活保護保険の4種類で、国民全員がどれかに所属して政府主導の基金で運営されてきました。しかし、高騰する医療費と医療施設からの天井知らずの支払い請求から、20年前にはすでに30兆円を超える累積赤字で破産状態になっていました。保険者本人負担の増加や支払い請求の改善にもかかわらず、高齢化で老人保険や介護保険が加わる一方、パートタイマー、フリーターなどが保険料を払わない傾向も加速して、日本の健康保険制度はいつ破綻しても不思議でない状態です。米国でもヒラリー・クリントン上院議員は、日本式皆保険制度の導入を提案する1人でしたが、現大統領G.ブッシュはルーズベルト以来の社会保険制度の基本を金持ち優先の制度に逆行させようとしている状態です。

日本の「人間ドック」が繁盛している理由は、民間会社の健康保険組合が従業員に対して年1回は会社負担で定期健診を受けさせることで、生活習慣病の予防と疾患の早期発見をし、従業員を早く職場復帰させるためです。これは、生涯雇用を基本にしてきた日本の企業としてはきわめて合理的で建設的な習慣として定着しています。米国で国民皆保険も「人間ドック」も存在しないのは、もともと終身雇用の原則がないためだとも言えるでしょう。

ところで、「人間ドック」「定期健康診断」のメリットは、検査を受ける本人には実際にどの程度あるのでしょうか?各施設の検査項目にもよりますが、日本では内科中心の高血圧、高コレステロール、糖尿病のスクリーニングが基本健診で、次に日本人に多い消化器系の内視鏡、超音波、X線検査を行います。循環器系では、米国には心臓病が多いのに対して、日本では脳血管の異常が多いため「脳ドック」という検査(眼底血管撮影、MRIなど)が追加されます。費用は3万4千円から始まって、全部受けると8万円以上かかります。

実際どんな異常が見つかるかですが、多いのは生活習慣病予備軍、消化管ではポリープや胆石、超音波で腎臓結石、腎臓腫瘍・副腎腫瘍が偶然見つかることもあります。泌尿器系では尿検査で血尿が確認されれば、専門医の受診が必要になります。

日本人駐在員家族は、ニューヨーク市内、ウエストチェスター、ニュ−ジャージーで、日本の「人間ドック」と同様の健康診断施設を利用できます。日本のデータを持って年1回受診されることをお薦めします。何か異常が見つかった時に、前回の検査結果と比較することに重大な意味があるからです。
一方「人間ドック」はない、定期健診はあまり定着していない米国はどうでしょうか?過去10年、米国の患者さんの傾向を見ていると、本当に病気がひどくなって初めてドクターに行く人が多いのが現状です。癌なら、大きくなって手術では取りきれないとかすでに転移しているなど、日本と比べると病気の程度に大きな差があります。

日本の「人間ドック」の最初のアイデアは、「船のドック入り」と同じで陸に上がって長旅で疲れた身体を休める意味だったのですが、今は早い現場復帰のため。過労によるストレスがたまることが食生活と同様に生活習慣病に関係すると言われる現代、ゆっくり身体も精神も休める「人間ドック」があったら良いのにと考えさせられます。

豚/牛肉の部位

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USHI.gif 豚肉の部位 LOIN(ロース) 最も脂肪が少なく最も柔らかい

TENDER LOIN / Center Cut Loin Pork(ヒレ肉)ローインは部位によってさらに3種類に分かれるが、真ん中部分の肉Center Cutが最も脂肪分が少なく柔らかく高級 

Rib(あばら肉) Pork Country-Style Ribs(骨なしのリブ) Pork sideとも呼ぶ、スペアリブはこの部分、ベーコンやソルトポークもこの部位から作る

Pork Shoulder(肩肉) 脂肪分があり、ジューシーで柔らかい。

また付け足しで豚バラは私の住む街のスーパーでは売っていません。中華スーパーに行くとPork Bellyという名前で売っています。

以下の牛肉の部位に関しては、雑誌「たんぽぽ」から許可をいただいて転載しています。

NJ生活誌「おしゃべりたんぽぽ」より許可を得て転載しております。「おしゃべりたんぽぽ」はNJ北部に住む日本人女性達がボランティア・スタッフやライターとして女性の視点を生かして作り上げているNJ 州情報満載の生活誌です。「来たばかクラブ」というNJ新米の女性のためのお茶会や、こどものための「おはなし会」など、特にこれからNJ近辺に赴任される方には心強いオープンな活動をしています。

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アメリカでは鮮度のいい魚があまり手に入らないこともあってか、肉を食べる機会が多いと思いますが、スーパーに行ってみて「・・・こ れってどこの部分?」と思うことはありませんか?そんなあなたに代わって、牛肉・鶏肉の部位について調べてみました(よしみ)。 お肉を扱うときのポイント

◆ 冷蔵の場合、食肉の賞味期限は3〜7日です。

◆ 食肉を生のまま長く保存する場合は、冷凍保存します。マイナス20度以下で保管し、厳重にラッピングされたものであれば1年以上変質することなく良い鮮度のまま保存されます。丈夫なラップ材で肉を直接に包装しましょう。

◆ 冷凍肉は、肉のうまみとなる肉汁が急に流れないようにするため、低温でゆっくりと解凍するのが原則です。使用する24時間前に 冷蔵庫に移し、ゆっくり解凍します。外に放置したり、温湯に浸けたりすると、肉の風味や本来の旨味を損ないます。

【BEEF 牛肉】

◆ROUND(モモ肉)

モモ肉は基本的にき めの粗い赤身の肉で す。値段はサーロインなどに比べると安い です。カツレツ用の肉はこのモモ肉が使わ れています。 Top Round:内ももは内またにあたる部 分で、脂肪が少ない赤身。きめは やや粗いが柔らかく、肉質が均一 なので、ローストビーフなどかたま りで使う料理に合います。脂肪を好 まずあっさりと食べたい方には、す き焼き、しゃぶしゃぶにも使うとよい でしょう。

Bottom Round:外モモ肉です。赤身で脂 肪は少ないが、よく動かす部位な ので肉質はきめが粗く固め。煮込 み向きです。

Eye Round:外モモの一部の赤身肉です。煮込みやロースト用にします。 Round Tip、Sirloin Tip赤身肉です。場 所によっては固い部分もあります。 タタキなどにします。

Round Cube Steak: モモ肉を肉たたきで 叩いて柔らかくしたもの。細かい四 角の模様がついています。さっと焼 いて食べられるためMinutes Steak と書かれていることもあります。

◆RUMP(ランプ) ランプ(お尻に近い部分の赤身肉)で す。きめが細かくてロースのように柔らか く、味に深みがあります。ステーキ、しゃぶ しゃぶ、ローストビーフなど、ほとんどの料 理に利用できます。

◆SIRLOIN(サーロイン) 日本でもお馴染みのサーロインです。背 中からモモにかけての肉で、きめが細か く、脂肪が適度にあって柔らかいです。ス テーキ、焼き物に向きます。

◆SHORTLOIN (ロイン) ショートロインは日本ではロースと呼ば れる部分で、リブ(あばら)とロイン(腰周 辺)の間の部位です。日本ではこの部分も サーロインと呼ばれています。 T-Bone、porterhouse:肉の中心にTの 字に骨が入っているステーキ用の カット NY Strip、Strip Loin : T-Bone や Porterhouseの骨をトリミングしたも の。

◆TENDERLOIN(ヒレ) サーロインとショートロインの内側にあ る、直径15センチ位の筒状の部位です。 脂肪が少なく、とても柔らかい肉です。フィ レミニョンとも呼ば れ、牛肉の中では 一番人気のある肉 ですが、値段も ちょっと高いです。

◆RIB(あばら) 最も厚みのある ロースの部分で、き めが細かく肉質もよいです。 Rib Roast:きめが細かく柔らかい肉で す。薄切りですき焼きシャブシャブ に、厚切りでステーキにします。 Ribeye:リブローストの骨と余分な脂を切 り落とした肉のことです。Eye Of Ribとも呼ばれます。 Prime Rib:米国農務省が定める最高品 質のものに与える階級 (U.S.Prime)を付けられたリブこと です。

◆SHORTRIB(ショートリブ) 焼肉屋で出てくる骨付きカルビです。あ ばらのおなか側にある肉を指します。 Sparerib : 骨付きカルビですが、Short Ribより肉が少なく、骨にこびりつい た肉を食べる感じです。アメリカで はソースにつけたスペアリブを焼い て食べるのは、アメリカ料理の一つ になっています。

◆SKIRT, SKIRT STEAK (横隔膜) 焼肉屋ではハラミと呼ばれている牛の 横隔膜のことです。アメリカではそのまま バーベキューソースを塗りながら炭火焼き にします。パッケージから出すとびろーんと 長い肉になります。私はこのまま塩コショ ウして炭火で焼き、しょうゆをたらすだけで すが、これでも十分おいしいです。硬さが 気になるようならあらかじめマリネしてもお いしいと思います。

◆FLANK(トモバラ、カルビ) 日本でいうトモバラで、焼肉屋ではカルビ として出てきます。アメリカでは脂肪がトリ ミングされているので、日本のような三枚 肉ではなく赤身の固まりで、スカートステー キのように細長い形で売られています。 McCaferry'sでは 細長い肉片をくるくるっ と巻いた物がパックに入って売られてい て、結構おいしいらしいです。

◆SHOLDER(肩肉) 牛の上腕部分です。よく運動する部分 のため肉質はやや硬めですが、ゼラチン を多く含み肉の味がしっかりしています。 大半が赤身肉です。じっくり煮込む料理に 向くので、ビーフシチュー用の肉にはたい ていこの肩肉が使われているようです。

◆BRISKET(肩バラ) トリミングされているので日本のバラ肉