永遠のゼロ

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半年前に友達に、「最後は号泣するよ。」ともらった本です。結構ぶ厚いので、時間ができた時に一気に読もうと思いつつ、そのまま置いておいたのですが、今回の10日間におよぶ停電で、PCが長時間使えない状態が続いたので、まさしく本を読むしか何もすることがない秋の夜長。ランプの灯りの下で一晩で読破しました。

生きる目的を見つけられない青年が、名前しか知らない第二次世界大戦の終戦直前に特攻隊として散った祖父について調べている内に、段々と形をなしていく祖父の人物像とその短い最後の数年間の生き様。祖父に関わり少なからぬ影響を受けた人たちの過酷な戦争体験とその後の人生。最後にはすべての点と線がつながり、凄惨極まる環境の中、妻のため、そして、まだ顔も見たことのない子のために必死に生きようとした祖父の存在が鮮明に蘇り、青年の生き方にも大きな影響を与えて行きます。

第二次世界大戦の史実に基づきながら、次々と謎が解けて行くちょっと推理小説のような展開もあり一瞬も飽きさせません。多くの若者を捨石のごとく死に追いやった大本営の精神性が現代の日本の政治家にもそのまま引き継がれていることに驚きました。(この本は震災前に書かれていますが、筆者は、まるで震災後の政府の対応を知っていたかのようです。)

私は今年の春、日本に帰国した際に、初めて靖国神社を訪れ、そこに併設されている遊就館を見学しました。広い1階の展示場の大きな壁という壁に、びっしりと戦死者の写真が貼られていて圧倒されます。近づいて見ると、どの顔もまだ幼さが残る10代~20代で、どうしても自分の息子たちとも重なり胸を締めつけられます。

まだ訪れたことのない方には是非、この本を読んでから訪れることをお薦めいたします。

本は既に映画化が決まっているそうですが、できれば主演俳優の名前を調べずに読んだ方がいいかと思います。先に主演俳優を知ってしまうと、どうしても本を読みながらも、その人のイメージが頭から離れず、自分なりのイメージを作る楽しみがなくなると思います。

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