CAでは2011年から1月30日をフレッド・コレマツDAYとして祝っているということですが、CA在住の方はご存知でしょうか?(2013年ユタ州とハワイ州でも宣言)
真珠湾攻撃の後、西海岸に住む日系アメリカ人はアメリカへのスパイの恐れありとされ、財産はすべて没収、強制収容所に送られます。そんな中、当時23歳のFred Korematsu氏は、ただ一人、日本人を収容所に入れるのは全ての人の自由と平等を謳うアメリカ合衆国憲法に反するものであるとして、異を唱え、強制退去を拒否、犯罪者として投獄されながらも最高裁まで上訴して戦いました。
(私自身は、レーガン大統領だかの時代に、ようやく日系人に対して強制収容は違法だったとして謝罪が行われ賠償金が支払われたというニュースがあったことは、かすかに覚えてはいたのですが、その中心人物が誰なのかは全く知りませんでした。)
コレマツ氏は最終的には、「日本人のスパイ活動は事実であり、戦時下では軍事上必要な事態である。」とする最高裁の決定により敗訴して犯罪者のレッテルを貼られてしまったばかりでなく収容所に送られてしまいます。
おとなしく国の決定に従わないコレマツ氏は、日系人の立場をより悪くするとして同胞からさえも非難を受け四面楚歌となります。
収容所から解放された後、コレマツ氏は西海岸に住むことを許されず、ユタ州に移住し水のタンクを修理する仕事につきますが、白人同僚の半分の給料しか払われていないことを知り、上司に同額の支払いを求めますが、反対に上司は警察を呼ぶと脅します。
コレマツ氏は職を辞し、希望を失ったまま、その後30年の沈黙を守ることになります。
やがて結婚し子どもにも恵まれますが、その犯罪歴のために職の選択は妨げられました。
そして戦後40年。コレマツ氏は、ピーター・アイロンズという法史研究学者から一通の手紙を受け取ります。手紙の内容は戦時中の資料の中から、日本人がスパイ活動をしていたという事実は無根であり、国が捏造したものであることを発見したというものでした。コレマツ氏はすでに64歳になっていましたが、再び立ち上がる決意をします。
裁判の途中で政府はコレマツ氏に対して特赦を申し出ますが、「私は国からの許しはいらない、許すとするならば、私が国を許すのです。」と述べ戦い続けます。
そして、ついに最高裁は日系人全てに対して謝罪をするにいたります。
コレマツ氏の不屈の精神も素晴らしいですが、他の日系人たちが、おとなしく粛々と強制収容所に向かう中、"If you have the feeling that something is wrong, don't be afraid to speak up."と。すべての日系人が強制収容は不平等だと知りながらも声をあげることのなかった中で、一人断固として収容を拒否する勇気と強さも素晴らしいと思います。(国への忠誠心を示すために収容所から志願して前線で勇敢に戦った人々のあり方も、別の形での戦いであり尊敬します。)
コレマツ氏ばかりでなく、戦時中に投獄されていたコレマツ氏を訪問し、無給で裁判で戦うことを申し出たErnest Besigという弁護士の強さ、正義感にも感動します。
2001年の9/11の際にはコレマツ氏はすでに82歳という高齢にもかかわらず、不当な拘束や投獄を受けていたアラブ系の人々のために、「国は二度と同じ過ちを繰り返してはいけない。」と警告を発し続けます。そして、2005年に亡くなるまで、それは続きます。
コレマツ氏の最後の言葉の一つです。
"I'll never forget my government treating me like this. And I really hope that this will never happen to anybody else because of the way they look, if they look like the enemy of our country". "protest, but not with violence, and don't be afraid to speak up. One person can make a difference, even if it takes forty years."
http://fredkorematsu.tumblr.com/
コレマツ氏の戦いを描いたコミック・ブック。Anupam Chander氏とMadhavi Sunderさんによって、9/11の後に辛い目にあっているアラブ系の子どもたちのために製作されました。全ページが上記のオンラインで読めます。(かなり長いですが、引き込まれます。)
http://www.aaba-bay.com/aaba/showpage.asp?code=yamamotoarticle
コレマツ氏の写真やその生い立ちがあります。
http://korematsuinstitute.org/
コレマツ氏のサイト
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