凍土の約束―50年かけて果たしたラーゲリの誓い
NHKの特集番組として見て感動して手に入れた本。
戦後、ソ連によって捕虜として極寒の地シベリアに連行された軍医だった渡辺さんが、死と隣り合わせの抑留生活の中で1人のルーマニア人の青年、アールヒップさんと出会い友情を育む。その後、アールヒップさんは、誰も生きて帰った者はいないと言われている、さらに北の果ての収容所に送られることになる。護送される前の晩、アールヒップさんは、渡辺さんの元を密かに訪ね、母国に残してきた 許婚に渡すつもりだった金の指輪を託す。必ず君は生きて帰って、婚約者にこの指輪を届けて欲しいと言うアールヒップさんに、渡辺さんは自分の着ていた衣服や下着までもアールヒップさんに手渡し、なんとしても生き抜いて欲しいと涙を流す。
時を経て、ルーマニアの独裁政権が倒され、渡辺さんの手元に「大日本帝国・・」と拙い字で書かれた一通の封書が届く。そして、ついに渡辺さんは死の床にあるアールヒップさんのいるルーマニアへと旅立つ。
時と空間、人種を超えて、出会うはずでなかった二人が時代の波に翻弄されつつも出会い、極限状態の中で友情を育み、再開を果たす姿が何よりも感動的でした。