terakoyati.gif (16115 バイト)

長年、教育に携わり、海外子女教育においても校長先生として多くの父母に慕われ、素晴らしい実績を残された佐々木光治先生にご執筆いただいております

教育に対する一涼の風のようなエッセイや海外在住の子ども達のための日本語学習のヒントやゲームを紹介してくださいます。(ゲームは日本語のみでなく、活用次第では日本に住んで英語教育をしていらっしゃる方にもきっと役立つことでしょう。 )

【読書(音読)のすすめ】

子どもが成長していくためには、十分な栄養が必要です。

子どもたちはその栄養をテレビやパソコン(インターネット等の情報)から吸収しています。残念なことにそれらの情報は子どもの成長にとってよいものだけではありません。

だからこそ、読書が大切になってきます。

読書は、子どもの言葉、感性、表現力、創造力を啓発すると共に人生をより深く生きる力を身につける上で大きな効果を発揮します。

○声に出させる意味

・自然に美しい日本語を覚えることができる。
・音読することで、集中力と記憶力を強化できる。
・読めるようになることで、自信につなる。
・脳が活性化する。
・感性を養う。
・記号としての文字が、意味をもつひとまとまりの言葉として意識される
・内容を考えながら読むことで、イメージが鮮明になる。
・日本語の音韻、リズムを体得できる。 
・声に出して読むという活動によって、授業が活性化するため。

などなど、最近いろんな効果がわかってきてるようです。家族みんなで日本語の美しさに触れてみませんか。

 

教育って何のため】

学校における教育活動のすべてが、教育目標の具現化をめざすものであることはご存じのとおりです。学習指導の中で、考えてみると、国語や算数の学習も、終局には人間形成のためと考えます。そのことを考えると、次のことを大切にしたいと考えています。

○教え合い ○助け合い ○励まし合い ○いたわり合い ○高め合い

一斉学習の場合でも、このことは十分に生かせるのはないかと思います。一人の意見をもとにして、つぎたし、ひろめ、深め、それを一つの輪としての考えまで高めていく。考えの遅い子がいたら待ってあげたりその子がわかるように補足してあげたりする。間違った答えには、それをもとに、それぞれのつまずきを反省材料にする。誤答をテコに相互に高め合っていくという考え。

グループの場合は、いっそう強まっていく。形態自体がすでに、「・・・合い」の内容をふくんでいるからです。

そして、難しい問題にぶつかっても、友だちと関わり合いながら、自分なりに最後までやりとげる我慢強い子どもを育てたい。

集団のなかでこそ、身に付く内容もあります。前回の家庭学習を大切にしながらも「・・・あい」の精神を大切にしたいと考えているところです。

 


【学校は第一の教室、家庭は第二の教室】の考えにたつ。


そのために、

一 家庭学習の重要性を理解する。

 学校週五日制となった今日、土・日は学習しない曜日ではない。学習の日常化・生活化・習慣化を図り、家庭で子どもが行う予習・復習は、指導の効果を高めていく上で大切な学習だということを理解する。

学校〜家庭学習(授業の復習・予習、自主学習)〜学校(家庭学習を授業で生かす)

二 子どもたちの学習意欲を高めるようにする。

 子どもの良いところを見つけ、そして、その子の努力事項を話してあげるようにする。

 問題があった時だけ担任と保護者が連絡をしあうのではなく、日常の中で称賛に値する行為を見つけたとき学校と家庭が共に
喜び合っていく。家族や先生からの称賛の一声でその日の夕飯は最高の食卓に。

三 子どもの変化を感じたら

 ア 話をよく聞く。
 イ できるだけ早い対処する。
 ウ 一人で全てを解決しようと思わない。(学校との連携)
 エ 子どもにとってどのような対応がよいのかをまず第一に考える。
 

 
 

【学びの基礎は、会話(おしゃべり)】

言葉を身につけるには、日本語であれ英語であれ、会話(おしゃべり)が一番です。会話の内容は、学校の話題やテレビやファションのことなどなんでもいいのです。自分が感じたこと思ったこと、疑問や興味を持ったことなどをおしゃべりするだけでいいのです。その会話がたどたどしくても何気ないコミュニケーションの中で身に付く会話力こそが言葉を身につける基礎になります。

会話を楽しみ深めるには、そのことに関しての知識と教養を自ら欲してくるようにもなります。すると、読書するにも楽しさが

増してきます。(私は、毎日子どもたちと接しています。子どもたちとおしゃべりを楽しむには子どもの目線にたった情報が必要になります。その情報は、雑誌だったり映像だったりします。それらの情報には優劣はありません。)ぜひ、身につけたい言語(日本語学校でも英語でも)で学校で家庭でおしゃべりを楽しんで下さい。
 

【焦りは禁物

ある教育相談の一つです。

 
あるお母さんの悩みから
「うちの子は、ドモリなんです。」
 

子どもに、

「できるだけ落ち着いて」
 

というのですが、なかなか治りません。

 
→うちの子は、ドモリだと決めつけ、周囲が気を使って、「落ち着いて、ゆっくり話せばいいのよ。」と話すことによって
子ども本人が、ますます神経質になったり、無口になったりしてしまう時があります。
 
 まず、原因を考えることも大切です。

 

1 体のどこかに病気がないか。
 耳がつまっている場合もあります。はっきり、聞こえない。だから、正しい言葉を覚えない。

 

2 周りが神経質になっていなかったか。繰り返し注意をすることによって、子どもは自信を失ってドモリになってしまう場合もある。
 

3 周囲の言語環境はどうか。日常の会話が非常に早口だったりドモリ的口調が影響する場合も考えられます。

 

4 左利きを無理に右利きに直そうとして、ドモリになったという話を聞いたこともあります。
 
 いくつか思い当たる原因があったらそれを解消してあげることが大切です。子どもに安心感をいだかせることです。「ゆっくり話して」といわずに、こちら側がゆっくり話して、落ち着いて聞いてあげることを大切にしたいものです。そして、自分の思いを話すことが楽しいと感じてくれれば少しずつ、解消の方向に向かうかと思います。あせりは禁物です。
 
 

【勉強ではなく楽習(がくしゅう)

先日、こんな悩みを耳にしました。

質問 小学校3年生ですが、5までの数が数えることができない。どうしたらよいか。

 
 特別支援を必要としている子なのか通常学級で生活できる子なのか、また、家庭でどのように生活してきたのか。さまざまな事を考慮する必要があります。どのような状況かにもよりますが、5までの数字の構成理解は社会生活を送る上で生活の基礎です。いまからでも大丈夫です。学ぶことに手遅れはありません。ぜひ、身につけさせてください。
 
 ここで、算数の勉強を強いるよりは、楽習(学習)経験を大事にしたいものです。幼児期の子どもの場合、遊びを通していろいろなことを学んでいきます。砂遊びをしたり買い物ごっこをしたりお手伝いをしたりしていくうちに多くのことを楽しみながら身につけていきます。

  文字や数を数える場合も文字や数の読み書きだけにこだわらず、毎日の生活や遊びの中で理解させていくことが大切だと思います。

 

 例えば、食事のときなどに家族の人数分配ったり(「みかんを一人1個ずつ配ってね」

最初は一緒に声に出しながら配る)、数当てゲーム(箱の中央を穴のあいたしきりをいれてその中にビー玉を5個入れる。箱を傾け、片方にビー玉が2個見えたとすると残り片方に何個あるか当てるゲーム)をしたりして楽しみながら、数に関心を持てるように配慮してあげるとよいでしょう。

 
 幼児期や小学校低学年時(特別支援を必要とする子を含)は強制することなく、遊びや生活の中で楽しく数多く体験させることです。そのためには家庭の環境、教室の環境をできるだけ整えてやることも必要です。勉強ではなく楽習(学習)に。教師も保護者も楽しむ。

 

【人は環境をつくり、環境は人をつくる】

よその学校を訪問して、校舎に入っただけでその学校の雰囲気を感じるときがあります。足をふみいれただけで何となく殺風景な感じをもったり、楽しい感じになったりします。後者の方は、その学校で生活している子どもたちの歓声が聞こえてきたり、表情が目に浮かんだりしてほほえましくなります。教師と子どもたちの協力で環境が整えられているからです。廊下の掲示やトイレの整理整頓、教室に入ったときの雰囲気、環境等の大切さを痛感します。

もちろん、これは学校だけでなく家庭にもいえることです。居間(家族のくつろぐ空間)に地球儀がおいてあったり宮沢賢治の絵本などがおいてある家庭で育った子は、想像力があったり読解力が高かったりするする子を見てきました。

最も大きな環境は、周囲の言語環境です。「担任が親がどのような言葉を発するか。」

テスト90点の子に、

・「すごい。よくやったね。」

・「勉強した成果だね。このケアレミス少し、おしかったね。」

・「いつも、こうだといいんだけどね」

・「こんな簡単な問題、間違ったの。」

先日、観た映画のワンシーンに次のような台詞があったのとても印象に残りました。

女性「今日の夕日、とてもきれいね。」

男性「ほんとうに美しい夕焼けだね。」

子ども「三人で同じ、夕日を観ているから、より美しいんだよ。」

ある言葉の乱暴な子がいました。そのお母さんとお父さんの会話は、周囲に対しての批判と生活に関して愚痴ばかりでした。その子は、それを観て育っていたです。

「人は環境をつくり、環境は人をつくる。」

 

【夢を育てよう】    

 子どもたちの将来の夢は、本当に多彩です。(七夕等の短冊の願い事から)

○看護士や消防士や保育士になって人の役に立ちたい。
○サッカーや野球の選手になって活躍したい。

 私は、夢の実現には、テストの成績で示される能力よりも、むしろ夢を実現しようと「思うこと」や自分にも夢が実現できるんだという自己を肯定する「考え方」のほうがはるかに重要だと考えています。世界的名指揮者として活躍されている音楽家の小沢征爾さんは、「なんでもやりたいと思うこと、それが才能を開花させる原点だ」と言っていました。そして、小沢さんが指揮者として大成したのも「指揮者になりたい」と強く思ったからだと。また、石川町出身のある高校生は、サッカー選手を夢見て青森県の高校に通っている話を先日知りました。その子は、努力を重ね学業もトップの方だと聞きました。

 子どもたちのドリカム(夢をつかむ)計画のため、どんなに小さなものであっても、その夢や希望に耳を傾けるのが私たち教師や保護者の皆さんの責務と考えます。そして、ご家族の方々の経験や、長い間にわたって苦労して夢を実現した人々の生き方などを折にふれて話してください。そして、人生の目標は汗を流し失敗を重ねながら達成していくものだと、・・・。

 「希望は人を成功に導く信仰です。希望がなければ何事も成就することはありません。」(ヘレン・ケラー)

希望あるところに努力が生まれ、努力し続ける時、チャンスは必ずやってくると私は考えています。


 

【「待つという」、愛情】

 学校の授業でいえば、先生は、「何を教える」「どう教える」「こうやればうまくできる」ではなく、何もしなく、子どもをじっと見守る時間も大事ではないかと考えます。

 例えば、子どもが算数の時間に失敗したとき、すぐに答えを教えるのではなく、どうしてミスをしたのかを考えさせる時間が必要です。家庭では、どうでしょうか。子どもが手伝いをしているとき、遊んでいるとき、勉強しているとき、周囲の者が先回りをして結論をだしていないでしょうか。じっくりと子どもの話を聞き、考えさせるゆとりが子どもを成長させるのではと考えます。

 先日、ある店でこんな風景がありました。

  親子で買い物をしていました。その日の夕飯はカレーライスのようです。小学校高学年の女の子が材料を選んでいました。予算を考えているのでしょうか。とても時間がかかっていました。そばにいるお母さんは何もいわないで、待っていました。


「この時間が大切なんだなあ」と感じました。


私が担任しているとき、子どもたちの嫌な言葉に、次のがありました。


「早く宿題をやりなさい。」
「早く食事をしなさい。」「早くねなさい。」
「早く、早く」

時には必要ですが、ゆとりをもって、時間を楽しむのも大切かと、・・・

 

語い力

 ゲームやマンガの影響更には様々な体験不足から子どもたちの語いが少なくなってきています。語いの量を増し、範囲を広げることは、言語生活をする上で大切です。

では、子どもたちが楽しくできる「語い力をつける方法」のいくつかを紹介します。

1.「しりとり遊び」をする。伝統的な言葉遊びですが、興味を持たせながら語いの量を増やすのに効果的です。

例 くるま→まさかり→りす→すいか→かめ→

ここで大切にしたいのは、一つ一つの言葉の意味について子どもの実態に応じて確認してあげることで理解が深まります。上記の例ですと、「まさかり」について、具体的に説明する。

2.「連想ゲーム」をする。絵や文字から連想される言葉をできるだけ発表させる。

例 りんご→赤い→信号機→

3.「仲間ことば」集めの遊びをする。

例 乗り物にはどんなものがあるか。 自転車→新幹線→飛行機→自動車→バイク

  学校で使う物は何かな。 コンパス→ノート→黒板消し→パソコン

4.反対言葉を使った遊びをする。

例 高い→低い 大きい→小さい 太い→細い

5.ものの様子をいろいろな表現の仕方で表す。

例 雨の音 ザーザー ポトン・ポトン 

小学生の場合、遊び的要素を取り入れ、子どもに興味や関心を持たせながら行うと効果的です。家族や友達同士のコミュニケーションの一つとして楽しみながら語い力をつけていきたいものです。子どもたちと会話をしていると、表現の仕方が豊かな子どももいます。そういう子は、家族との会話が多かったり体験をたくさんしています。

語彙をたくさんもって生活すると心まで豊かになってきます。

 

 

【効果的な学習法】

 学習効果を高めるためには、多様な学習方法を取り入れてみては、どうでしょうか。

1 目の活用

 教科書や参考書・教具等を見て理解できる子は、目の届くところに置いておくとよい。

例 自分の部屋や茶の間に世界地図・日本地図や地球儀を置いておき、会話の中に出てきた場所をすぐに確かめる。

2 耳の活用

 CDなど視聴覚機器を使うのが好きな子、人の話をよく聴く子は、機器を効果的に活用したり家族の人や先生に質問してみるとよい。

例 家族の人がいろいろな話をしてあげる。また、英語の歌等を聴く機会を奨励してあげる。
(私の知り合いの子は、英語の歌をよく聴いていました。そのため、英会話の発音がとても良くなりました。)

3 手の活用

 わかっている内容でもノートに書いてまとめると理解が深まる。
例 漢字の練習や算数の筆算などは書いて繰り返し書いて練習することが大切。また、学習の要点をわかりやすくノートにまとめることにより学習内容の定着がはかられる。

4 口の活用

 いろいろな本を読むとき声に出すことにより文章の理解が深まる。
例 最初は単語ごとでも慣れてくると文節ごとにスラスラ読めるようになる。大切な文章は暗記するくらい繰り返し音読したい。

※もちろん、これらを複合的に併せて学習すると学習効果はより高まると考えます。

 

学習の習慣化】

 
 私は、子供たちが青春を迎えたとき、人生の目標を実現するために、自己教育を始められる力をつけてやりたいと考えています。そのためには、

1 生きる目標をもっていること
2 自己教育を始めるのに必要な、それなりの学力を身につけているこ と
3 独り学習の習慣が身についていること

 この3つが必要だと考えています。

 学力はあるが、生きる目標をもてず、大学でモラトリアムしている学生、仕事につかず自宅に引きこもりがちな若者たち、子どもたちがある年齢に達したとき、就職にしろ、進学にしろ、自己の目標に向かって、自己教育を始められる青年に育ってほしいと願っています。


 ではそのような子をめざすには、小学校では何が最大の課題となるのでしょうか。

 ○基礎学力を身につける
 (特に、文字で情報を得、文字や言葉で自分の考えを表現する力、四則計算の習得、柔軟な発想等)
 ○努力することによって自分が成長していくことを味わわせる(学習面や運動面・芸術面等)
 ○学校でのグループ学習や独り学習更には、家庭学習を通して、学び方を身につける

 今、私が勤務する学校で取り組んでいる、家庭学習の習慣化は、まさに学力の基礎をきたえるとともに、独り学習の習慣づくりを念頭においた取り組みであると思うのです。

 

【ほめることはエネルギーが必要】

多くの保護者の方と接していると、「うちの子は落ち着きがなくて、・・・」「同じ兄弟でも、上の子は読書が好きだったのに、・・・」なぜか、マイナス面を口に出してしまう方が多いです。

そこで、一歩立ち止まって考えてみませんか。この世に生を受けて、6年間(小学1年生で)いや12年間(小学6年生で)です。それを考えると、すごい成長です。「落ち着きがない」その子の様子を見ていると、とても活動的です。「読書が苦手」その子は、料理がとても大好きです。親の望む行動は、どんな小さなことでも長所を見つけ出して具体的ほめてあげてほしい。どの子にもすばらしい所はたくさんあります。子ども活力を与えるには良いところを見つけてほめてあげることが大切です。目標を与えて、それが到達したとき、共に喜び感動するそんなほめかたをしてほしい。 

そのためには、親や教師が成長している過程をプラス思考で見ていなければその子の「長所」は発見できません。親や教師には、そういう意味で、発見をしていくエネルギーが必要だと強く感じます。

佐々木
 

【言葉と家庭教育】

 海外に在住する子どもたちにとって日本語を学ぶということは容易ではありません。その指導方法も一つではないのです。なぜなら、言葉を学ぶ環境がそれぞれに異なるから、海外で産まれた子、乳幼児期に海外に渡った子、小学生時期に渡った子、中学生時期ります。

 特に、乳幼児期から小学生の成長期にとって、言語形成を身につける重要な時期です。 乳幼児期の教育は親子関係を中心として行うことが重要と考えています。親子関係、つまり家庭でどう教育するか。言語環境をどのように設定するか。幼児を対象とした日本語を学ぶ塾や幼稚園や通信教育などもありますが、その場合も親がどのようにかかわるかによって言語を身につけるか教育効果が変わってくるのです。

 私が海外で幼児期の子どもたちと関わったとき、「言葉遊び」「文字遊び」なる家庭での会話例集を保護者の方に紹介し実践したことがありました。意図的・計画的に言語環境に取り入れていったため学習効果が高くなりました。その効果を2倍から3倍にすることは十分に可能と考えています。それは、家庭の環境設定や日本語習得のための施設との関連及び役割を保護者と幼児と両面から長期・中期・短期にたて、実践していくことかと考えています。自分の発した言葉が相手に通じるおもしろさ感じ始める年齢でもあるのです。

親子で楽しみながらその国を愛して、言葉をおもしろさを十分に味わって欲しいのです。 けっして、学ぶことにより子どもにストレスを与えないことです。ストレスの中で学んだ言葉は、その子の人格にまで悪影響を及ぼしかねません。(保護者の過度な期待に押しつぶされている子も数多くいます。)

 現在、日本の学校の写真を整理しています。これも教材に活用できるかと考えています。海外の学校に来年度あたり送付されるかと思いますが効果的に使ってみてください。

 

ひらがな指導(書き)は、やさしい字から】

 小学校に入学してまもなくひらがなを書く活動が始まります。ひらがなを正しく書けるようにするためのスピードはとても速いです。にもかかわらず、練習する順序が単元の配列によって練習するのが一般的です。そのため、二画以上の「ほ」や形がとりにくい「ふ」などの字を先に練習します。

 私は、入学してからひらがなを覚える子がいるということを考慮すると子どもにとって「やさしい字」から練習した方が子どもにとって達成感があると考えます。

例えば、
1 画数の少なく書きやすい字
 し、つ、へ、い、り、こ、、に、の

2 画数は少ないが、形の取りにくい字
 て、ん、ろ、ひ、等

3 二画以上のやや書きにくい字
 ほ、め、よ、け、等

4 むずかしい字
 ね、あ、ふ、を、等

 もちろん、指導する場合は筆順をしっかり教えることが必要です。ひらがなのうつくしさにつながっていきます。また、単に「字」を暗記するというのではなく、「こま」の「こ」というように意味のある単語と結びつけて練習すると学習効果が高まります。 海外の補習授業校だけでなく日本の小学校においても「こま」の絵カードと組み合わせたり「こ」のつく単語遊びを通して練習したりしたとき子どもの意欲が高く学習効果が高かってです。 ひらがなを習得しようとするこの時期は、楽しみながら練習するのが一番です。 

 

トマトはトマト・メロンはメロン】   

 教師や保護者が子どもに対して期待を持っていれば、知らず知らずのうちに影響を与え、子どもの能力や成績が期待する方向に成長発達し、逆に期待できないと考えれば、その通りの期待できない結果になるという教育上の効果(ピグマリオン効果)があると言われています。ここで大切にしたいのは、相田みつおさんの自著「人間だもの」に書かれている次の言葉です。

 「トマトにね、いくら肥料をやったってさ、メロンにはならないんだな。」そして、「かっこいいメロンになれと尻をひっぱたかれて、ノイローゼになったりやけのやんぱちで暴れたりしているトマトが、いっぱいいるんじゃないのかな。」

 私は、トマトはトマトなりにメロンはメロンなりに、良さを最大限に伸ばしてあげられよう努力しているところです。

 教え子で、友達のお世話が大好きだったA子さん、今は特別養護老人ホームで生き生きと働いています。友達がたくさんいたBさんは地元で理容師をしています。学級で一番本を読んだCさんは教師をしています。

みんな、その子なりに輝いた人生を送っています。

 

【自然体験が不足していませんか?】

 子どもたちの自然体験が急激に少なくなってきている。例えば、子どもたちの自然体験・生活体験の不足が指摘されている。自然体験では、高さ1000メートル以上の山に登ったこと、野外でテントで寝たこと、スキーをしたこと、木の実・野菜・きのこなどをとって食べたこと、日の出や日の入りを見たこと、わき水を飲んだこと、などを1回も経験したことがない子どもの比率が高くなっている。(1回も経験したことがない子どもが増えているのは驚くべきことである。)

 こうしたさまざまな自然体験の経験は理科的な要素を学ぶという以上に豊かな感性を培い、豊かな心を育てるという重要な役目を担っている。

 日本の教育界でも、意図的に学校行事の中に宿泊学習や体験学習を取り入れている。しかし、学校のなかだけでは限界がある。ぜひとも各家庭でもこういった体験活動を意識して欲しいと考える。

 私はアメリカの住んで2年間が過ぎたがここアメリカの子どもたちも日本と同じ環境の中で育っているような気がする。いや、それ以上かも知れない。例えば、学校に通学するのも買い物に行くにも子ども一人でいくことはできない。道草でいろいろなことを発見することはないのである。 だからこそ、家庭でできる自然体験や外での活動に積極的に取り組んで欲しいと考える日々です。
 

【YOU CAN DO IT】

 
YOU CAN DO IT (君ならできる)で一人ひとりに自信を持たせる教育実践を大切にしたい。教え子の一人にいじめられっ子のA君がいました。その子は体が小さく運動が苦手でした。その子は、時々、教室の黒板や壁に頭を自らぶっつけ泣き叫びました。「どうせ、ぼくなんか。どうなってもいい。」これが口癖でした。 本心は違っていました。だれでも友達がほしい。勉強やスポーツができるようになりたい。

 体育の時間が大きなきっかけとなりました。練習しても逆上がりができないのです。その子にサラシを渡しました。「これで練習するれば必ず逆上がりができるよ。」それを信じた彼は放課後年老いたお婆ちゃんと練習しました。なんと、1週間後の体育の時間にはできるようになっていました。その時の彼の笑顔は忘れません。次に、クロールの練習が始まりました。それまでプールに入ったことのない彼に、カンヘルパー(オイルの入っていた空き缶に取ってをつけて腰に巻いた物)を渡し、これを使うと絶対に沈まないよ。逆上がりの件もあり、私を信じて一生懸命練習しました。その夏、クラスの友達の前で25メートル泳ぐことができました。 今 彼は 難関の国立大学を卒業して地方公務委員として活躍しています。学校教育において、もっとも大切なのは、

YOU CAN DO IT (君ならできる)をいろいろな場面で体感させることではないかと考えます。どんなに小さなことでもいい。「できたじゃない。」「すごい。」そんな声をかけてやってください。

 

【漢字学習を通して子どもたちに自信を】
            

 私の教職経験をふりかえってみますと漢字は努力すれば必ず身に付き、それが他の学習の自信へとつながっていきました。

 そこで、児童生徒一人ひとりが

「私は、○○年生までの教科書の漢字が全て読める。」
「僕は、○○年生までの漢字が書ける。」

という自信を持つ。ということが国語科の学習を始め全ての学習の土台になります。漢字を身につけるには次の三つの方法が有効です。

一 漢字の語源、意味を理解する。
二 繰り返し練習する。
三 漢字を学習場面・生活場面の中で使用する。

 この中の一つの方法として漢字練習帳を活用していただければと考え作成いたしました。

 文字の読み書きはすべての学習の基礎です。パソコンが普及して作文や手紙などを自分の手で書くことが大変少なくなってきています。だからこそ、漢字を大切にしたいものです。特に漢字が読める、漢字の意味がわかるということは全ての学習の基礎を支えることになります。私は、少々詰め込みと言われようとも、多くの漢字を確実に理解させるべきだと考えています。

 本書は、漢字の読み、書きの二冊の学習をセットとして活用することにより自己学習能力(一人学習)を高めながら自分の目標に応じて漢字力を身につけることを目標に構成されています。

 平成十四年度に海外で日本語を学ぶ方のために初版を作成したところ大きな学習効果がありました。そこで、学習指導要領改定に伴い、文部科学省国際教育課、海外子女教育財団の依頼を受け、改訂版を作成しました。日本で学ぶ子どもたちにとっても十分に活用できると思います。

 一人でも多くの方が漢字の学習を通して「やればできる」という自信をつけてくれることを心から願っています。4月下旬には各学校に届くと思います。ぜひ効果的な活用をしてください。

 

【こんな人には、こんな一言を】

○人前では言えなくなり、無愛想に見られる。人付き合いがうまくできない。

○言いたいことがあっても、その人に嫌われたくないので、自分の意見が言えない。

↓↓↓↓
 この人たちは、俺、すぐに人付き合いがうまくできると思うんだ。つまり、自分が無愛想だとか、自分の意見が言えないとか、ということを知っているわけだからさ、自分の弱さをカバーすれば済むことだもん。自分の弱さに気づかず、人付き合いがうまくいかないのを人のせいにする人の方が多いんだから。

 たとえば無愛想な人はどうすればよいのか、それはね、にっこりと笑うことだと思うんだ。にっこりと笑うことによって、相手と心のつながりができて会話がはずむ。気取らずに、にっこりと笑おうよ。そして、すばらしい人付き合いをしようよ。笑うことは、だれにだってできることなんだからね。            (武田 鉄矢)

もし、自分のお子さんが上気ようなことで悩んでいるようでしたら、武田鉄也の言葉をお父さん、お母さんが代わりに言ってあげてください。(3.28)
 

【ことばのもつ力】

 わたしたちは、毎日、ことばを使って、生活しています。そして、自分の気持ちを伝えるのには、「ことば」をもって伝えます。自分の気持ちを正確に伝えたければ、ことばをたくさん用意しなければなりません。ことばは、自分たちの生活になくてはならない道具でもあります。
 ところで、この「ことば」というのは、その使い方を間違うと、人の心を傷つけることにもなりかねません。

 反対に、何気ない「優しいことば」(どうしたの、だいじょうぶ)が人の心に響き、「心配してくれて、ありがとう」という気持ちにしてくれます。自分が失敗したときに「気にするなよ」とか「どんまい、どんまい」とかいってもらうととても気持ちが楽になります。ことばは、その使うことばによって、人の心に大きな違いをもたらします。それは、言葉は言霊と言われているようにその人の心や感情が含まれているからだと思います。私たちは、ことばに含まれた気持ちをもらっているのです。ですから、ことばに優しい気持ちがこもっていると、聞く人をいい気持ちにしてくれます。
 このようにことばのもつ力をかみしめて、わたしたちは、毎日、いいことばを選んで、ことばにいい気持ちをのせて、楽しく明るい生活ができるといいですね。

 

【子どもはどの子も違う存在】

 テレビでおなじみの吉岡たすく先生は、『やる気を育てる』という本の中でこんなことを述べております。

「ひとと同じでなくていいということを、まず頭に入れておいてほしい。花で例えれば、梅も桃も桜も菊も、みんな花です。咲くのは同じ。しかし、時期がそれぞれ違います。桜は春咲くが、菊は秋にならないと咲きません。秋まで待てば、咲くのです。ところが隣の子が桜だものだから、『あの子が咲いているのに、あなたはどうして咲けないの』とせきたてる。そして、゛励まし゛という水もやらない。これでは菊は咲かずに枯れてしまう」

と。私の今ままでの教職経験からも「隣の子が塾に行ったから、うちの子も塾にいれなければならない。テレビゲームを買ったからわが家でも買わなければならない。」そんな相談がありました。みなさんはどうでしょうか。

 子どもは、すべてかけがえのない全く違う存在なのです。このことを忘れてしまうと大きな間違いをおこす恐れがあります。

 また、子どもたちが失敗をすることを恐れ、先回りして失敗しないようにする、なんてことはないでしょうか?この頃の子ども達は、ちょっとしたことで挫折してしまうことがあります。(先生、私どうなってもいいよ。とか僕には無理だよ等)それは、失敗するという経験が少ないからです。失敗するということで、子どもだって大人だって成長するのです。失敗させないようにと考えるのは、親として本当に優しいことなのでしょうか?どうも私は違うのではないかと考えます。むろん、取り返しのつかないような失敗は困りますが、少々の失敗は許してあげてほしいと思います。先日の入学式の祝辞でも私が述べましたが間違いや失敗を恐れずに何事にもチャレンジする精神を大切に伸ばして欲しいと考えます。「失敗は成功のもと」ともいいます。(3.14)



【日本人にとっての九九】

今回は、日本人にとって、九九の意味について考えてみました。

私が出会った現地校の教師の日本人の子どもたちに対するイメージは、算数(数学)は良くできる。というものでした。

私の身近な日本人の小学生・中学生で飛び級(個人の持っている能力開発を最優先しているアメリカでは、算数や英語が非常に優秀であれば、1学年上の学年のクラスに毎日、その学科だけ受けに行ったり劣っている学科を受けにいったりすることができる。または、学年そのものを飛び級するという考え方)している子がいました。他の子どもたちもほとんどが成績Aを習得していました。

その原因の一つが日本の九九の学習があるようです。

日本の小学校2年生で学習する九九の構成の理解及び習熟が非常に大きな役割を果たしていると考えます。そのため、計算技能は高くそれが自信につながり他の学習にも良い影響を及ぼしていました。私が参観した現地校の九九を指導している授業は、次のようなも
のでした。  

1 

○○○○○○○   
○○○○○○○ 

教師:  ○はいくつありますか。

生徒:  14です。

教師:  7×2=14 と書きます。

続いて、
        

2 

○○○○○     
○○○○○  

教師  ○はいくつありますか。

生徒  10です。

教師  5×2=10 と書きます。

このように暗記中心でした。しかし、子どもたちをほめたりユーモアを交えたりゲームを取り入れたりした楽しい授業でした。この影響からか高校生だけでなく中学生でも日本人にとって単純な暗算も電卓を使う生徒がいました。最近では、日本式の九九の指導の効果がわかり日本の指導方法を取り入れる学校がでてきました。九九の学習をうまく組み入れることによって、計算技能を効果的に伸ばすことは可能です。

【何かを続けていますか?】

皆さんは、何か毎日続けていることがありますか。ある生徒さんは毎日日記を書いていると私に話してくれました。3行日記にるときもあるそうですがとにかく毎日続けているそうです。
とにっかう、続けているうちに書くことが頭の中できちんと整理されて、だんだんと速く書けるようになってきていると聞きました。

不思議なことです。まさに、「継続は力なり」だと思います。

最近、アメリカ大リーグの鈴木一郎(イチロー )選手のことが連日、日本やアメリカのマスコミをにぎわしています。

彼は、誰よりも毎日の練習を欠かしたことがないといいます。その結果、日本で連続何年間も首位打者を堅持し、なお、アメリカにきてもトップバッターとして活躍しているのです。また、先月は、連続安打を打ち大リーグの選手を驚かせているのです。イチロー選手が、「コツコツと練習を重ねた成果です。」と新聞は伝えていました。

また、ある剣道の達人に「剣道の上達のコツは何でしょうか。」と尋ねたそうです。すると、その剣道の達人は「コツコツがコツだよ」と答えたということです。何事もそうだと思います。今日しなくてはならないことを、今日のうちにコツコツとやり遂げていく、その中から上達すると、この達人は述べていると思います。 

皆さんは今から自分でできそうなことを、コツコツ続けてみてください。遅くはありません。例えば、毎日、30分だけ読書をするとか、毎日、漢字を5字ずつ熟語でノートに書くとか、毎日、新聞のコラムだけを読んでみるとか、毎日5行日記を書くとか、自分にあったことを実行してみてはどうでしょうか。

 必ず、その成果は出てきます。

保護者の皆さんは、子ども達にそういう環境を整えてあげるのが大きな仕事だと思います。ただ、注意しなければならないことは机上の学習がすべてではないということです。台所で夕飯の準備を共にしながらの会話や芝生を親子で刈りながらの会話、そして、その労働(共働)が幅のある人間にしていくのではないでしょうか。

 

 

【カウンセリングマインドを生かす授業】
 
 
「カウンセリングマインドを生かした授業を」と、叫ばれてきているが、では具体的にどのような授業なのかと考えてみました。次のようなことは、どの先生も日常の中で実践していることと思いますが、

1 子どもの話をうなずいて聴く。

子どもの問いかけに対して、「うん」「はい」「なるほど」という。うなずいて聴こうとする姿勢が、子どもに発言しやすくさせ、安心して学習に取り組めるようにさせる。

2 気持ちを受け止める。

その時の子どもの気持ちを受け止め、言葉にすることが、子どもに自ら行動しようとする気持ちを抱かせる。

3 子ども同士の橋わたしをする。

子どもの思いを教師が代弁したりすることが、子どもに自分が大切にされていると感じさせ学級内の人間関係を深める。

4 子どもの発言内容を明確にする。

私が 子どもたちと接する場合の心がけを述べましたが、家庭においても、カウンセリングマインドを生かした会話のあるところに、信頼関係は強くなります。

 

 

大きな効果を生む言葉の学習方法とは 】

言葉の学習をする上で最も大切なことは、生活を通して学ぶということです。学校で学ぶことを基礎として生活の中で活用することが実用的な言語学習につながります。 一番最初の段階としては、基礎的な日本語の本を読むこと。

その時、特に留意したいことは、

@ 繰り返して読む。
A 声に出して読む。
B (できれば)読んだ文章をノートに写してみる。

そして、日本語を楽しみながら学ぶために、ぜひ、日本の歌を聴くことを勧めます。この学習方法は、大きな効果をうむことは私の教職経験からいって間違いありません。

そして、親子・友達とのコミュニケーションや遊びを通して言語活動をしていくことが使える日本語の習得につながります。

毎日 1時間 音読と音楽の視聴と会話を組み合わせれば、3ケ月たてば その効果に気づくはずです。

 

 


『いつも』と『ちょっと』

『いつも』と言う言葉は、誉める時に使うといい、叱る時に使うと、逆効果

「○○君は、いつもお風呂を洗ってくれて、ありがとう。みんな助かっているよ。」 たまにしかしない子どもも、この言葉に心動かさない訳にはいかない。本当に「いつもそうしよう」と思う。逆に叱る時に使ったらどうだろうか。 「○○君は、いつも忘れ物をしてくるね。」と言ったら「いつもではないよ」と相手は膨れ顔。せっかくの忠告が役に立たなくなる。

人よりちょっと優れているのは、実はちょっとではない

その小さな差を見つけてほめてあげること。そのちょっとのために、子どもは一生懸命に努力をしているかもしれないのだ。ほめるときは思いきり大げさにほめていい。 数年前、ちょっと本を読むのがうまくなった子に、 「○○君の本の読み方はすばらしい。作者の気持ちが伝わってくるようだよ。それは、いつも音読をしてきた成果だね。」このあと、一ヶ月後には本当にうまくなっているのにはびっくり・・・・・・ 最初は、それは少しばかりの長所に過ぎなかった。それを「たいして優れているわけではない」と受け取ってしまっては、その後の成長はあるはずはない。どの子も『ちょっと』した芽から成長していく。ぜひ、家庭でも、・・・・

 



≪時間を上手に使う方法≫

先日、ある生徒さんに「ほしいものは何ですか。」と聞きましたら、「時間」と答えてくれました。確かに、日本語学校に通う皆さんは忙しいことと思います。もっと時間がほしいという願いには実感がこもっていました。  

しかし、現実は限られた時間の中で、いかにそれを使いこなすかを考えた方がいいと思います。そこで、時間を上手に使う方法を話したいと思います。

1 『いやなことから先にやる。』

 とにかく人はいやなことを後回しにするものです。でも、どうせやらなければならないのなら、やりはじめのファイトのある時に一気にやってしまう。後回しは、ズルズル、ダラダラで結局時間の無駄になるのではないでしょうか。

2 『今日やることを明確にする。』

 紙に書きだしておくのも一つですが、頭の中で今日やることをはっきりさせておくだけでも良いと思います。一日にノルマを自分に言い聞かせてやっていくと、後になると時間が必ず浮いてきます。これが自分だけの時間なるのです。行き当たりバッタリ、そのとき次第は、単なる時間のむだになってしまうのではないでしょうか。

3 『何かをやる前に手順・優先順位をつける。』

 何か始めてから「あれがない」「これはどうしよう」と考えるのももったいない時間の使い方です。事前に何から、どのように、どんなやりかたで、などと考えると時間が有効に使えるのではないでしょうか。

4 『締め切りを作れ、締め切りを守れ』

 自分で、この宿題は火曜日までに終わらせる。とか期日限定をすることにより意欲を引き出す力になると思います。   

≪海外で日本語を保持・伸長させるために≫

 私が赴任してから、海外にあっての日本語の学習についていろいろ相談を受けてきました。
実際に家庭での取り組みのための資料を渡したときもあります。
他の補習校勤務の同僚や実際にこちらで長く生活しされた保護者の方、私の経験から次の点を特に大切にしていただきたいと考えています。

 まず、海外で日本語を学ぶ目的を保護者の立場としてしっかり持つ。
その上にたって、

1 家庭内で日本語を使うようにする。
2 日本語の本をたくさん読ませる。
3 補習校の勉強をしっかりやらせる。
4 体験学習を計画的に取り入れる。
5 日本語を話す友人をつくる。


が重要です。

 家庭内で日本語を使うにあたって、ご両親の片方の方が日本語が理解できない場合は、子どもと一緒に学んでいくことにより効果が高まります。
日本語の本にたくさん触れる機会を意図的に設定する。ただし、本を選ぶ必要もでてきます。(その本が日本を知る扉にもなるわけですから)そして、補習校の勉強を積み重ねていく。

 一日や二日でバイリンガルな子にはなれません。毎日の積み重ねが必要です。日本語で話せる友人がたくさんいれば申し分ない環境ができあがります。

 自分の子どもにあった日本語教育(国語教育、社会科教育、算数教育)を親としてしっかりと持ってください。

3.13

≪語彙を増やす工夫を(絵カード)

 その子どもの日本語力に応じた具体的な言葉を選んで、その言葉を簡単な絵で書き表し、絵の脇または後ろにその言葉を添えた「絵カード」をつくります。カードを見せながら、声に出してその言葉を言わせるようにします。カードはさっと子どもたちに示すようにします。

 海外に長期に渡ると文字を学習して読めるようになっても、言葉の意味がわからず子どもたちが混乱する場合がでてきます。

 親子学級でも説明しましたが文字を読める段階から言葉の意味が分かる段階へと導く必要があります。そのためには、視聴覚教材が効果を発揮します。絵カードは、カルタ的にも使用できます。試みる価値は高いです。まだの方はぜひお勧めします。

2.28

 

≪算数のすすめ≫

 算数の学習は、おもしろくて、楽しくて、夢のある、そして役に立つ教科なのです。また、他の教科以上にできた喜びを味わうことができる教科でもあるのです。

 しかし、多くの人々からいくつかの誤解をもたれています。

  • 計算など、単純な練習がつまらない。

  • 難問で苦しめられているのに、生活にすぐに役 にたたない。

  • 一度わからなくなるとその後の学習が困難になる。 などです。

  • できる、できないがはっきりする。

だからこそ、算数はおもしろいのです。計算などもやり方を身につければ間違うということはほとんどありません。

小学生に算数を教えていて、子どもたちが100点をとった時の笑顔はすばらしいものです。また、文章題もクイズだと考えるととてもおもしろものです。一つの答えを出すのにもいろいろな方法で解くことができるのです。それらは、私たちの日常の生活に深く関係してくることも多いので提示一つで意欲が増します。

例えば、

@ここにあるチョコレートを兄弟同じようにわけ るにはどんな分け方があるか。
A50ドルを持って買い物をするときどのように有効に使ったらよいか。
Bワシントンまでのお父さんの車で時速80キロので行く場合何時間かかるか。

みんなで算数を楽しみませんか。

2.25

 

<なぜ教科書を声に出して読むことが有効なのか>

 なぜ教科書を声に出して読ませることが、文の内容を理解する上で有効なのか。

一 声に出させる意味

 ・記号としての文字が、意味をもつひとまとまりの言葉として意識されるた  め
 ・内容を考えながら読むことで、イメージが鮮明になるため。
 ・日本語の音韻、リズムを体得できるため。 
 ・声に出して読むという活動によって、授業が活性化するため。

 教科書を声に出して読ませると、極端に声が小さく一字一字拾い読みをする子どもがいます。そのような読みでは言葉や文脈の意味を読みとることができず、学習意欲が低下することあります。

二 指導のポイント

 スリー・ステップを守って読ませる。
 ・発声・・・大きな声で
 ・発音・・・正しく
 ・よどみなく・・・すらすら
 ※ゆっくり繰り返し読ませる。

 良い姿勢で読ませる。
 ・肩から力を抜き背筋を伸ばす。
 ・ゆったりとした呼吸を繰り返す。
 ・教科書を読みやすい位置に持つ。 
 ※声が出やすい姿勢で読ませる。

 聞き取りやすい読み方で読ませる。
 ・ゆっくり内容を考えながら
 ・句点や読点で息つぎをしながら
 ・気持ちをこめて

2.23

<帰国枠大学入試>
 

 海外・帰国生大学入試は、日本の教育制度に基づく教育を受けられなかった生徒を対象に、日本国内の一般生とは別枠で実施されている入試です。中学入試や高校入試においても同様に海外・帰国生入試が実施されていますが、多くの場合一般入試と同一の科目・問題を課し、国内生とほぼ同一基準で評価しようとしているのが多いようです。一方、大学入試では一部の難関国立大学等を除いて一般入試とは別内容の入試で、別尺度で評価します。言い換えれば、高校で学習する各教科の知識・理解を重視する日本の一般入試とは別次元のものです。したがって、入試に向けての準備も自ら異なります。(以下は2003年度時点の情報)


1 入試準備

  受験校決定・出願には手間も時間もかかることを考慮して、入試準備は遅くとも高校卒業の1年前から準備を。

2 受験校選択

 ア.自分の関心がどこにあるか見極めよう。
 イ.大学の願書を受験校選択の参考に。
 ウ.スケジュール立てはとにかく早めに。

3 選抜方法校   

 ア.現地成績重視型
 イ.入試成績重視型
 ウ.現地成績・入試成績折衷型

4 出願に関する留意点

 ア.卒業証明書
 イ.成績証明書
  できるだけ宛名なしのものを持って帰国した方が便利なようです。
 ウ.推薦状
  必要な学校もあるようです。
 エ.在留証明書
  保護者が海外で勤務したという企業発行の証明書、学校によっては領事館 の発行したものを要求する学校もあるようです。
 オ.統一試験の成績
  TOEFLやSATのスコアを示す書類を必要とする学校もあります。

5 学習アドバイス

 ア.小論文・・・帰国枠入試で最も重視されるものです。
 イ.英語・・・・大学が帰国生に求めるものの一つとして海外で身につけた語 学力があります。自分の英語力を客観的に知っておく必要もあります。
 ウ.国語、日本語

  海外生活が長い生徒に対して、大学の講義についていけるか日本語能力の 有無を確認する問題であり、基本的な内容。

 

≪子どもはどの子も違う存在≫

 テレビでおなじみの吉岡たすく先生は、『やる気を育てる』という本の中でこんなことを述べております。

「ひとと同じでなくていいということを、まず頭に入れておいてほしい。花で例えれば、梅も桃も桜も菊も、みんな花です。咲くのは同じ。しかし、時期がそれぞれ違います。桜は春咲くが、菊は秋にならないと咲きません。秋まで待てば、咲くのです。ところが隣の子が桜だものだから、『あの子が咲いているのに、あなたはどうして咲けないの』とせきたてる。そして、゛励まし゛という水もやらない。これでは菊は咲かずに枯れてしまう」
と。

 私の今ままでの教職経験からも「隣の子が塾に行ったから、うちの子も塾にいれなければならない。テレビゲームを買ったからわが家でも買わなければならない。」そんな相談がありました。みなさんはどうでしょうか。

 子どもは、すべてかけがえのない全く違う存在なのです。このことを忘れてしまうと大きな間違いをおこす恐れがあります。

 また、子どもたちが失敗をすることを恐れ、先回りして失敗しないようにする、なんてことはないでしょうか?この頃の子ども達は、ちょっとしたことで挫折してしまうことがあります。

(先生、私どうなってもいいよ。とか僕には無理だよ等)それは、失敗するという経験が少ないからです。失敗するということで、子どもだって大人だって成長するのです。失敗させないようにと考えるのは、親として本当に優しいことなのでしょうか?どうも私は違うのではないかと考えます。むろん、取り返しのつかないような失敗は困りますが、少々の失敗は許してあげてほしいと思います。ノーベル受賞されたお二人の先生(田中、小柴両氏)は、くしくも「失敗について」違った観点からその重要性について述べていました。

(小柴さんの観測装置「カミオカンデ」はもともと陽子の崩壊現象を見つけるために開発されたものでしたが、結局、陽子の崩壊現象は観測できず失敗に終わったのですが、目標を「ニュートリノ」に変更し成功しました。田中さんも、もともと別の技術を目指して開発を進めていたものが失敗に終わり、失敗したことで次に挑戦できたと語っています。)

≪家庭で育てるバイリンガル≫

 バイリンガルを育てるうえで最も大きな役割を担うのは家庭である。もちろん学校の役割も大きいが、学校の役割は家庭で育った言葉の上にもう一つの言葉を加える、あるいは、家庭で育った言葉をより強めるという役割であり、バイリンガルに不可欠である母語を育てるのはあくまでも家庭である。日本にいると、外国語のために親が心を砕いて努力するということは理解できても、母語である日本語を育てるために努力するというのはわかりにくいだろう。また、日本で「日本語」を育てるというと、「国語」の勉強と混同されやすい。学校の教科の一つである「国語」というのは、日本語がすでにできる子どもたちに、より効果的な表現の仕方、より深く読む力、鑑賞する力を培うもので、バイリンガル教育で問題にする「日本語力」とは次元の異なるものである。

「国語力」は「日本語力」を土台として高めるものであり、「日本語力」とは「国語力」の基礎として必要不可欠なベースラインの語学力といえる。

(バイリンガル教育の方法 中島和子著より)

海外の補習校で使用している主要教材の国語の教科書がバイリンガル教育に適しているかといえるかは疑問のあるところである。海外の日本語学、コミュニティスクール、一部の補習校ではそれぞれ教材や指導方法に工夫をして実践している。

2.7

≪言葉の基礎≫

○反対語(続)

今回は反対語の中でも「組み」的になっている問題についてです。家族の団らんの際、楽しみながら考えてください。

@おとうさん⇔(  )  A男⇔(  )
Bおばあさん⇔(  )  Cおねえさん⇔(
D午前⇔(    )   E大人⇔(  )
F右⇔(   )      G天⇔(   )
H兄⇔(   )      I長い⇔(   )

 

≪言葉は魂の響き≫

テレビなどのメディアや児童生徒の言葉の乱れが時折気になります。皆さんは、いかがお考えでしょうか。人間の心を傷つける言葉や行動が後を絶たないのは、非常に残念なことです。言葉は魂のひびきと言います。また、心の表れであるともいわれています。

 日本語学校だけでなく、現地校で日本語をどのように使っているでしょうか。日本語に誇りをもって、使っているでしょうか。アメリカ人だけでなく中国や韓国、インド、メキシコなど現地校には世界中の児童生徒が通っています。日本語を紹介するとき、ぜひ、正しい日本語を紹介してほしいものです。

 言葉   江口 作

君がもし
美しい言葉を語りたいと思うなら
いつもやさしい
親切な心でいることだ
そして清い唇で
心からあふれてくる言葉だけを
語ることだ

 海外の地だかろこそ、日本語を大切にしたいものです。

2.2

≪だ・る・ま・の心で≫

 私が日本で勤務していた学校はどちらかというと山間の田舎の学校が多かったです。しかし、そこでの子どもたちは、学校を楽しんでいました。 就職困難の時代といわれますが教え子から特別養護老人ホーム、国家公務員等、希望の職種に就いたの朗報に心を躍らせる私です。そんな子どもたちに、いつも言い続けてきたこと、それは、

・・・れとでも仲良く

 世の中は競争でなく協力だ。それぞれ助け合っ てこそ自分も成長していく。友だちの成功を自 分のことのように声援をしていました。

・・・ールを守って年齢に応じた、生活上、学習上のルールを守っ てこそ学習効果もあがる。授業中、先生や友だちの話を聞く。忘れ物をし ないなどもその中にはいります。

・・・違いや失敗をおそれずいろいろなこと にチャレンジして「うぬぼれでない自信」をも つことが生きる糧になる。

そして、毎日の小さなことの積み重ねが基礎学力の定着、思いやりの心の醸成になっていくと改めて感じています。

≪言葉の基礎≫

○反対語

 ゲーム感覚で反対語遊びをしてみませんか。

@はやい⇔(   )Aやわらかい⇔(   )
B売る⇔(    )C上⇔(   )
D昼⇔(     )E外⇔(   )
Fおいしい⇔(   )G新しい⇔(    )
H強い ⇔(    )I大きい⇔(    )

※子どもによっては、○○でない。と、答える子もいます。

例 はやい→はやくない。
車の中でも会話を楽しみませんか。


≪思いやり≫

人からもらう幸せだけでなく、人のためにできる幸せもある。

「バスや電車で席をゆずること」を小・中学生の65%は「していない」「あまりしていない」と答えています。弱い人を思いやり行動する愛情や勇気を持った人に育てるために何ができるでしょう。思いやりの心は、子どものころからの日常における実践を通してはぐくまれます。まず親が率先してやって見せながら、子どもたちが自然に妊婦や高齢者に席を譲ったり、障害のある人などが困っているときに声をかけたりすることができるようにしつけを行うことが大切です。

【バスや電車で席をゆずる小・中学生の割合平成10年調査】
必ずしている    9%
だいたいしている 26%
あまりしていない 35%
していない    30%

 今、日本では学力の向上とともに心の教育に力を注いでいます。そのために、高齢者の施設を訪問したり校外学習を通したりして思いやりの心の育成を重視しています。

 

≪声を出して読むことの大切さ≫

 なぜ教科書を声に出して読ませることが、文の内容を理解する上で有効なのか。

一 声に出させる意味

 ・記号としての文字が、意味をもつひとまとまりの言葉として意識されるた  め
 ・内容を考えながら読むことで、イメージが鮮明になるため。
 ・日本語の音韻、リズムを体得できるため。 
 ・声に出して読むという活動によって、授業が活性化するため。

 教科書を声に出して読ませると、極端に声が小さく一字一字拾い読みをする子どもがいます。そのような読みでは言葉や文脈の意味を読みとることができず、学習意欲が低下することあります。

二 指導のポイント

(ア) スリー・ステップを守って読ませる。

 ・発声・・・大きな声で
 ・発音・・・正しく
 ・よどみなく・・・すらすら
 ※ゆっくり繰り返し読ませる。

(イ) 良い姿勢で読ませる。

 ・肩から力を抜き背筋を伸ばす。
 ・ゆったりとした呼吸を繰り返す。
 ・教科書を読みやすい位置に持つ。 
 ※声が出やすい姿勢で読ませる。

(ウ) 聞き取りやすい読み方で読ませる。

 ・ゆっくり内容を考えながら
 ・句点や読点で息つぎをしながら
 ・気持ちをこめて


≪言葉集め遊び−−小学校低学年の場合、

では、今回は、「○」のつくことばあつめについて紹介します。

例えば、「あ」のつくことばをあつめます。
「あり」「あさがお」「ありがとう」をゲーム感覚で遊びます。

次ぎに、文の中に「あ」があることばを発表します。

「おかあさん」「ドア」など

この、「○」のつく遊び一つとっても奥が深いものがあります。楽しみながら短時間で語彙が増えていきます。試してみませんか。

≪拾い読みをする子どもへの指導≫

 「はるのあさ」を「は・る・の・あ・さ」と一字一字拾って読んだのでは、「はるのあさ」というあかるくさわやかなイメージを、この言葉から感じることはできません。「はるの」「あさ」と、まとまりの言葉を語としてとらえさせ、その意味を理解しながらゆっくりと読ませるように指導します。

速く読もう、つかえずに読もうとあせる気持ちが、かえって一字一字を目で追う結果になります。ゆっくり読ませて、読めたその結果に対して自信をもたせる指導が大切です。先々週の親子学級の際の私の提示したカードなどは指導例の参考になるかと思います。ぜひ、家庭でも試してください。 


≪漢字を身につけるために≫

文字遊び

 漢字の中には、事物の形をもとにしてできたもの(象形文字)が多くあることを知らせ、漢字に興味と親近感を持たせるようにするとその後の漢字学習が楽しくなります。

<遊び例>

次の絵はいまのかん字のもとになったむかしの絵文字です。どれがいまのかん字になったのでしょうか。(絵文字をかいたカードを準備しておきます。)

絵文字によい漢字として

 山 森 火 水 犬 月 子 手 高 馬 竹 川 などがあります。

教科書から子供と一緒に見つけるも楽しみです。


≪算数のすすめ≫

算数の学習は、おもしろくて、楽しくて、夢のある、そして役に立つ教科なのです。また、他の教科以上にできた喜びを味わうことができる教科でもあるのです。

しかし、多くの人々からいくつかの誤解をもたれています。

・計算など、単純な練習がつまらない。
・難問で苦しめられているのに、生活にすぐに役 にたたない。
・一度わからなくなるとその後の学習が困難にな る。
 などです。
・できる、できないがはっきりする。

だからこそ、算数はおもしろいのです。計算などもやり方を身につければ間違うということはほとんどありません。

小学生に算数を教えていて、子どもたちが100点をとった時の笑顔はすばらしいものです。また、文章題もクイズだと考えるととてもおもしろものです。一つの答えを出すのにもいろいろな方法で解くことができるのです。それらは、私たちの日常の生活に深く関係してくることも多いので提示一つで意欲が増します。

例えば、
@ここにあるチョコレートを兄弟同じようにわけ るにはどんな分け方があるか。
A50ドルを持って買い物をするときどのように有効に使ったらよいか。
Bワシントンまでのお父さんの車で時速80キロので行く場合何時間かかるか。

現地校の先生からも日本人の子弟の多くが算数・数学に力を発揮しているという声を聞きます。算数で自信をつけさせるだけでなく、算数科を通して日本語を学んでいきます。みんなで算数を楽しみませんか。

 

≪語彙を増やす工夫を(絵カード) ≫

 その子どもの日本語力に応じた具体的な言葉を選んで、その言葉を簡単な絵で書き表し、絵の脇または後ろにその言葉を添えた「絵カード」をつくります。カードを見せながら、声に出してその言葉を言わせるようにします。カードはさっと子どもたちに示すようにします。
 海外に長期に渡ると文字を学習して読めるようになっても、言葉の意味がわからず子どもたちが混乱する場合がでてきます。

 親子学級でも説明しましたが文字を読める段階から言葉の意味が分かる段階へと導く必要があります。そのためには、視聴覚教材が効果を発揮します。
絵カードは、カルタ的にも使用できます。試みる価値は高いです。まだの方は
ぜひお勧めします。

 

≪子どもはどの子も違う存在≫−失敗から学ぶ

 テレビでおなじみの吉岡たすく先生は、『やる気を育てる』という本の中でこんなことを述べております。

「ひとと同じでなくていいということを、まず頭に入れておいてほしい。花で例えれば、梅も桃も桜も菊も、みんな花です。咲くのは同じ。しかし、時期がそれぞれ違います。桜は春咲くが、菊は秋にならないと咲きません。秋まで待てば、咲くのです。ところが隣の子が桜だものだから、『あの子が咲いているのに、あなたはどうして咲けないの』とせきたてる。そして、゛励まし゛という水もやらない。これでは菊は咲かずに枯れてしまう」と。

 私の今ままでの教職経験からも「隣の子が塾に行ったから、うちの子も塾にいれなければならない。テレビゲームを買ったからわが家でも買わなければならない。」そんな相談がありました。みなさんはどうでしょうか。

 子どもは、すべてかけがえのない全く違う存在なのです。このことを忘れてしまうと大きな間違いをおこす恐れがあります。

 また、子どもたちが失敗をすることを恐れ、先回りして失敗しないようにする、なんてことはないでしょうか?この頃の子ども達は、ちょっとしたことで挫折してしまうことがあります。
(先生、私どうなってもいいよ。とか僕には無理だよ等)それは、失敗するという経験が少ないからです。失敗するということで、子どもだって大人だって成長するのです。失敗させないようにと考えるのは、親として本当に優しいことなのでしょうか?どうも私は違うのではないかと考えます。むろん、取り返しのつかないような失敗は困りますが、少々の失敗は許してあげてほしいと思います。昨年ノーベル受賞されたお二人の先生は、くしくも「失敗について」違った観点からその重要性について述べていました

 

≪できることから ≫

子どもたちの自己中心的な言動や自立の遅れの背景には、自己責任の考え方が身についていないことがあります。少子化の影響もあり「自分のことは自分でする」などのしつけがされなくなってきているようです。

 家庭でのルールをつくり子どもたちに家事を担わせることは、責任感や自立心、自分が役立っているという気持ち(自己有用感)をはぐくむ上で大切なことです。「後かたづけをきちんとさせる」など、小さなことから家事を手伝っている子どもが「しっかりしてきた」という話をよく聞きます。

それぞれの家庭により事情が違いますができることから始めてみませんか。

≪言葉の基礎(主語と述語)

子どもたちの会話を聞いていますと、単語だけで話している子ども述語だけで話している子どもがいます。それでも、お互い通じています、・・・

そんな時、「何が」「何は」「だれが」とか聞いてあげると、わかりやすい文になります。今回は、そこで、主語と述語について説明します。

言葉の基礎

○主語と述語(小学2年の学習から)

「生まれる。」「おいしいよ。」だけでは、言いたいことが伝わりません。
 
「妹が生まれる。」「ケーキがおいしい。」

のように主語(何が、何は、だれが、だれは)と述語(どうする、どんなだ、なんだ)がそろった文にすると、言いたいことがきちんと伝わります。 今週、各家庭で会話をするとき、主語と述語がある文か少し意識してみませんか。


≪ひらがなの導入≫

平仮名を学習するにあたり、「あ、い、う、え、お」等を読んだり書いたり練習することを園児、児童の児童の実態を考慮せずに行っていませんか。

大切なことは、「あり」「あめ」など具体的な物と関連づけて、読みたくなる環境を作り、一音、二音、三音とリズムをつかませて単語として声に出すことです。

(子どもたちは、言葉だけですとわからない場合がでてきます。その時は、今、実施しています絵カードを効果的に使うとよいです。

例 りのつくものなんだ、ある子どもはリンゴを思いうかんでもある子どもはリンゴの意味がわかりません。先日、リンゴの絵を見せたところ、日本語の使用頻度の少ない子どもは、アップルと英語で話してくれました。そうアップルだね。りんごね。と子どもに返しました。するとりんごの絵とりんごとアップルが結びついたのです)

「あのつくものなあんだ。」のように楽しく学習したいものです。

書く場合も、ただやみくも写すのではなく線のつながり、うつくしさを感じ取らせることが重要です。

≪言葉遊び紹介−−電話ゲーム≫

自分の気に入った一枚の写真を友だちに電話で伝えるゲームです。もちろん、電話でなくてもかまいません。写真の様子をできるだけ詳しく、電話の相手に伝えることができるようになることを目的としています。

例えば、学芸会の様子の写真を見て、その場にいなかった人にわかりやすく説明する。などいろいろな場面で活用できると思います。


≪あけまして おめでとうございます−−ドリカム計画≫

「ドリカム計画」というのを聞いたことがありますか。これは、日本のある高校が授業内容にドリカム(夢をつかむ)計画のための学習を取り入れたのです。例えば、「私は将来、獣医師になりたい。」という生徒に対して、一人ひとりの夢を語る時間。実際に獣医師の方とあって夢を膨らませる時間。夢を実現するために今何をすべきか計画する時間。など生徒一人ひとりの夢実現のために学習計画がたてられているのです。

 その学校に通う生徒たちは、ドリカム計画を実現すべく生き生きと学習にスポーツに取り組んでいるとのことです。

≪夢を持つと、人は強くなる≫

 今の子どもは冷めていて、将来の夢や希望も持たず、難しい目標はチャレンジする前にあきらめてしまうという声があります。しかし、子どもたちは子どもなりに夢や希望を持っています。どんなに小さなものであっても、その夢や希望に耳を傾けるのが私たち教師や保護者の皆さんの責務と考えます。

 ご家族の方々の経験や、長い間にわたって苦労して夢を実現した人々の生き方などを折にふれて知らせてください。そして、人生の目標は汗を流し、失敗を重ねながら達成していくものだと、励まし、あたたかく見守っていきましょう。私たち教師と親は子供の応援団長です。

 今までたくさんの子どもたちの成長の様子を見てきて、夢を持って生きるということがいかに大事だということを実感しています。子どもさんの
夢をみんなで育てたいものです。

≪学習意欲と学習効果≫

学習活動において大切なことの一つに、学習意欲があげられます。
学習意欲の程度が、学習成果に影響するのはあきらかです。

まず、学習意欲をしっかり持つために、いくつか述べてみます。
(児童生徒の年齢層によっても変わります。)

1 学ぶことの喜びの体験・体感
 理解できた。うまくいった。という経験を重ねること。

2 学習意欲の大切さの自覚
 がんばるぞという意識をもつこと

3 興味関心をもつこと
 日本語に興味関心がなくては、長続きしません。

4 自己実現の気持ちをもつこと
 もっとできるようになりたい。

5 学習の仕方がわかる
 勉強の仕方、参考書の使い方などがわかる。

6 学習仲間がいること
 同じ目標をもつ、仲間がいると効果が倍増します。

7 周囲の言葉かけが肯定的であること
 励まし続けることが寛容です。

など、多々考えられます。幼稚部から小学部の低学年にかけては保護者の
励ましや喜ぶ笑顔が学習意欲にもつながります。しかし、年齢の上昇とと
もに上記のような条件が一つでも満たされることが学習意欲の向上につな
がります。

≪日本語の基礎−濁音、半濁音の教え方≫

 「ばびぶべぼ」「ぱぴぷぺぽ」

ア「□にてんは○です。」
イ「□にまるは○です。」

「は」にてんは「ば」です。
「は」にまるは「ぱ」です。

ア、イの形のようにゲーム感覚で「ばびぶべぼ」「ぱぴぷぺぽ」を学習するのも一つです。

※「は」「ば」「ぱ」聞き分けたり音だししたりすることが困難な場合は、人差し指を唇にあてて、、「はひふ・・」「ばびぶ・・」「ぱぴぷ・・」と発声させ、唇の振動の違いを認識させると良いようです。

≪日本語環境をつくりませんか≫

海外だからこそまずは日本語の環境を豊かに。

 海外で暮らす上で、一番気がかりなのは言葉です。とりわけ問題なのは幼い子どもを海外で育てねばならないということかと考えます。子どもは適応が早くて、言葉の吸収もいいから問題はないと容易に思ってはいないでしょうか。

 子どもが言葉を覚えるのは、家族をはじめ周囲に母語の環境があふれているからです。しかし、海外では、一歩家から出れば身の回りはほとんど現地の言葉です。もちろんそれを吸収することも大事ですが、結果として母語の習得が中途半端になってしまうと、それこそ問題です。国内にいればあえて意識しなくてすむ話ですが、海外では母語の環境をできるだけ豊かにする意識的な工夫が必要です。

 もし、子どもが英語で反応しても親が日本語でもう一度いってあげるだけでも大きい効果がでます。

例えば、こどもが リンゴを食べたいと英語で親に話したとき、そう、リンゴが食べたいのね。その言葉だけでも大きいです。これだったら、生活の中でもできますよ。


≪教室は、間違うところだ−−他の子と比べない≫

勉強は、わからないから学校にくる。だから、できなくてもはずかしいことはない。わからないところがわかるようになるために学校にくるんだ。(私の教育に対する考えですが、) 学校に行って友だちと一緒に勉強して、「こんなことを考えた。こんなことを見つけた。こんなことがわかった。など」その子なりに成長して欲しいと願います。

そこで、お願いがあります。それは、子どもたちが伸び伸びと学習できるようになるために。 けっして、他のお子さんと比べない。自分のお子さんががんばっているのにそれ以上を要求しない。(例えば、子どもがテストで80点とって答案用紙を見せにきたら、その行為、努力を認めて、称賛してください。けっして、「ここなぜ間違ったの、この次は100点」とせかさない。このような会話では、次への意欲はそいでしまいます。

どの子どもたちもわからないから学校に来ます。けっしてはずかしいことではありません。その中で少しずつ理解していきます。

 「ここがわからないんだ。」と素直に言える子は伸びます。教室は間違うところです。海外で日本語環境にない子どもたちにとって、家庭も教室と同じです。家庭で音読していてつまづいてもいいじゃないですか。漢字が読めなくてもいいじゃないですか。一緒に音読を楽しんでください。きっと、子どもの笑顔がそこにあります。

 

≪言葉遊び紹介≫

○カバン語ゲーム

 一つの言葉の真ん中に、別の言葉を入れて、まとまった意味のある文を作る。これを「カバン語」ということにする。次の例にならってカバン語をつくってみよう。

 えんぴつ→えんの下におちたピーナッツ
 めがね→めが大きいねこ
 はさみ→
 けしごむ→
 テレビ→
 がっこう→
 しんぶん→


≪ことばで伝え合う気持ちの育つ場を≫

 言葉は教え込んで覚えさせるものではありません。互いに思いを伝え、それを、一緒に使う場があって、自然な言語環境に触れることで、内側から育つものです。

 日々の生活の中でお父さんやお母さんに伝えたいことがある、聞きたいことがある。そういう思いがあふれる場であることが最大の言語環境です。文字を覚えて読んだりするときも同じです。文字を読ませる、書かせると考える前に、一緒に読みたい、読んでみたい、書いて伝えたい、子どもの中にそういう「したい」気持ちの育つことが文字学習の出発点です。

 学校の様子をお父さん、お母さんが聞いてあげる。日本の友だちや親戚に手紙を書いてみるのも大事な方法です。

≪海外在住の子に日本語を教える≫

海外に住んでいるということで、文字は読めても意味を理解できない子どもたちもいます。そこで、ひらがなを読むときに一つの単語または文として見せることがより重要になってきます。

 私は、それに加えて実物や絵などで単語のイメージをつくってあげることが非常に重要と考えます。例えば、子どもが「しょうじ」とか「きもの」などと努力して読めるようになってもそれが何のことがわからないとただの文字の羅列にしかなりません。「しょうじ」の単語が「和室の障子」を思い浮かべてくれたのなら子どもの脳裏に深く刻み込まれると考えます。(現在、親子学級で使用しておりますプリントはそれを一つのねらいとしています。)

実物がない場合も多々出てきます。そのときは、写真や絵、ビデオ、図でも効果はあります。こうしたことの積み重ねが日本文化の広い意味での理解につながります。

 小学1年で学習する「たぬきの糸車」の一場面を考えても、たぬきがやぶれ障子のすきまからのぞく光景がうかぶようでしたらこの物語のおもしろさは格段に増します。

拾い読みをする子どもへの指導

 「はるのあさ」を「は・る・の・あ・さ」と一字一字拾って読んだのでは、「はるのあさ」というあかるくさわやかなイメージを、この言葉から感じることはできません。「はるの」「あさ」と、まとまりの言葉を語としてとらえさせ、その意味を理解しながらゆっくりと読ませるように指導します。速く読もう、つかえずに読もうとあせる気持ちが、かえって一字一字を目で追う結果になります。ゆっくり読ませて、読めたその結果に対して自信をもたせる指導が大切です。



≪ことばで伝え合う気持ちの育つ場を≫

 言葉は教え込んで覚えさせるものではありません。互いに思いを伝え、それを、一緒に使う場があって、自然な言語環境に触れることで、内側から育つものです。

 日々の生活の中でお父さんやお母さんに伝えたいことがある、聞きたいことがある。そういう思いがあふれる場であることが最大の言語環境です。文字を覚えて読んだりするときも同じです。文字を読ませる、書かせると考える前に、一緒に読みたい、読んでみたい、書いて伝えたい、子どもの中にそういう「したい」気持ちの育つことが文字学習の出発点です。

 学校の様子をお父さん、お母さんが聞いてあげる。日本の友だちや親戚に手紙を書いてみるのも大事な方法です。

 

≪励まし方で子どもは変わる≫
 
例 試験の結果が悪かった子どもに

 その子なりの伸びを見て、「できたこと」「できるようになったこと」を認めて励ます。けっして、他と比較しない。

 一生懸命がんばっても、低い点数しかとれない場合もあります。まして、学年があがったからできるようになるとはいいきれません。(日常、日本語に触れていないのですからなおさらです。)

 そんな子にとって、「もっと、がんばれ」と言われると、「自分は頑張っていないんだ」と感じて、ますます自信をなくしてしまいます。教師や親は点数だけを見ないで、その子が成長したところに目を向けるようにしたいものです。

 例えば、「この前は、計算が半分しかできなかったけれど、今度は半分以上できてよかったね。」文章題で、「この問題の意味よくわかったね。式 できているよ」その子自身の成長を認めてあげることが大事と考えます。そして、「頑張ったから、ここまでできたんだね。」と言ってほめてあげれば、「やればできる」という自信がつきます。がんばりをほめてあげることの方が次につながります。

≪拾い読みする子どもへの指導≫

暗くなるのがはやくなりました。各家庭では読書の時間が増えたことと思います。読書のはじめの段階は、拾い読みになりがちです。そこで、今回は拾い読みをする子への対応について述べます。

 「はるのあさ」を「は・る・の・あ・さ」と一字一字拾って読んだのでは、「はるのあさ」というあかるくさわやかなイメージを、この言葉から感じることはできません。「はるの」「あさ」と、まとまりの言葉を語としてとらえさせ、その意味を理解しながらゆっくりと読ませるように指導します。速く読もう、つかえずに読もうとあせる気持ちが、かえって一字一字を目で追う結果になります。ゆっくり読ませて、読めたその結果に対して自信をもたせる指導が大切です。

 

≪あなたの得意はなんですか≫

 日本に愛すべきモノまねタレントのコロッケがいます。彼の出るテレビは間違いなく視聴率が高くなるのです。

 彼は、中学2年くらいまでは暗い、全く目立たない生徒で、担任の先生も「あまり覚えていない」というほどの存在だったようです。そんな彼が急に明るくなったのは、お姉さんの影響が大きかったのです。

お姉さんはモノまねがうまくクラスの人気者でした。それを見ていて彼もモノまねをしてみたらクラスでバカ受けし、それ以来、性格もあかるくなったというのです。クラスの仲間はあまりの変わり様に驚いたが、彼は時々モノまね大会でみんなを喜ばせるようになりました。

2学期の通知表には「見違えるように明るくなりました」と書いてあり、成績も上がったというのです。どんなことでもいいから自分が得意とすることを見つけ、それを伸ばすことが自信につながりよりよい人生へとつながるようです。

 本校に通う児童生徒の皆さんを見ていると、「私は、ピアノが大好き、○○の曲もひけるのよ。」「僕は、テニスなら負けないよ。地区大会で優勝したんだ。」「私は、今まで習った漢字をみんな読めるよ。」「私は、作文コンクールで賞状をいただいたよ。」

どの児童生徒にもたくさんの得意なものがあります。その得意なものをこれからも伸ばし自信をつけてください。それが他へも広がっていきます。


≪おかげさまの心≫

教え子から、時々「先生、おかげさまで、看護婦になれました。」「おかげさまで、何々高校受かりました。」等のうれしい言葉を聞くことがあります。 

 さて、「お陰様で助かりました。」という[お陰様]という言葉を、私たちはよく使ったり、聞いたりします。

 では、この、[お陰様]という言葉はどこからきているのでしょうか。広辞苑によると、「相手の親切などに対して感謝の意を表す挨拶語」と説明されています。私はこんなふうに考えました。

 夏の暑い日、樹の陰に入ると、涼しくてほっと一息つけますね。まさに、樹の陰のお陰なんです。その樹の下に入って、私たちが「休ませてくれてありがとうありがとう」と、感謝する気持ちが、「お陰様」になったのではないでしょうか。でも、樹は陰を作って休ませてあげようとして、枝を伸ばし、葉を広げているのではないのです。自分のため、生きるために成長をしているのです。

 私たちが「ありがとう」とか「お陰様で」とか、感謝の気持ちを表すのは、その人の気持ちの持ちようだと思います。他人の行為に対して、素直に感謝する気持ちが、今、最も必要とされているのです。 

 私たちは、もちろん一人では生きていけません。一人一人が助け合い支え合ってこそ初めて豊かに生きていけるのです。数年前の阪神大震災で、私たちは大きな教訓をたくさん経験しました。なかでも、災難にあった時にまず自分で自分を助け、生きようとする努力を自助、同じ災害にあったもの同士が助け合う共助、そしてさらに日本全国や世界中から得た公助があってこそ、初めて生きていけるのだと思いました。

 私たちが、まわりの人々の存在や行為に対して、自ら生きる力と感謝する心構えを、この樹の陰は示しているのだと思います。助けられた気持ちを大切にしながら、周囲の人たちに感謝の気持ちを持ち続けたいものです。

≪日本語に接する機会を増やそう≫

 海外では、日本語にふれる時間が少ないため、日常生活の中で、できるだけ子どもが日本語に接する機会を増やしてあげることが重要と考えます。ここで、考えなくてはならないことは、各家庭毎により日本語を学ぶ目標が違うということを保護者の皆さんがしっかりと認識して他人の子とけっして比較しないことです。

 次に日本語に接する機会を紹介します。家庭の実態に応じて取り組んでください。

1 家庭内での日本語での会話を大事にする。
 (意図的に時間を設定する)

2 日本語で書かれた絵本や小説、教育教材を部屋におき、保護者も日本語の本を読む。

3 日本語のビデオテープを視聴する。
 (ビデオ内容の検討も必要です。)

4 子ども向けの新聞、雑誌、漫画を部屋におく。 (漫画の内容の検討も必要です。)

5 日本語テレビ、ラジオを視聴する。

6 日本のお祖父さんやお祖母さん、友だちと手 紙やメールの交換をする。 

7 子ども向けインターネットホームページを活用する。

8 日本語で話せる友人を持つ。

 しかし、せっかくの海外での生活です。現地の友人と交際したり観光名所に出かけたり各種の行事に積極的に参加して異文化の世界を楽しむことも大事と考えます。



≪音読と黙読、どちらが効果的?≫

国語の勉強に限りませんが、本を読む場合に声に出して読む場合と、声を出さないで読む場合がありますが、いったい、どちらの読み方をすると、書いてある内容を記憶できるのでしょうか?無論、人によって違うこともあります。

静かな部屋で一人で本を読むと、頭に入りそうですね。しかし、実際、どうなのでしょうか。

一般的には、声に出して読む方が記憶ができるということです。それは、なぜでしょうか。人間の記憶する力というのは、いろいろな器官を使った方が覚えやすいようにできているからです。

黙って本を読む場合は、目だけしか使っていないことになります。しかし、声を出すとなると、目と口の2つを使うことになりますね。それに手を加えてみたら、3つになります。声を出しながら手を使って、大事なことを書いていく方が、しっかりと記憶ができるのです。そして、自分の声を自分で聞くことになりますから、合わせて4つの器官を使うことになるのです。

本を声を出さずに読んで、しっかりと記憶できる人も確かにいますが、前に説明しましたように、いろいろな器官を使う方が記憶できるのです。

声を出すのが面倒だとか、書いて覚えるなんて面倒だという人が多いのですが、せっかく勉強するのならば、できるだけ効果的に勉強して、時間を有効に使った方がいいと思いませんか?

それは、漢字の練習も同じです。ただ目で漢字を追うよりは、声に出して漢字を読む方がいいわけです。更に、手を使って漢字を書いた方がいいわけです。そうして、余った時間、スポーツをしたり遊んだりした方が、ずっと時間を大切にすることになりますよ。

(あくまで、記憶する場合です。じっくり考える場合は、黙読の方が効果が大きいです。)

 

「そのひと言」

 そのひと言で風が立ち
 そのひと言でがっかりし
 そのひと言で泣かされる
 そのひと言ではげまされ
 そのひと言で立ち上がる
 ほんに大事なひと言よ

 (和歌山県清流山浄教寺の若宮さんの詩より)

 私たちが何気なく使っている言葉には偉大な力があります。私も、子どもたちや保護者のみなさん、先生方の言葉によって励まされ続けています。まして、子どもたちは私たちの「一言」によってその一時だけでなく人生さえも変えてしまうことがあります。

数学は苦手だけれど、絵の好きなA君に、
 「○○君の絵、いいなあ、実にいい。この牛、今にも動き出すようだよ。」

台所で、手伝いをしてくれるわが子に、 「△△がいてくれて、本当に助かるよ。△△が炊いたごはんとってもおいしいよ。」

テストで60点をとった子に、「こんな難しい問題やっているのかい。60点もとれたんだ。休みの日曜日もがんばったからだね。この次は、ここ、見直しするともっといいよ。」

スポーツで入賞したわが子に「すばらしい試合だった。おめでとう。コーチの話をよく聞いて、毎日練習してきた成果だよ。」 「ありがとう」「きみがいてくれて助かったよ」「やればできるじゃない」「だいじょうぶ明日があるよ」

何事にも自信をなくしていたある子が周囲の一言で「先生は(お母さんは)、君の応援団長だ。いつでも応援しているよ。」励まされ、立ち上がり、りっぱな大人になる姿を幾度となくみてきました。

時には、自分の発する「一言」を考えてみませんか。

 

なりきりゲーム

○なりきりゲーム

このゲームは、身の回りにいる動物、植物、物、他人に自分をおきかえて話をするゲームです。

例えば→家にある時計になりきって話をするとどうなるのでしょうか。

「早く起きないと、スクールバスがいっちゃうよ。」公園のリスの場合はどうでしょうか。

「寒むなってきたな。僕の食べ物も少なくなってきたよ。」夏目漱石の「わが輩はねこである。」のように。視点を変えてとてもおもしろいです。

(この話だけでも長編作文になります。)

教員生活の原点

私の教員生活の原点になった頃のお話を簡単にします。

それは田舎の小さな学校でした。子どもたちは小学1年生から6年生までで12人という小さな学校です。そこで、私は3年・4年の複式、5年・6年の複式、時には、1年から6年までという学年を越えた生活を送っていました。

その子どもたちは、給食の準備から学校の清掃までいつも明るい笑顔で、協力し合って担任の私を助けてくれました。

勉強も学年が違う子どもたちが一緒ですから非常に活発でした。12人の子どもたちはそれぞれに素晴らしい才能を持っていました。スポーツの得意な子、音楽の得意な子、算数の得意な子、魚捕りの得意な子、植物の育て方が得意な子、それぞれの得意を勉強や生活の中で生かしていきました。

そのためか、あまり勉強、勉強と言わないのにどの子も良く理解できるようになっていきました。作文コンクール、書道コンクール、陸上大会、学力テスト、そして、地区の大会でも活躍するようになったのです。どんなに活躍しても、その子たちはみんなとがんばろうとよく言っていました。

ある体育の時間、子どもたちと学校の周辺をランニングしていたとき、前の坂道を年老いたおばあちゃんがリヤカーをひいていました。誰彼となくみんなでリヤカーの後ろを押し、おばあちゃんの家まで行ってしまったことがありました。

私は、その地区の保護者の方だけでなく地区に住んでいる多くの方から温かくされたのを今でも鮮明に記憶に残っています。山の中の子どもたちですが、それも日本の子どもたちです。今、その子どもたちは立派な社会人として活躍しています

 

言葉遊び紹介

○単語そろえリレー

同じ音を持ったことばを、、限られた時間内でいくつあげられるかを競争する。同じ音は、一つのことばの上の音、または下の音でそろえるようにする。

・上の音でそろったばあい
 「あさ」→あめ→あす→あい→あき→あか→あ し→

・下の音でそろえた場合
 「あお」→かお→しお→さお→うお→

 このようにして、時間を区切って(1分間)どれだけ多くの言葉をそろえられるか、競争する。

homeheart.gif (3465 バイト)