ハンカチ王子と老エース−奇跡を生んだ早実野球部一〇〇年の物語
昨夏、日本中に感動を与えたハンカチ王子こと斉藤君と田中君の戦い。私は実際の試合を見なかったのですが、甲子園史に永遠に残ることになるであろう死闘の様子をネットで読み、いち母親として頂点を極めた17才の少年の強い精神力が一体どうやって育まれたのかに大きな興味を持ちました。
特に本のレビューで実は斉藤君は『以前は些細なことがきっかけで精神的に崩れてしまう投手だった こと、そして「僕はあの日、鬼になりました。」と自ら語るように、精神的な脆さを克服したきっかけがあったこと』を知り、さらに斉藤君の心の成長の様子を知りたくなり本を購入することにしました。
本の中では、斉藤君が早実に入学してから2006年のあの夏の瞬間までを追いながら、前後左右して
今回の早実の夏の選手権大会優勝が、いかに早稲田実業100年の悲願であったか、その苦難の歴史を紐解いていきます。
早実野球部創設、大戦後の焼け跡からの野球部の建て直し、昭和31~33年王貞治(墨田公園で草野球をして遊んでいた14歳の王貞治が、たまたま散歩に来た早実野球部復活の立役者の一人に見出され親の反対にあいながらも早実に入るまでのエピソードなども面白いです。)昭和55年~57年荒木大輔を擁してさえ成しえなかった優勝、そして斉藤君に引き継がれた優勝への悲願が、過去、現在にまたがって早実野球部に深く関わってきた人々へのインタビューを通して綴られ、その思いが読んでいても伝わってきました。
私は、特に野球が好きなわけではりませんが、この本は野球というスポーツを通して少年たちが成長する様子、そして100年という時の中に精一杯生きたひとりひとりの熱い思いが遂に一点の時と場所に結晶して偉業を成し得るまでを描いた人間ドラマとして大いに楽しむことができます。
甲子園決勝の最後の最後に斉藤君と対決することになった駒大苫小牧のライバル田中将大君がバッターボックスに入りながら「野球の神様がこの場面をつくってくれた」と思ったと後に語っていますが、まさに多くの人の強い思いには不思議な力があるとこの本を読んで改めて思いました。
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