ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ

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義明は第二次世界大戦後すぐに米兵GIにレイプされた母から生まれ4歳の時にエリザベスサンダースホーム(日本女性と米兵の間に生れた子どもを養育する孤児院)に預けられます。義明は「必ず迎えに来るから。」という母との指切りをずっと信じて待ち続けていましたが、ついに母は現れることなく、11歳の時にまだ日本人への差別の残る南部アメリカ・サウスカロライナ州のフラハティー家の養子になるため海を渡ります。

アメリカに着いた義明は、アメリカに溶け込むため、養子先の家族に愛されるため、人並み以上の努力を惜しまず、やがてスポーツ(フットボールと野球)で頭角を現し、高校生になる頃には義明の活躍は連日地元の新聞を飾るようになります。明るい性格、そして大活躍していても謙虚な義明は、多くの人から愛され学校の女の子にも大人気で輝かしい青春時代を過ごします。家族も義明のことを誇りに思い心から愛していました。

それでも義明は心のどこかで常に、自分はよそ者であり、アメリカに属していない、という思いを抱えていました。

やがて野球で奨学金をもらい大学に進みます。

その頃、ベトナム戦争が激化していましたが大学生は卒業するまで兵役が免除されていました。けれども義明は敢えて自ら陸軍に志願します。それは自分がアメリカ人になることを確認するため、そして6ヶ月戦地での任務を果たした後に兵士は休暇をもらえ好きな場所に行けるという恩恵を利用して日本に行き、生みの母を捜すため。

けれども、その6ヶ月目の休暇を待たずに義明は激戦地に送られ命を奪われてしまいます。享年22歳。

そして、それから何十年の時を経て実母が一日も忘れることなく、どんなに義明を愛し続けていたか、なぜ義明を迎えに行くことができなかったのかという真実が明かされます。

義明の死が義明の周りにいた人々にもたらした深く大きな悲しみにも胸が痛みます。

今日もイラクでは3人の兵士が、この3日で12人の兵士の命が失われたとニュースが流れています。

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コメント(5)

Sweetheartさん、このお話は本として出版されているものなのですか?
もしそうなら明後日から日本へ行くので探してみたいと思いますので教えてください。

返事が遅くなって申し訳ございません。はい。本として出版されているものです。本の写真をクリックしていただけると詳しい情報が出ます。

2週間前アフガンで日系のカナディアン兵士が亡くなりました。

でも、現地に主人の家族を持つ者として罪なき一般の人々が子供も含め殺されている話を聞くととても複雑な思いです。

いつも掲示板などを利用させていただいてます。
興味をもってすぐにこの本を注文して、今日届いたので早速読んでしまいました。読みながら、
何回も泣きそうになりました。澤田美喜さんの本も読むのが楽しみです。多分、ここを読んでなかったらずっと知らないままの本だったと思います。良い本を紹介してくださり、ありがとうございました。

カレーマンさん。ありがとうございます。私も電車の中で読んでいて何度も涙が出そうになり困りました。

短い生涯の中で悲しいことも、たくさんあったと思いますが、それでも、ほんの束の間でも、すばらしい青春時代をすごしたことが読み手にとっては救いのような気がします。

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