インフルエンザ騒ぎの中の日本滞在

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5月19日から日本に滞在して昨日アメリカに戻ってきました。なんと日本到着便はコンチネンタル便で関東の二人の高校生たちと同じ飛行機でした。そんなこともあり滞在中は日本のインフルエンザ狂想曲に、かなり振り回されたのですが、私が見て感じたことをレポートします。


【アメリカの空港で】

両親が「絶対マスクをしてきなさい」とうるさいので、一応看護婦の義理の妹にもらったN95マスクをバッグの中に持参してはいましたが、アメリカの空港では、マスクをしている人は皆無で、とても自分だけマスクをする雰囲気ではありませんでした。一人でつけたら余計皆に病気もちだと思われて恐れられてしまう感じがしました。

【成田空港で】

飛行機が成田に到着した途端に検疫官たちが乗り込んできて、スムーズに検疫は行われていきました。私の場合、今回とても悪い予感があったため、直前でマイレッジがたまっていたので、座席をアップグレードすることにしたのですが(結果的には大正解でした)、飛行機がガラガラだったせいもありビジネス・ファーストの一番前の一番端に席を取ることができました。

成田に到着してすぐ検疫官がゾロゾロと、まるでETの映画の中さながらの格好をして乗り込んで来ました(ETとエリオット少年が無菌室に隔離された場面覚えていらっしゃいますか?)。面白がって携帯写真を撮っているアメリカ人もいましたが、すぐに放送で「検疫の妨げになるので写真はおやめください。」との報道がありました。着陸前に黄色い紙に現在の健康状態と日本での連絡先を書きこんでいたので、それを検疫官に渡しました。

検疫は一番前の席からでしたし、検疫官がエコノミーの席に移動して行って少し経った後、20分ほどで先に外に出ることができたので、後の様子はどうだったのかはわかりませんでした。空港はいまだかつてないほど閑散としており(GWの終わったオフシーズンということもあったと思います。)、全くどこにも並ぶことなくスルスルと外まで出ることができ、あー無事に隔離もされずに出られたと正直ほっとしました。

インフルエンザに関する報道が、一番すごかった時なので親もかなり心配していたので、成田からすぐに連絡をいれておきました。成田から埼玉の実家まで、結構マスク姿の人がいるなーと思いました。

家について就寝前にメールのチェックをしたところで、4日後に会うことになっていた友人の2人(二人の夫は同じ会社に勤務)からのメールで「夫の会社で家族も含めアメリカ帰りの人とは接触してはいけない、というお達しが出たので、会うことができない」というメールが入っており、かなりがっかりな気持ちと「アメリカ帰りは、ばい菌扱いか?」という少し腹立たしい気持ちが交叉して悲しい気持ちになりました。

【翌朝から】
そして翌朝、県の保険職員の方から、そしてその後に市の保険職員の方から電話があり、「発熱した川崎と八王子の高校生たちが同じ便に乗っていたことがわかりました。席はかなり遠く濃厚接触ではないので、大丈夫だとは思いますが、これから7日間、体調のチェックのために毎朝9時半に連絡いたします。外出はなるべく控えてください。」とのことでした。もし席をアップグレードしていなかったら、濃厚接触者になってどこかに監禁されて数日泣いていたかもしれません。

マスクが、どこに行っても売り切れ。修学旅行の相次ぐキャンセル。インフルエンザにかかった高校生の学校の校長が涙を流しなが「社会をお騒がせしてすみません」と会見し、インフルエンザにかかった人の足取り、利用した交通機関、駅前からのテレビ中継が行われ、まるでばい菌以上の犯罪者扱いに近い状態だと思いました。この頃がインフルエンザ騒ぎがピークだったと思います。

友達からのその日のメールに、「このような扱いでは、たとえインフルエンザにかかっても申告するのは勇気がいるよね。黙っている人もきっと多いんじゃない?校長があんなふうに泣いてお詫びしちゃったら、感染した本人たちは、まるで罪人になったみたいに、もっといたたまれない気持ちになるよね」とありましたが、私もそのとおりだと思いました。

情報開示が大切と言っても、プライバシーが全く守られていない気がしました。確かに、名前だけは公表されないものの、ご近所さんには絶対にわかるような報道の仕方です。もし、私がインフルエンザにかかっていたら、滞在先の両親にどれだけ迷惑をかけていたかと思います。村八分だってありかもしれません。実際、インフルエンザ感染者が出た東京や関西の学校では、脅しのメールや電話がかなりあったそうです。ちょっとトチ狂っていると思います。

翌朝、毎朝9時半にかかってくるはずの保健所からの連絡が11時頃になってかかってきました。その前日埼玉でも京都の旅行帰りの男性が発生したということでパニックになった市民が保健所に電話をかけまくったため、その対応に追われてしまったとのことで電話口の職員の方が謝っておられました。

そして、その数日後に政府の方針がいきなり大転換。空港検閲はなくなり、濃厚接触者として空港に隔離されていた人達が解放されました。(結局、舛添さんが大パフォーマンスで連呼していた水際作戦で確認できた人数は10人以下、その数倍もの人が成田に監禁され、ウィイルス対策感の準備期間を稼げたとかトンチンカンなことを言っている間に、関西では既に3桁の感染者が出ていたわけです。戦時中に育った人は、舛添さんのパフォーマンスはまるで大本営の戦況情況発表のようだと言う人もいます。)それと同時に、各都道府県、各企業での個々の対応となり、異常に厳しい所と全然そうでない所の大きな差が生まれたようです。

たとえば、私に会うなと言った友達のご主人の会社は、会社オフィス内への外来者の入室の禁止。関西方面への出張見合わせ、海外出張の後は7日間の自宅待機。とすぐにお触れが出たそうです。でも、それぞれまったく別の会社に勤める学生時代からの友達など8人の会社では政府の緩やかな対応に順じ、海外出張も開始、関西社員の出入りも通常化したとのことでした。

埼玉市の学校では高校生の京都への就学旅行が永久中止になってしまいました。でも、横浜在住の友人の話では、横浜市は修学旅行中止にはなっていないそうです。

政府の水際作戦中止の発表あたりからは、マスクをしている人たちの数も激減していきました。新聞のインフルエンザの扱いも、いきなり数行になりました。でも、数日前にメキシコから帰ってきた児童の体験入学を断った学校があったなどと、小さく記事が出ていたりしました。

関西への一般旅行、および修学旅行のキャンセルが相次ぎ京都市の市長や大阪府が政府にその窮状を訴えた頃、麻生総理大臣が、「皆さん冷静な対応をお願いします。」と10秒ほどの全く説得力に欠ける、くさーいテレビCMを流し始めました。騒ぎを大きくしたのはお前達だろ!とテレビに向かって呟いてしまいました。

さらにインフルエンザの報道が激減しました。あの大騒ぎはなんだったの?状態です。

私が日本出国前に見た最後の報道では「政府は、修学旅行実行を推奨しまう。」と出ており、あの自粛と水際作戦パフォーマンスは本当になんだったのか?と怒りさえ感じます。せっかくの日本旅行に来て空港に7~10日間監禁された人はもっともっと腹立たしい思いでしょう。

インフルエンザ騒ぎは沈静化したとは言え、これから里帰りの時期を迎え、お子さんの体験入学を考えておられた方は、かなり心配していると思います。これは、私の一意見に過ぎませんが、情況は私が滞在した2週間のみでも刻々と変わったので、幼稚園、学校や市の教育委員への問い合わせも、もう少し様子を見てはどうでしょう。さらに対応も違ってくるのではないかと思います。

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コメント(4)

今年の夏に、友人が家族で遊びに来ることになっていました。でも、日曜日に電話が来て中止にしたいと言ってきたのです。
私の地元(神奈川です)では、今でも大騒ぎだそうです。

もしも、子供たちがアメリカに遊びに行ったと知られたら、いじめにあうかもしれないとか、ご主人の会社の人たちにうつしてしまったら・・・とか心配はつきない様でした。

結局、こちらに来てから、ワシントンDCなどに遊びに行く予定の飛行機やツアーなども全て諦めることにしたそうです。(一部、払い戻しが出来ないチケットでした。)
その損失は、1000ドル以上にもなります。一応、こちらではそれ程騒がれていないことを伝えたのですが、決心は固い様でした。

私は、日本のテレビとか見れないのでわからないのですが、随分大騒ぎになっていると聞きました。

友人と一緒に、ワシントンDCへ行く予定になっていた飛行機のチケットは息子と二人で行こうと思っています。
残念です。


本当に日本は、大騒ぎすぎだったと思います。 校長先生の涙の記者会見みました。 ”犯罪者扱い”に私も同感です。 うちの両親はカナダに来る予定でしたが、ご近所にカナダに行くってことが言えないぐらいの状況だったらしいです。 で、結局予定変更で延期になりました。 ニュースで見ていましたが、いちいち、感染者の校長や市長なんかの記者会見が必要なのかという感じでした。 それに、アメリカの日本語補修校の日本人が新型インフルエンザにかかってることがわかった時の、その学校の校長へのインタビューの質問が、”驚きや困惑はありましたか?”でした。 その校長先生は、さらっと、”他のインフルエンザと同じで。。。”と冷静で、かえって日本にいる日本人の反応の大げささが目立ちましたね。 

前回のコメントの訂正させてください
日本にいる日本人の反応 ----> 日本のマスコミ

さっちーさん、まるこさんコメントありがとうございます。

アメリカにいると日本が過剰反応しているのがよくわかるのですが、渦中の日本の中にいると、不思議と急速にその雰囲気に飲まれれてしまうんです。

私も到着前は、みんななんでこんなに集団パニックになってるんだろうと嘆かわしくさえ思っていたのですが、到着してからは「もしかしたら私は既に感染しているかもしれない。」「もしかしたら他人にうつしてしまうかもしれない。」という気持ちになってきました。もちろん家でも手を何度も洗ったり、家族の間でも、じか箸を控えたりしていました。

友達にキャンセルされたのも大きかったと思います。楽しみにしていたことが、いわゆる事故でキャンセルになった、と言うことは、小さいながらショックでありトラウマのようなもので、心が少し弱くなってしまったように思います。

特に、現状では、妻からサラリーマンの夫、そして夫の属する会社の人々にうつったとしたら、妻にとっては大変な心理的負担になると思います。日本人のそのような意識はアメリカ人にはなかなか理解できない部分だと思います。

現在、表面上は政府の統制がきいているのか、報道も控えめにはなりましたが、水面下では、まだまだいつ再沸騰するかわからない不安がしっかり渦巻いているように私は思います。

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