こどもが心を開く親の話し方、聞き方
Part 1
例えば、お子さんとこんな会話したことがありませんか?
@
子:ママ〜疲れた。
母:そんなはずないでしょ。今、昼寝したばかりじゃないの。
子:(さらに大きな声で)でも、疲れた!
母:疲れてるんじゃなくて、ちょっと眠いだけでしょ。早く洋服を着なさい。
子:(泣き叫ぶ)疲れた〜!!!
A
子:ここ暑いよ。
母:寒いでしょ。セーター着ておきなさい。
子:あつい!
母:セーター脱いじゃだめって言ってるでしょ。
子:でも暑いの!!
こうして会話は、最後には必ず親子の言い争いになってしまいます。ここで起きていることは、親が子どもが実際に感じていることを全て否定しているのです。親は自分の感覚をもとに子どもの感覚を全く信頼していないというメッセージを伝えてしまっているのです。
第1章では、こどもの気持ちになって、言葉をかけるというが大切だと言っています。
@子どもが話しかけてきたときは、こどもに向き合って静かに真剣に耳を傾ける。(テレビを見ながらとか、心ここにあらずという状態では聞かない。)
Aこどもの気持ちを理解し、「そう。」「ふーん」「なるほど」などという相槌を打ちながら聞く。(この時に、こどもに先走ってアドバイスを与えたり、コメントをつけたりしない。)
Bこどもの気持ちに名前を与えてやる。(「それは、がっかりしたね。」「恥ずかしかっただろうね。」「怒っているんだね。」などなど。会話例:×「おもちゃが壊れちゃった(大泣き)「乱暴に扱うからでしょ!」
会話例○「おもちゃが壊れちゃった〜(大泣き)」「大好きなおもちゃが壊れるたんだ。悲しいね。」Cこどもの望みを想像の中で答えてあげる。(「パパもマジックが使えて今すぐアイスクリームが出てきたらすばらしいと思うよ。」)
こどもは、このような会話を通して自分の気持ちを受け入れてもらい、自分の気持ちを理解し、自然と自分自身で解決策を見つけるようになります。
毎日のお子さんの会話の中で、上記の4つを早速実践してみてください。そして、何か変化があったら教えてください。私も毎日、実践しようと心がけています。そして、いつもの会話パターンというのを破ることは非常に難しいと感じています。
ちょうど、この本を読んでいる最中に、内藤敦さんという方から、お便りを戴きました。偶然に本の内容と相通じる所があると思いましたので、紹介します。
誉めるでもない叱るでもないこどものしつけ
(前略)
ところで、今 子育てに関してとても気になっていることがあります。私は仕事柄、赤ちゃんから高校生くらいまでの子供さんのお母さんとよく教育について話す機会があります。そして毎回とても気になっています。お母さんの教育への関心は学業成績から人格形成へと変わりつつあるこのごろですが、
教育に関する情報も便利な今ではたくさん手に入ります。なのに家庭教育の質は悪くなる一方に思えます。もちろんすべての人がそうではありません。この間もお母さん3人と話をしていました。教育法は良いとか、%%教育法は良いとか教育論はさすがに情報が豊富で、幼稚園の評価、学校の評価実に詳しい人もいました。お母さんが家庭でどのように教育をするのかという話題になると、「とにかく誉めて育てるのがよい。」「必要なときには叱った方がよい。」この2点に話が集約されてしまいます。たくさんある教育のための情報も誉める、叱るのたった2つのことに単純化されてしまいます。
人間は熱意のある事柄に対しては複雑さも克服しますが、どうでも良いことは「ああ、要するにこういうことだろ」という具合に単純化しがちですね。複雑さに挑戦するほどの意欲がもてないからですね。私はそんな時、決まってこう言います。「それでは、誉めることをせず 叱ることをせず子供をしつける方法は?」その一言で盛り上がっていた教育論が静まり返りました。
何も難しいことではありません。でも、誉める 叱るにとらわれると他のことが見えなくなるだけです。
そしてお母さん方にこのような話をしました。私がある男の子のしつけに関わった例です。ある3才の男の子が星獣戦隊ギンガマンが大好きだ。という話を聞きました。星獣戦隊ギンガマン?何だそれ? ?早速それについて調べました。すぐに子供向けのテレビ番組だとわかりました。それで、ビデオに録画して何度も研究しました。その番組の主題歌を何度も聴いて歌えるようになりました。そして、そのこの前で歌ってみせると、その子は驚いて「す、すごい!」といいました。
そして、私のいうことをとても素直に聞いてくれました。その子と接するには、ギンガマンに詳しいことが大切でした。ある4才の男の子が幼稚園での素行が悪いとのことで私は本屋でウルトラマンガイヤに関する資料を買い込みました。もちろんその子はウルトラマンガイヤの大ファンでした。そして、ウルトラマンガイヤになりすまし、手紙を書きました。内容は将来ウルトラマンになって私と一緒に戦って欲しい。そのためには幼稚園の先生のいうことをよく聞かねばならない。という主旨です。
親の言うことよりも先生の言うことよりもウルトラマンガイヤの言うことの方がその子にとって重大です。
これはユーティライゼーションテクニックの例です。その人物 年代 その心に合わせるやり方です。本当になんでもないことです。しかし、教育を誉める、叱るという2点で考えたときそれよりも効果的なやり方を忘れてしまいます。サイコロTown![選択のマジック]をご参照ください。
最近の家庭での教育のこと実際にお母さん方と話をするたびに叱ってはいけないのか?上手なほめ方とは?等々その方向だけに終始する傾向を危惧しております。多くの人に、誉める叱るだけではなく第3の方法、第4の方法、いろいろあるということに目を向けていただきたいと思っております。Sweet Heart さんにはとても多くの情報がありますのでこの話は蛇足かもしれませんが、私が経験上個人的に気になっていることです。長くなって申し訳ありませんでした。
内藤 敦
サイコロ Town!
http://park6.wakwak.com/~psychol/p1.htmlPart 2
子どもを叱る時、どんな叱り方をしていますか?以下にあげる10種類の叱り方に覚えはありませんか?
@責める
例:「何度汚い足で家にあがるなって言ったの。どうして、いつもそうなの。お母さんの言うこと全然聞かないんだから。」
A馬鹿にする
例:「なんて行儀が悪いの。本当に汚いんだから。」「部屋が汚いじゃないか。本当に犬やネコと同じね。」「また忘れたの?馬鹿ねー。」
B脅し
例:「もう一度やってごらん。お尻をたたくから。」「3つ数えるまでに着替えられなかったら、置いて行くからね。」
C命令
「今すぐ部屋を片付けなさい。」「今すぐ着替えなさい。早くして!」
D長々と講義する
「人の手から急に本を取るなんて、お行儀悪いでしょ。あなたは、マナーというものが、どんなに大事だかわかってないのね。もし、他人に丁寧に接してほしかったら、まずあなたがそうするべきでしょ。他人があなたに同じことをしたらどう思う?他人にしてほしくないことは、あなた自身がしないの。」
E警告する
「危ない。やけどするよ。」「気をつけて、車にひかれるよ。」「そこに登るんじゃないの。おっこつわよ。」「セーター着なさい。風邪ひくでしょ。」
F犠牲者的発言をする
「この白髪見なさい。苦労ばっかりさせられるから真っ白になっちゃったじゃない。」「自分が親になれば、お父さんが、どんなに大変かわかるよ。」「あなたのせいで、病気なりそう。」
G比較
「お隣○○ちゃんを見習いなさい。」「リサちゃんは、なんて行儀がいいんでしょう。今までお行儀が悪いところ見たことがない。」
H皮肉
「明日テストがあるのわかっているのに、教科書本を学校に忘れてきたの?なんて頭がいいんでしょう。」「学校にそんなの着ていくの?きっとみんなに誉めらるよ。」
I予言
「成績のことで嘘をついたでしょ。そういう子は、大きくなったらどうなると思う?誰も信じない人になるんだよ。」「自分勝手でも結構。誰も、あなたみたいな子とは遊んでくれなくなるよ。友達が一人もいなくなっちゃうからね。」
それぞれの言葉を、自分が子どもの立場になってみて、もう一度読み返してみてください。どんなふうに感じますか?例えば、「警告」などは、どんな親もよくやることですよね。どこがいけないのでしょう?こどもはどうのように感じるのでしょう。
本によると、子どもの気持ちは。こうです。「本当に怖い、危険だ。」「自分一人で、どうやったら何かできるというのだろう?」「何をやっても、うまく行かない。」
それでは、一体、どんな方法があるのでしょう?ここでは5つの方法が紹介されています。
@見たままの状況を表現する。
×「何度トイレを出るとき、電気を消しなさいと言ったの!」
○「トイレの電気がついてるよ。」×「お風呂の水を止め忘れてるよ。なんて無責任なんだ。床が洪水になるぞ。」
○「お風呂の水があふれそうだよ。」A情報を与える
×「もう一度、壁に落書きしたら、お尻ぺんぺんだよ。」
○「壁は落書きする場所じゃないよ。落書きは紙にするもんだよ。」B一言で言う
×「パジャマに着替えなさいって何回言ったの。テレビを見る前にパジャマに着替えるって約束したでしょ。それなのに、あなたたちは・・・・・・」
○「パジャマ。」×「また、お弁当忘れて、そのまま学校に行こうとしてる。昨日も忘れて、ママが届けなければならなかったでしょ。もし頭が体にくっついてなかったら、自分の頭も忘れていくところじゃないの?」
○「お弁当!」C気持ちを伝える
×「また網戸を開けっぱなしにして。頭に来るわね。」
○「網戸を開けっぱなしにされるのは困るの。ハエとかが入ってくるでしょ。」Dメモで伝える
例:テレビに「宿題は終わりましたか?」というメモをはる。
もちろん、このように言い方がを変えたからと言って、すぐに結果が出るわけでもないし、親自身、今までの子どもへの接し方のパターンをすぐに変えることは難しいことですが、毎日、ひとつずつ実行していくことによって、必ず良い結果が生まれるということです。
【SweetHeartの実践】
子どもに対して“Please”と言うのも、場合によっては逆効果になるということです。どんな場合かと言うと、
親:(優しくしようと試みながら)Please, don't jump on the sofa.
子:(ジャンプし続ける)
親:〈声を大きくして)Please don't do that!
子:〈ジャンプし続ける)
親:(いきなり子どもを叩いて)I said “Please”, didn't I?なぜ、優しそうな母の態度が急に怒りに転じたかというと、母の心の中では「私がPleaseまでつけて、こんなに優しくしてやってるのに、それを無視するなんて!目にものを見せてくれる!」という心境の変化があったからです。
最初から断固とした態度ではっきりと「ソファーは、ジャンプする場所じゃありません。」といった方がいいということです。
私も、今までは、「やめなさい。」「何度言ったらわかるの。」「もう一度やったら明日テレビ見せないからね。」などと言う習慣的なグチグチ,ブツブツ、ゴロゴロどっかんの雷、脅し、をできる限りやめて、その代わりに「ベッドの上はジャンプするところじゃないヨ。」とか「家の中はボールをける場所じゃないよ。」と情報を伝える方法、または「手を洗いなさい」と命令する代わりに「手」または「手はきれい?」、「行儀よくしなさい。犬みたいな食べ方しないの。」の代わりに「足!」などと一言で簡潔に言うように心がけています。
実際に、これらの方法は、以前の方法よりも、ずっと子どもの耳に届いているようです。
ところで、Part1でも紹介させていただいた内藤敦さんから、もう一本、子育てTipをいただきましたので掲載します。
催眠療法家がよく使う専門的な手法で、NO SETといいます。比較的簡単な方法です。
子供が小さい内によい習慣をつけたいものですが、一筋縄ではいきません。早く風呂に入れて早く寝かせたい。「早くお風呂に入りなさい!」と、何度、言っても入らない。だんだんと、腹も立ってくる。
もし子供が幼稚園児くらいだとすると、こんなやり方があります。5分以内に子供は風呂にはいるでしょう。まずこのように話しかけます。「○○ちゃんにお願いがあるんだけど、一度虫歯になってもらえないか?」すると子供はいやだと言います。さらに続けます。「虫歯になったらどれくらい痛いか試して欲しい。一度虫歯になって欲しいなあ。だから、今日は、歯を磨いたらダメだぞ!」もちろん子供はいやだと言います。「でも、虫歯になるとすごく痛いらしいからどれくらい痛いか、虫歯になって欲しいな。」当然子供はいやだと言います。
いやだと言えるような雰囲気を作っておくことが大切です。そして、ここら辺で虫歯の件はあきらめます。「しょうがないなあ。じゃあ、その変わり、すごく、汚くなってほしいなあ。汚くなって、みんなから汚い汚いって言われたらどうなるかなあ。」子供はこれもいやだと言います。「汚くなるために今日は絶対お風呂に入らないで欲しいなあ。」子供はもちろんいやだと言います。「今日はお風呂に入らないで、明日はすごーく汚い子になって欲しいなあ。」子供はいやだと言います。
そしてここらで最後の仕上げです。「どうしても今日お風呂に入るつもりかな?」子供は「入る!」「まさか、今入るつもりじゃないだろうな!」子供は「いま、入るもん!」と、鼻をふんふん鳴らしながら、意気揚々と風呂に直行します。
おわかりのように、全部子供に逆らわせています。多くの方の参考になれば幸いです。では、お互いがんばりましょう。内藤 敦
サイコロTown!
http://park6.wakwak.com/~psychol/p1.htmlSweetHeartコメント
読んでてウーンとうなってしまいました。実は、この方法、アメリカ人の義理の弟が先日、3才になる娘に使っていて、すごく効果絶大だったんです。例えば、朝ご飯のときでした。
父「Don't eat when I'm not watching. (ダディーが、見てないときに食べないでね。」
と言って、子どもから完全に目をそらします。そうすると、急いで子どもは、お皿の食べ物を口に放りこみました。食事の間中、ずっとそれを繰り返して、ついにお皿はカラッポになりました。
私も早速、真似をしてみました。公園に行くと、いつも帰りたがらない息子に
私「ママは帰るから絶対にくっついてこないでね。」
と言って、スタスタと後ろを振り向かないで歩きはじめます。そうすると、息子は、しっかり後をつけてくるんです。そこで、パッと振り向くと息子もピタッと歩を止めます。そうやって、何度もゲーム感覚で歩いているうちに車まで到着!試してみてくださいね。
Part 3
罰を与える代わりに
例えば、こんな場合、あなたならどうしますか?
スーパーに買い物に行ったが、子どもは通路を走りまわったり、店の物に触ったりして、何回言っても言うことを聞かない。最後には、おばあさんにぶつかって、危うく転ばせそうになった。
以下は、あるお母さんの例:
走りまわらないの。・・・あっちこっち触るのやめなさい。こら、バナナを元に戻しなさい・・・それは買わないの。まだ、家にいっぱいあるでしょ。・・・トマトをつぶさないの。・・・こら、もう一回走りまわったら、どうなるかわかってるでしょうね・・・アイスクリームは、ママが選ぶから、あなたは、ここに座ってなさい。・・・もう、いい加減にしなさい!おばあさんに、今ぶつかったじゃないの!!。家に帰ったらおしおきだからね。今買ったアイスクリームも今日はあげませんからね。
著者によると、子どもが、自分の間違いに対して、必ず何らかの結果がついてくるということを知ることは大切だけれども、その結果は必ずしも罰という形である必要はないと言っています。子どもは罰せられると、罰自体に対する怒りから、自分のしたことを悪かったと反省するチャンスを失ってしまうのだそうです。
自分が、小さかったときのことを思い出してみてください。確かに、私も罰を与えられた時(たとえば、外に出されたりして)、反省するどころか、自分は不当に罰せられていると思い、怒りで心は満たされていました。
では、罰の代わりにどんな方法があるでしょうか?本は、5つの段階を踏んで説明しています。
(スーパーの中を、走りまわる子に)
Step@子どもが、どういう行動をとれば、お母さん、お父さんが助かるかを指摘する。
×お父さんが帰って来たら、言いつけますよ。
○3つレモンを持ってきてくれると助かるんだけどな。
StepA断固とした態度で子どものとっている行動を戒める。(こどもの性格を攻撃することなく)
×まるで、犬やネコだって、もうちょっとましよ。今日はテレビを見せませんからね。
○パパは、そういうの好きじゃないな。通路を子どもが走ると、ほかのお客さんの迷惑になるだろ。
StepB選択肢を与える
×もう一度走ったら、ゲンコツだよ。
○走らない。歩くか、ショッピングカートに乗るか、どっちかにしなさい。
StepC行動をとる
×(おしりを叩く)
○はい、じゃカートに座ってね。(と、子どもを抱き上げカートに乗せる)
それでも、例えば、こどもが泣き喚き始めたりして、買い物を中止しなければならなくなったとします。この場合、次回スーパーに行く時に、前のことを持ち出して講義したり責めたりする代わりに
StepD結果
子「ママどこ行くの?」
母「ショッピング」
子「ぼくも一緒に行く。」
母「今日は、だめ」
子「どうして?」
母「どうしてか、○ちゃんが言ってごらん」
子「スーパーで走ったから?」
母「そのとおり」
子「お願い、今度だけ。」
母「まだスーパーには何回も行くんだから今度ね。今日はだめよ。」
と言って、こどもを残して出かける。(もちろん誰か他に大人が家にいる場合の例)
【親からの質問】
Q1.例えば小さい子が触ってはいけない物を触った場合、手をたたいたりするのはどうでしょう?
A.「ナイフはなめる物じゃないのよ。何かをなめたいのなら、スプーンをなめなさい。」と言ってスプーンをわたす。同じことをやるようなら、親も同じ情報を子どもに与え続ける。
Q2.リビングルームに行くとソファーの上に、みかんの皮と種が食べ散らかしてありました。二人の息子に、「誰がやったの?!」と聞くとお互いに「ぼくじゃないヨ。」と口々に言うんです。この場合、どんな対処法がありますか?
A.もし「誰がやったの?」と聞いた場合、大抵は「私(ボク)じゃないヨ。」という答えが却ってくるはずです。そこで親が「それじゃ、どっちかが嘘をついているのね。」と、追求すればするほど子どもも自分の罪をかたくなに認めなかったりするものです。そうなると当然、親としては怒りを覚えます。この場合、無理に犯人を見つけて罰するよりは、自分の怒りの気持ちを表現します。例えば、こんなふうに
「ソファーに食べ物が落ちていると、本当に頭にくるの。みかんの皮は、しみになって取れないのよ。」そうすると子どもは「でも、ぼくじゃないよ。」とか「犬がやったんだよ。」などと反論してきます。そこで、「お母さんは、誰がやったかとか、もう起こってしまったことで、誰かを責めることには興味がないの。これからは、こういうことが起こらないようにしてほしいの。二人とも今すぐソファーの上をきれいにしてちょうだい。」
【罰ではなく、こどもにやってしまったことに対する解決方法を見つけさせる】
また罰を与える代わりに、子どもに自分でやってしまったことに対する解決方法を自分で考えさせる、または修正をさせることも大切です。それは、子ども達が将来大人になって何かミスを犯してしまったとき、「自分は、なんて馬鹿なんだ。罰せられて当然だ。」という思考パターンではなく、「ミスをしてしまったが、どうしたらこの状況を改善できるだろうか。」と考えられる人にするのです。
Part 4
問題を解決する
Part 3「罰を与える代わりに」の5つのステップを踏んだけれども、それでも子供の行動に変化が現れない場合です。Part の最後に【罰ではなく、こどもにやってしまったことに対する解決方法を見つけさせる】という部分があります。
例えば、6時と決めてある帰宅時間を、いつも守れない子供に:
Step1 |
子供の気持ちや、必要について話す。 母「友達と遊んで楽しんでいる最中に、途中で抜けるのはやさしいことじゃないでしょうね。」 |
Step2 |
自分自身(親)の気持ちや必要について話す。 母「でも、いつまでも、あなたが帰ってこないとお母さんは、とても心配になるの。」 |
Step3 |
お互いに同意できることを思いつくままにどんどん話しあう。 母「一緒に、どうしたらいいか、いろいろ考えてみようよ。」 子「帰宅時間を6時半にしてママが心配しないことにするのは?」 母「紙に書くね。・・・、ママが迎えに行くのは?」 子「いやだなー。時計を修理するってのは?それとも、日が長くなったんだから、 |
Step4 |
全て書き出す。 |
Step5 |
実現不可能なもの、お互いに同意できないアイデアを削除して行く。 |
この方法は、大きい子にしか活用できないように思えますが、幼児にも十分に使えるということです。
例えば、なかなかオムツが取れない子に:
Step1 |
母「ちっちゃい子には、トイレに行くことは、とっても難しいことだよね。遊んでいるうちにトイレに行くの忘れちゃったりするよね。あ、トイレって思っても間に合わなかったりすることもあるよね。」 子「ウン。」 母「紙とクレヨンを持ってきて。」(この場合、子供が字が読めなくても構わない。) |
Step3 |
母「友達のジミーが使ってるみたいな登る台を買う。」 「トイレ行く?とママが、たまに聞く」 子「ピーター(友達)みたいトレーニング・パンツをはくのは?」etc。。。 |
Step4 |
全部書き出す。 |
Step5 |
実現不可能なもの、お互いに同意できないアイデアを削除して行く。 |
【我が家で実践編】
我が家の長男9歳も非常に手ごわく、Part3の方法でも、うまく行かないことがしょっちゅうです。実際に今日は朝から、息子と言い争いになりました。私が、朝、彼が学校に行く前に机の上に置いてある英文法のワークシートを見たことから始まりました。文の中のSubjectとObjectがどれかを見分ける問題なのですが、彼の回答はめちゃくちゃ。
まだ学校に行くまで時間があったので、SubjectとObjectについて教えて、シートの訂正をさせようとしたのですが、息子は、まったくやる気なし。わざと間違ったり、「全然ママの言っていることわかんない。」と言ったり、「もう終わったことなんだからいいよ」、と言ったり。しまいには、私も怒り心頭に達して、「もうやらなくていい。」と行って、学校に送り出した。(彼は、いつも私や夫が「こうしたらいいんじゃない?」と言うことに対して、非常に反抗的になるのです。)
そこで、今日、息子が帰ってきてから、こんな話し合いを持ちました。
Step1 「ママは、今朝、とっても頭にきた。なぜママが、ちょっとでも何か教えてあげようとすると、いつも怒り出したり、無視したり、すねたり、とにかく態度が悪い。ママは怒りを感じる。」
Step2 しばらく黙り込んだり、「もう、わかってることを何回も言うからだよ。」とか「勉強は、学校でやるからいいよ。」とか、言っていたが、最後に「学校に行く前のわずかな時間に、言われたからイライラしたんだ。朝、学校に行く前の時間じゃなければ、ちゃんと聞くよ。」と言うので「じゃ、どういう時間なら、あなたがママやダディーの話に耳を傾けるのか、あなたがママに教えて。」と言うと、しばらく考えてから、「学校から帰ってきて、すぐ。」そこで、私が「じゃ、それはあなたが決めたことだから、ちゃんと責任もって実行してね。」
と、いつも言い争いに発展するのが、割りとスムーズにポイントが押さえられました。後は、どこまで実行できるかですが、これはどうなるやら、また報告します。でも、息子が、ちゃんと座って、お互いに声を荒立てることなく、息子自身が解決案を出せただけでも、進歩かなと思っています。
以上の私と息子の場合は、Step4〜5が抜けていますが、本によると時と場合によって、このように変わることもあるし、子供によっては、座って向き合って話し合うことさえ難しい場合があるので、そのような場合は、メモの形でStep1〜Step3を踏めばいいそうです。例えば、こんな風に。
「あなたが、この問題に関して〜と感じている(必要だと思っている、〜して欲しい)と思っていかもしれないね。お父さん(お母さんは)〜と感じる(〜して欲しいと思っている。)お父さん(お母さん)とあなた、二人が同意できる解決法を提案してね。」
【5ステップで気を付けること】
これらのステップを踏む時に、自分が、もう怒っていないか、冷静かどうかを自問してみてください。それから子供の感情もチェックして、話し合いができるかどうかを確かめましょう。
1.子供の気持ちについて話す
この部分では焦ってはいけません。子供が自分の気持ちを親が理解し、きちんと聞いてくれていると納得した時にのみ、親の気持ちについても考える余裕ができるからです。
2.あなた(親)の気持ちについて話す
この部分は、簡潔にしましょう。こどもは、親の心配、怒りなどについてダラダラの聞きたくないものです。
3.お互いに同意できることを見つけるよう導く
できるなら、最初の2〜3のアイデアは、子供に出させましょう。ここで大切なのは、子供の出したアイデアに対してコメントしたり批判したり評価したりしないことです。「それは、いいアイデアじゃないね。」と、あなたが言った途端に、すべてのプロセスは終わってしまいます。鍵となる言葉は「全部書き出そうね。」です。
4.実現不可能なもの、お互いに同意できないアイデアを削除して行く。
馬鹿にするようなコメントは絶対しないことです。「〜という理由で、お父さん(お母さん)は、Aをできない。」でも、「Bならできそうね。」
最後に、もう一つ大切なことは、このプロセスにおいて、こどもが親を責めるような場面を作らないことです。たとえば、子「それはママが、いつも○○するからできないよ。ママは、絶対△△しないからできないよ。」などと言わせないことです。そういうことを言い出したら、「お互いに責めたり、過去のことを話すのはやめましょう。今は、これかの解決方を見つけることに集中しましょう。」などと確固たる態度で臨みましょう。
このアプローチの良いところは、親子の間に意見の食い違いが生まれた場合、どっちが勝つか負けるかという力比べをしなくてもいいということです。その代わりに、お互いの要求を尊敬し合い、同意できる解決方を捜すためにエネルギーを注げるのです。それによって、子供達には、親の犠牲者になることもなければ、敵になることもない、ということを教えることができます。もっと複雑な世の中に出て、問題に直面したときに、積極的に解決法を捜すことを子供達は学ぶことができるのです。
Part 5
自主性を積極的に促す
まず、下の四つのケースを読んで、言われる者の立場になって、どう感じるかを考えてみてください。
I. あなたは4歳だとします。1日に何回か親は、あなたに以下のようなことを言います。
「いんげんを食べなさい。野菜は体にいいんだよ。」 「ほら、チャック。ママがしめてあげる。」 「疲れたでしょ。横になって寝なさい。」 「あの子は悪い言葉を使うから遊んじゃだめよ。」 「本当にトイレに行かないでいいの。」
あなたの答え・・・・
U. あなたは9歳です。1日に何回か親はあなたに以下のようなことを言います。
「その緑のジャケット着ない方がいいわよ。あなたには緑は似合わないから。」 「ビンのフタが取れないの?ママが開けてあげる。」 「今日着ていく洋服、もう出しといたわよ。」 「宿題手伝おうか?」
あなたの答え・・・
V. あなたは成人です。上司がこう言います。
「君のために言うけど、職場を良くするためのアイデアを出すのをやめてくれないか。君は自分の仕事だけをしていればいいんだ。君のアイデアに私はお金を払っているわけじゃないんだ。君が、ただ働くように払っているんだから。」 あなたの答え・・・・
W .あなたは、新しい国の市民です。公のミーティングで、金持ちで血からのある国の官僚がやってきてこう言います。
「あなたの国はまだ産声をあげたばかりの赤ん坊のような開発途上国です。ですので、あなたがたが、何が必要かは私たちの関心事ではありません。私たちは、あなたがたの農場や学校やビジネスや政府機関を運営するための専門家と物資を送りましょう。また、あなたの国の出生率を下げるため家族計画の専門家も派遣しましょう。 」
あなたの答え・・・・
どうですか?あなたが今、答えたような気持ち(自分に対する無力感、価値のなさ、怒り、フラストレーション)を、こどもは感じているかもしれません。
第4章では、自分自身で考え行動のできる責任感のある人間に育てるための6つのヒントがあります。
1.子どもに選択させる
《例》
その日着ていく服を決める・・・2種類示して、どちらかを選ばせる。
公園から帰る時・・・あと5分で帰るけど、最後にブランコに乗る?それとも滑り台をする?
ピアノの練習・・・夕飯の前にやる?それとも夕飯の後にする?
2.子どもの努力を認めてあげる
「とても簡単だからできるよ。」と子どもを励ますことは、もし子どもが、それをできなかった場合、「簡単なのにできなかった。」という劣等感を抱かせてしまうかもしれません。実際、大人には簡単なことでも、子どもにとっては、非常に難しい場合がほとんどです。ですので、何かをやろうとして苦心している子どもに「難しかもしれないね。」と言ってあげることによって、もし子どもは成功すれば難しいことをやりとげたという誇りを抱くことになるでしょうし、たとえ失敗しても難しいことに挑戦したのだという満足感を得ることができます。
《例》
靴ひもを結ぶ・・・「いつまでかかっているの」と言う代わりに「くつひもを結ぶのは、とても難しいよね。」と認める。
ビンのフタを開ける・・「ほら、ママがやってあげるからかしなさい。」と言う代わりに「ビンのフタを開けるのは難しいよね。フタをスプーンでたたくと開くかもしれないよ。」とヒントを与える。
3.子どもに、たくさんの質問をしすぎない。
多くの親は、学校や外から子どもが帰ってきた途端に、子どもを質問攻めにします。
《例》
「学校どうだった?今日は誰と遊んだの?何をしたの?楽しかった? 」と質問攻めにすると、子どもは自分の世界に親が無理やり侵入してきたように感じます。また「楽しかった?」と聞かれると、子どもは「じゃ、学校では楽しくなければいけないんだ。」という義務感のようなものを追わされ、もし、その日が楽しくなかった場合、ただでさえ気が沈んでいるのに親までががっかりさせることになり、さらに重荷を負うことになります。ただ「お帰りなさい。」とだけ言い、子どもが話したいことを話したくなるのを待ち、子どもが話し始めたら子どもの話しに耳を傾けましょう。
4.子どもの質問に対して、すぐに答えを与えない。
子どもの質問に、すぐ答えを与えてしまうことは、子供が考える力をつけるための練習を、親が引きうけてやってしまっているようなものです。
《例》
子「どうして、おばあちゃんは毎週ウチに遊びにくるの?」
母「近くに住んでいるし、あなたのことが大好きで会いたいと思うからよ。」と言う代わりに、
母「どうしておばあちゃんが毎週ウチに来るか?(子どもの質問を繰り返すことも、子どもに考えることを促す)、あなたはどう思う?」
5.子どもが質問してきた場合、家庭の外に答えを求めるように後押しする。
《例》
子「僕の熱帯魚、なんだか病気みたい。どうしよう?」
父「うーん、ペットストアの人に聞いてみたらどうだろう。」 OR 「インターネットで調べてみたら?」6.子どもの夢や希望を壊さない。
《例》
子「私、こんどの学芸会で主役に立候補しようと思うんだけど」
親「そんな大役、あなたには○○ちゃんみたいに、お芝居なんてやったことないんだから、選ばれなくてがっかりするより、もっと別の小さい役があるんじゃない?」と言う代わりに
「そう、主役になりたいの。いい経験かもしれないね。」
子どもをがっかりさせたくないからと言って、以上のようなコメントをすれば、子どもは自分が夢を見たり、夢のために努力しようとする気持ちの芽まで摘んでしまいます。
前回、催眠療法家がよく使う専門的な手法、NO SET という方法について投稿をいただいたサイコロTown!の内藤さんから、その逆の YES SETについてのメールをいただきました。
先日はNO SETの話を掲載していただきました。どのようなやり方もそればかりに偏ると弊害が出ますので、バランスをとるためにも、NO SETの逆、YES SETという方法について、お知らせします。
NO SETでは「断りたい!」という気持ちを高めて、自分の望みの逆を言うというやり方でしたが、YES SETではその全く逆です。「賛成したい!」という気持ちを高めていきます。
具体的な例をあげましょう。
もし、子供の大好物がポテトチップだとすると、ポテトチップを子供のおやつに買うことがあると思います。それならば、そのポテトチップを子育てに活かそうではありませんか。ポテトチップを交換条件に、お手伝いしなさいとか、勉強しなさいという言い方は、効果が意外とありません。
そこで、YES SETを使います。
お母さん「買い物に行ってくるけど、おやつ買ってこようか?」
子供「うん!」
お母さん「ポテトチップがいい?」
子供「うん!」
お母さん「お母さんが、帰ってきたら食べようね。」
子供「うん!」
このように、子供が必ずYESと答える事を繰り返します。これで、YESと答える確率が高くなっています。なぜなら、子供にとって、いい話ばかりですから。そこで、本題に入ります。お母さん「お母さん、他にも用事があるんだけど、ちょっと助けてくれる?」
この時、今までの流れを壊さないようにスムーズに展開するのがコツです。スムーズに展開できれば子供は、「うん!」といいます。そこで、用事を子供に頼んで、買い物に出かけます。最後に「どれくらいがんばってくれるか、お母さん楽しみだな!」とつぶやきながら、買い物に出かけると、効果絶大!
思った以上にがんばってくれますよ。NO SET、YES SETは、相手がNOと言いやすい状況か、YESと言いやすい状況かによって使い分けると効果があります。
内藤 敦
サイコロ Town!
http://park6.wakwak.com/~psychol/p1.html
30代、40代でも遅くない。骨盤の歪みが原因で起こりがちな女性の腰痛に大きな効果。
全国各地の赤十字病院や婦人科にて推奨されている骨盤矯正・腰痛緩和ベルト。トコちゃんベルト